表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/19

15話

 ナタリーさんは読んでいた手紙を、静かにテーブルの上に置いて私の方を向きました。


「ルティアは旅ってしてみたい?」


 それは突然の問いでした、私はこの世界でこの町と町の周辺しかしりません。もちろんいつかはこの世界を、旅してみたいと思っています。そして、元の世界の植物をこのルフォスと言う世界に伝えたいと思っていました。


「えっ……。はい、旅に出てみたいです」


 私は戸惑いながら答えたのです。サクラは「旅だぁー。あたちも旅に出たいー」と騒いでいます。


「じゃあ、旅に出なさい」


 ナタリーさんは、なんでもないことのように軽く言ったのです。


「いいんですか?」


「もちろんよ。だけどこのガイール国の中だけよ」


「はい」


 私はこの国の中だけという条件がなぜ付いたのか深く考えることもせず、この時は嬉しさのあまり満面の笑みで返事をしたのでした。


 サクラは私の周りを、クルクル回りながら「旅だぁー、旅だぁー」と歓声を上げながらはしゃいでいます。


「さあ、旅の用意をするわよ。一週間後には旅立ちなさい」


 ナタリーさんが、ちょっと寂しそうな笑みで言いました。


 その後は旅支度でてんてこ舞いになりながら、慌ただしい日々を過ごしたのでした。その合間に私が創造して庭に植えた植物の育成ノートを作り、ナタリーさんが育てだれるようにしました。


 そうそうソフィーさんから餞別だって防御の魔法を付与した魔道具を頂いたのです。それはペリドットにヒデナイトそしてモスアゲートがバランス良く配置された美しいサークレットでした。


 ペリドットは暗黒の波動を打ち砕くと言われる石で、ヒデナイトは理解力を高めさらに忍耐力と持久力をも高める石なのです。


 ソフィーさんが言うには「私の最高傑作よ」と言っていたので、一生ものとして大事に使わせて頂くことにしました。


 そして、ナタリーさんからはインフィニットバッグではなくインフィニットポシェットを貰いました。このインフィニットポシェット欲しかったけど10000ガレットもして高かったのですが……。

茶色の可愛いポシェットで赤いプティポーヌの花の刺繍入りです。

いいのかなと思いましたが、ありがたく使わせて頂くことにします




* **




 そして、ナタリーさんの「そう言えば……、ルティアはマントを持っていたかしら?」と言う言葉で自分がマントを持っていないことに気が付き大慌てで買いに行くことになりました。


 ここは魔法使い御用達の洋服店「マリーの魔法の服店」です。


 このお店の洋服は全て魔法が付与されていて着心地は最高、そして防御にも優れています。攻撃を受けても付与されている魔法が防いでくれたり、猛暑の時にきても涼しく気温がたもたれていたりするのです。ロープって暑そうだけど、服に気温を保つ魔法が付与されていれば涼しくて快適なのでした。普通の服より高いけど魔法付与の服にしては値段が手頃で可愛いのが「マリーの魔法の服店」の売りだと私は思っているのです。私も自分で稼げるようになってからは、このお店の服を愛用しています。


「いらっしゃいませ。ルティアちゃん」


 マリーさんが笑顔で迎えてくれました。


「こんにちはマリーさん、今日はマントを探しにきたの」


「マントですね?ルティアちゃんにピッタリな素敵なマントがありますよ」


 マリーさんはパタパターと店の奥に行くと、一枚の素敵な色のマントを持って来たのです。


「この色ならルティアちゃんにピッタリだと思うの。どう気に入ったかしら?」


 マリーさんが持って来たのはエメラルド色のマントで、もちらん気温の魔法も付与されていますが、火の攻撃を特に遮断する魔法が付与されていました。


 私の緑魔法の弱点は火なので、これは嬉しいマントとの出会いです。色もエメラルドで気に入りましたが、マントが持つ効果も気に入りました。


 買いますよもちろんでしょう。


「買います。すごく気に入りました」


「フッフッ、まいどありぃー」


 マリーさんはニヤリと笑い言いました。値段ですか……、教えませんよ。高かったことだけはお伝えしよう、だがそれでも魔法付与のマントとしては安い方ですが……。




* **




 家に帰るとサクラが「ルティア、苺プリン!!プリン、プリン」と騒ぎだしました。サクラには買い物中は実体化せずにいたら苺プリンをあげることになっていたのです。精霊と契約したことは、ナタリーさんしか知りません。精霊と契約したと知られると町が大混乱になるので秘密にして置くことにしました。そのため、サクラには絶対に実体化してはダメと言って、さらに大好物の苺プリンを上げる約束もしたのです。


 私は苺プリンを手早く作るとサクラに渡しながら言いました。


「はい、苺プリン」


「わーい、苺プリンだぁー」


 サクラに苺プリンを上げると、大人しく食べだしました。この後サクラは苺プリンを10個も食べていた。精霊って太らないのでしょうか?


 ルティアが旅に出るまであと1日……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ