14話
害虫事件から3年経ち、ギルド登録的には15歳になりました。
私は砂糖に代わる甘味料を創造し栽培をしだしたのです。何故なら砂糖が高いからでした。知らずに使っていた時が恨めしい、砂糖1㎏が100ガレットもするのです。日本円で10000円ですよ。
だから自分で甘味料を創造しました。代わりになる甘味料はステビアと言い砂糖の100分の1のカロリーで300倍の甘味がある植物です。もとの世界のステビアは若干苦味があるのですが、私が創造したステビアはその若干の苦味を無くした物になります。
そして、ステビアの乾燥葉を水と一緒に鍋に入れ沸騰するまで煮て冷ましてから濾したものを『ステビアシロップ』と言い、そのステビアシロップの水分を水魔法で排除した物が『ステビア粉』です。
『ステビアシロップ』と『ステビア粉』は販売していません。と言うのは砂糖の価格が暴落する恐れがあり販売に踏み切ることが出来ませんでした。だって太りにくい甘味料なんて、砂糖より優秀だと思いませんか。だから今は私の身近な人達しか使っていませんが、甘くて美味しいのに太りにくいと高評です。
***
それはある昼のこと庭の畑に、30㎝くらいの緑色の髪と目の可愛らしい女の子が舞っているのが見えました。私は目を疑って何度も目を擦ってその光景を確認したが、やっぱり小さな女の子が畑の上で躍っているのが見えます。
私はその女の子に、声をかけてみることにしました。
「初めまして、綺麗な舞だね。私はルティアって言います。よろしく」
「ありがとう。あたちは生まれたばかりの緑の精霊よ」
精霊って初めて見たし、あとどこで生まれたのでしょうか?
「私、精霊に初めて会ったよ。名前は何って言うの?どこで生まれたの?」
私は、だんだんワクワクしてきました。だって、この3年間異世界にいても、会うことがなかった精霊に会うことが出来たのです。
「あたちはこの畑から生まれた緑の精霊よ。まだ名前はないわ」
もー本当に妖精のように可愛らしい、いや精霊ですけどね。
「名前だけど……、私が付けてもいい?」
この時の私はその重大性に気付かなかったのです。名前付けることは『契約して』と同意語だったわけで……。自分でも気が付かないうちに、ありがちな展開になってしまったのでした。
「わーい、名前付けて、付けて」
精霊は私の周りをクルクルと踊りながら言いました。
私は数十分考えたでしょう。だって名前って一生を左右するものでしょ?そんな私に緑の精霊は「早く、早くー付けてぇー」と急かしながら周りを舞っています。
「じゃあ、『サクラ』なんてどう?私の故郷の美しい花の名前よ」
緑の精霊が桜のように美しい心を育ててくれるように、そして桜に興味をもってくれるよう『サクラ』と名付けたのです。
「あたちの名前は『サクラ』だぁー。そしてルティアはあたちのマスター」
そしてこの時に『マスター』って何?となったのは言うまでもないことでした。
* **
そしてナタリーさんの所へ急いで行き話をすると「契約したのね。とても幸運なことだから、ちゃんと育てなさいよ」と言われました。何でも精霊と契約出来ることは幸せなことらしい、そして契約すると精霊に力を借りることが出来るようになるらしいです。
「なぜ、らしいなのですか?本当のところどうなのですか?」
私はナタリーさんに詰寄り大声で質問していました。
「私は契約者じゃないから本当のことは解らないわ。そうね、緑の精霊様に聞いてみなさい」
と微笑みながら言われてしまったのでした。私は嬉しいのか悲しいのかわからず肩を落としてしまったのです。サクラとずっといられるのは嬉しいけど……、育てるのは大変そうだよと思ったからでした。
「あっ、そうだわ。私も緑の精霊を見ることが出来るようにならないかしら?」
この時初めて私以外にはこの緑の精霊『サクラ』が見えないことを知ったのです。そして、サクラにナタリーさんにも見えるようにならないかと聞いてみると「あたちが実体化すれば見えるようになるわ」と言うので実体化してもらいました。
「あら、思っていたよりもずっと可愛らしいわ」
ナタリーさんは大喜びで、サクラと話をしています。
その横で私はお茶の準備をしました。今日は紅茶と苺プリンです。もちろんステビア粉を使って作りましたよ。
その苺プリンを食べたサクラが歓喜の舞を躍ってしまうぐらい美味しかったことを言っておこうと思います。
精霊の力のことですが、サクラは緑の精霊なので、植物に関係ある力を持っているのではないかと思いました。