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胡蝶の夢  作者: 胡蝶
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第三話 「報復」

シリーズの連載物ですが、一話完結物だと思って下さい。

“安珍清姫”・・・そう有名な恋愛話。




え、妖怪のお話だと思うですか・・・・っておしゃいますか。


確かに、さらっと読むとそうなりますね。




でも、私には女の情愛と男の博愛と自己愛の話だと思ってるんですよ。


彼女は、他の客とコミニュケーションを取りながら話始めた。



昔々・・・安珍と言う若い美しい僧が居た。

修行の為に全国を回り旅をしていたが、

ある時、宿を貸してくれた屋敷の清姫に逢いお互いに一瞬で恋に落ち一夜を共にする。

しかし、安珍はこれまでの修行が無効になるのを恐れ清姫に言う。




「貴方との許可を貰う為、やるべき事を済ませたいと思います。


参詣をすませたら、きっともう1度此処に戻ってきます。


此処で、私の帰りを待っていて下さい。」




そんな、約束をしながら逃げる事を考える安珍 


そんな、安珍の言葉を聞き心細いながら待っていることを誓う清姫




参詣の終わる時を待っても戻ってくることの無いを心配した清姫はある噂を聞く。


参拝を終えそこでの修行を終えた安珍が、次の修行の場に向かったと言う話を・・・




嘘だと思いながらも、心の何処かで納得できる清姫。


会いたいと思い、安珍の元に着のみ着のまま向かう・・・




「置いて行かれる。」「会いたい。」


その思いが清姫を人とならざる者に変化させるのは容易な事だった


それは、美しく神々しい白い蛇。


安珍に対する激しい想いが清姫を白蛇としたのだ。




しかし、追いついた安珍は、清姫を見ると言い放った。




「化け物!!」と




清姫が最後の人としての心を手放した瞬間でもあった。


呻くように言い放った。




「愛しく憎らしい人・・・わが身をそこまで拒むのなら殺してやる!!」




それを聞いた安珍は修行で身に付いた力を使い清姫を退け無我夢中で逃げた。




愛しい人からの、攻撃・・・・


口に出したが、殺す事など出来ないと思っていた清姫の心に火を付けた。


目からは血の涙を流し、愛しい人の名前を呼び後を追う


心な中に浮かぶは、二人で過ごした熱い芳しい一夜の想い出・・・・




何時しか、白蛇から白龍に変化した清姫


・・・・・それほど想いが深く激しいものだったのったのだろう。




そして、追いついた先は道成寺


安珍を探すが見当たらない・・・・




ふと、目を見やると鐘つき堂の鐘が下りている。


近づいてみると、安珍の衣が鐘の下に挟まって見えている。




何故、もっと上手に隠れてくれなかったのだろうと嘆く自分が居る事に気づく清姫


しかし、見つけてしまった以上許せるわけでも無い。




怒りと裏切られた思いに心を体を浸し、安珍が隠れた鐘に体を尾を巻き付け


愛おしい安珍を想い血の涙を流しながら火を噴き上げる。




殺したくないが殺すしかこの恋は昇華出来ない。


人とならざる者になった自分に似合う恋の終わり方かもしてないと思いながら・・・・




どれだけの時間がたったのだろう。


辺りには、釣鐘の焼けた焦げくさい匂いと共に、人の焼けた匂いが経ちこめている。




終わったと言う安堵と何もかも無くしてしまった自分の境遇




白龍から白蛇に元に戻ったとしても人には戻れない清姫


彼女は、何処に消えたのだろう。




安珍を想い、たった1夜の思いでを胸に


その時の幸せに浸り深い湖に身を漂わせた眠っているのだろうか?


それとも、白龍となり天に昇り神として生きているのだろうか?




そう、最後は知らない・・・・


ただ愛おしい人を焼き殺しながらも、凛として道明寺を後にした清姫は伝わっている伝承




これが、私の知っている“安珍清姫”の話


彼女は、悲しい笑みを浮かべながら続ける。




目の前の愛を取りながら、想いを交わし合った後に自分の出世を考える不実な男。


愛した女を裏切り、自分への想いにより姿を変えた女を化け物呼ばわりした男。




この話は、妖怪や化け物の話の類ではなく恋愛物語。


それも、男にとっては身に詰まる話かもしれないわね。


実際、出来るものならと思う女性が多数を占めると思うわ。






こんな数え唄(手鞠歌)知ってるかしら、




とんとんお寺の道成寺


62段のきざはしをあがりつめたら仁王さん


左は空鐘からかね ちょうずばち ちょうずばち 




トントンお寺の道成寺


釣鐘下ろいて 身を隠し


安珍清姫 じゃに化けて


七重ななよに巻かれて 一廻まわり 一廻り




そう歌い舞台を降りた。


自分自身さえも変える激しい恋、彼女はそんな恋をしたことあるのだろうか?








- 終わり -



私が、最初に読んだ絵本がこの「安珍清姫」だったと思う。

おじいちゃんが、お寺のお参りのお土産に買ってきてくれた。


子供用絵本だったから、ページ数も少なく簡単に書いてあり

約束を守らない安珍に清姫が蛇になって追いかけ殺すって言う昔話だった。

で、書くに辺り調べてみたらびっくりしました。

夜這いを書けたのは清姫とか、実は人妻だったとか、

安珍・清姫の物語は、もともとは法華経の力を喧伝するためのお話とか・・・

そんな訳で今回のお話は、

子供の頃にを読んだ絵本の話をベースに「悪いのは安珍」で書き綴りました。

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