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『屁理屈ばかりの勇者は、世界を口論で救う』  作者: 南蛇井


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5. 結語の逡巡

歴史編纂者は、筆を置いたまま動かなかった。

書くべき頁は、もう残っていない。

残っているのは、結語だけだった。


世界は救われたのか。

それとも、停滞したのか。


勇者は成功したのか。

魔王は敗北したのか。


問いは、いずれも自然に浮かぶ。

だが、どの問いにも、

「はい」とも「いいえ」とも書けない。


救われたと言えば、

何から救われたのかを定義しなければならない。

停滞したと言えば、

本来進むはずだった何かを仮定しなければならない。


勇者の成功を語るには、

目標が必要だった。

魔王の敗北を書くには、

戦いが必要だった。


どれも、この時代には存在しない。


判断を書こうとした瞬間、

編纂者は気づく。

それは事実の整理ではなく、

物語を押しつける行為になる。


この時代において、

最も危険なのは、誤ることではない。

分からないものを、

分かったことにしてしまうことだ。


編纂者は理解する。

判断しないことが、

この時代の唯一の誠実さなのだと。


筆は再び取られる。

だが、選ばれるのは断定ではない。

評価でも、総括でもない。


ただ、

語れないという事実を、

そのまま記すために。

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