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『屁理屈ばかりの勇者は、世界を口論で救う』  作者: 南蛇井


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2. 日常風景の断片

市場は今日も賑わっている。

干し肉や穀物と並んで、剣や盾、防具が安定して売れていた。差し迫った戦の噂はない。それでも武具は必要とされる。用途というより、備えとして。あるいは信仰に近い習慣として、人々はそれを手に取る。持っていること自体が、世界の形を確認する行為のようだった。


広場では子どもたちが遊んでいる。

勇者ごっこ、と呼ばれてはいるが、勝ち負けはすぐに曖昧になる。誰が勇者役で、誰が魔王役かを決めるより、誰が見張りをするか、誰が道を案内するか、といった役割分担の方が重要らしい。戦いは始まらないまま、遊びは成立している。


宿屋の壁には、色あせた戦勝譜が掛けられている。

かつての英雄の名と日付、勝利の記録。だが、客に尋ねられても、宿の主人は詳しく説明できない。「昔の話だ」と言って微笑むだけだ。その紙片は装飾として存在し、意味を要求されていなかった。


日常は続く。

だがそこには、決着の記憶も、新たな物語の予感もない。

世界は平穏で、その平穏さえ、誰も語り継がないまま、静かに置かれている。

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