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16話

 旅って暇なのですね。


 昨日はナタリーさん達に盛大に送りだされました。アラン君は号泣していたし……。


 そうそうユーグさんが王都に行くと言うので、その商隊に同行させてもらっています。


 なので、私の最初の目的地は、ガイールの王都になりました。

 

 今は荷馬車の中にいるのですが暇です。


 ハッキリ言いましょう暇!!


 だから『水魔法を習得せよ!!ミッション2』を、読むことにしました。察しのとおり私には水魔法の才能が無いのか、まだ水を出すことしか出来ません。今は水を操ることを目標にして精進しております。いつになったら水を操ることが出来るのかわかりません。3年間諦めなかったのは意地の問題です。


 そしてサクラは私にしか姿が見えないので、大っぴらに会話が出来ずテレパスのように声を出さないで会話しています。なんか契約すると絆が出来るので、声を出さなくても言いたいことを思うだけで相手に声が聞こえて会話が出来るそうです。


『あたち、暇でちゅ』


『暇だね。もう少しで村に付くから我慢してね』


 確かに暇だがこれも商隊に同行させてもらい、少しでも安全に旅させてもらえて贅沢なことだと思えば我慢しなければなりません。


『水魔法でサクラには関係ないけど、一緒に本読もうね』


 私はサクラをなだめるように言い聞かせます。


『わかりまちたでちゅ』


 サクラは私の肩に腰掛けると一緒に本を読み出し、数十分経つとコックリコックリと寝入ってしまいました。




* **




「お嬢ちゃんは、水属性なのかい?」


 あれから数十分後、私は商隊の護衛の人に声をかけられています。

私は荷馬車で護衛の人は馬の上で話をしているのです。


「あ…•、はい」


 緑属性も持てるけど、確かに水属性でもあるから嘘は言ってないでしょう。


「じゃあ、水に困らなくていいなぁ?」


 この護衛の人は髪が黒くて目が茶色の厳ついかんじの人、でも優しそうな感じです。


「そうですね……」


「一人で旅するんだってな、何か困ったことがあったら言ってくれ。俺の名前はダグだ」


 ダグさんは面倒見のよい人のようだ。


「ありがとうございます。私の名前はルティアです」


 その後はダグさんの仲間の人が来るまで話をしました。いやダグさんがずっと話していたと言った方が正しいでしょう。冒険者だそうで話の話題は豊富で面白い話をたくさん聞けたので、私は話の聞き役におさまっていました。




           ***




 夕方頃に村に着き今日はこの村で一泊するので、各自がテントを張り野営の準備を開始したのです。


 私もインフィニットポシェットからテントを出して準備をします。夕食はユーグさんと食べることになっていたが、今日はユーグさんが村長さんの家に泊まることになったので、私は一人で夕食の準備を始めました。


 サクラは精霊なので食事をしなくても平気だから王都に着くまでは我慢してもらうか、誰も見てないところでコッソリと食べてもらうことになっています。


 村の中は安全なので、ちょっと離れた所にテントを張りました。そしてテントの中で、軽い食事をすることにしたのです。


  スモグーリエの薫製と野菜を挟んだサンドイッチと、デザートは苺にしました。スモグーリエとは小さな猪型の魔物で肉は甘味があり大変美味しいのです。


「サクラ、サンドイッチ美味しいね」


 サクラはサンドイッチを頬張りながら、何回も頷いています。残った苺で『苺ミルク』を作って上げると、サクラは喜んで飲んでいます。もっと作れとせがむほど、気に入ったみたいです。




            ***




 次の日もまた、荷馬車に揺られての旅を再開しました。ここから約10日間は村も町もない旅です。そして、魔物や賊の類いに襲われる確率か高くなってきます。慎重に何よりも安全第一の旅になるので、ダグさんも話しかけては来なかったです。


 今のところ魔物に襲われても、護衛の人達が上手く倒しています。魔物を倒すとその魔物の牙や毛皮は、倒した人の物になるので護衛の人達は率先して倒しに行くのです。最初に魔物が出た時は私も何かお手伝いした方がいいのかと思いましたが、魔物を倒した人が魔物から取れる牙や毛皮の所有者になると聞いたので邪魔しないようにしています。


 ちょくちょく魔物に襲われながらも、どうにか旅は続いていたのですが、今度の魔物はヒドラベスが5匹でした。ヒドラベスとは虎型で鋭い牙と爪を持ち口からは火を吐く魔物です。


 その凶暴な魔物に今襲われているところですが、護衛の人達は他のヒドラベスを相手にしていて、私に襲い来るヒドラベスに気が付きません。


 私は緑魔法で戦いますが、出した植物はことごとく火で焼き払われます。私は為す術もなく、サークレットの防御効果とマントの防御効果で火の攻撃に耐えているだけです。


 そしてとうとう、ヒドラベスが襲いかかって来てきました。あと少しでヒドラベスの鋭い爪で襲われそうになったところで……、ダグさんが駆けつけてくれ攻撃をしたのです。そのあと直ぐにダグさんの仲間も加わり、どうにか傷だらけになりながらもヒドラベスを退治していました。


 すべてのヒドラベスが倒されると、私はサクラの力を借りて傷だらけの皆に治癒魔法をかけたのでした。この治癒魔法は自然の生命力を操り、傷を癒すので失った血液も元通りになります。もちろんそのことは秘密にして置きましたが、傷を負う前より元気になったと言われました。



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