【『本』物語×紙】
(本は子供です。物語様と紙様は既婚者なのですわ!)
そう、優しく本のページながら微笑みかける。
綱宮泡は、授業と授業の間の休み時間読書をしていた。
(様々な物語様が書き込まれた紙様。つまりは『本』。これは想像と現実が交じり合う1つのファンタジー)
綱宮泡は思う。本が何故、こうも愛されているのかと。
それは『本』とは子供だから。
物語と紙。
通常ならば交わらない2つのものが、何故か混ざり合い誕生した奇跡の子供だから。
それを人は当たり前のように持っている。
なんと尊いことか。
だが――
「なんだよ。エロ漫画かと思ったぜ!」
「やめてよ!ライトノベルなんだよそれ!」
時には少し過激なモノもある。
(でも、それがよい!)
神聖なモノ。過激なモノ。普通なモノ。
その多種多様さは、まさに人と変わらぬ奥深さ。
(尊みが深い。でも物語様と紙様。紙様が受けとしても、考えられますが、物語様が受けであるパターンも……)
「勝手に見ないでよ!絵だけで決めつけないで!」
「だって絵の部分はあれじゃん。エロスケかよお前」
一面だけで見ても、カップリングはよいが、受けと攻めを逆にするパターンも考えると、更に深みが増す。
(物語様が、「お前じゃなきゃダメなんだ」と言い出したらたまりませんわ!)
普段、攻めている側が受けに回った時のギャップは良いものだ。
「大体なんで僕に絡むの!綱宮さんも読んでるじゃないか!」
「いや……綱宮さんに絡むのは――」
「御二人様」
綱宮泡が声を発した瞬間、教室の皆が、静かになる。
「『本』とは尊きもの」
(ああ、推せる!『本』とはなんて良きもの)
「その内容は全て見なければ分かりません」
(御二人の子供の行方を、じっくり見守りましょう)
「だからこそ、一面だけでなく、しっかりと見守ってあげてください」
(まず推しのプロフィール確認は基本ですわ!それから、それからインタビューもチェックして――)
「「は、はい……」」
何故か妙に圧のある綱宮泡の言葉に推され、2人は黙った。
「それと、私が読んでいたものライトノベルですわ」
そうして、可憐にブックカバーを開き、表紙を見せた。
2人とも驚いたような顔をしていたが、もうすぐ授業だとチャイムがなり、席に戻っていく。
「なんかワリィな。勝手なこと言って」
「いいよ。分かってくれたなら」
綱宮泡は物語を楽しむ。
(ああ、よく考えると物語様は、ハーレムなのかもしれません)
最近では電子書籍もあるし、音楽にだって物語はある。
――こうして身近にも。
(――尊い)
様々なカップリングがある中で、こうしてできた奇跡に綱宮泡は微笑んだ。




