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『孝博、覚法法親王の寵童に秘曲伝授するも、速記を習う寵童名も知れぬこと』速記談6019

作者: 成城速記部

 高野の御室と呼ばれた覚法法親王が、身の回りのお世話をする童たちの師匠であった藤原孝博に、鳴滝に家を建てて住まわせた上、何くれとなく世話をなさった。童の中でも常在と参川に琵琶や箏を習わせなさった。もう一人、速記を習わせなさった童がいたが、名前は残っていない。常在には琵琶、参川には箏の素養があったので、孝博は、二人に秘曲を授けた。参川に秘曲中の秘曲である千金調子を授けたらしいと、関白太政大臣藤原忠実公がお聞きになり、孝博をお呼びになってお尋ねになると、孝博は、童をお召しになってお尋ねください、と答えた。忠実公は、御室に遣いを出し、箏の名手の童がいると聞きました、聞いてみたいものです、と申し上げなさると、御室もおもしろいと思し召して、参川をよこした。忠実公は、参川を御前に召して、多くの楽曲を演奏させた後、千金調子を演奏させたが、全く違う曲であった。童を帰した後、もう一度孝博をお呼びになり、あれは千金調子ではない、と御室に申し上げなければならぬ、と仰せになると、孝博は、助けると思ってしばらくお許しください。路頭に迷ってしまいます、と申し上げたが、忠実公は、お前も私も生きているうちに、にせ物がにせ物であるとはっきりさせなければ、後世に誤ったことを伝えてしまう、とおおせになり、ありのままに御室に報告なさったところ、孝博は、直ちに追放されたという。



教訓:速記を知りもしないやからが、くしゃくしゃな字を書いて、速記だと言い張るようなことであろうか。

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