2. この学園の新しいNo.1
いやー。文章を書くのって、難しいですね。今回も書くのに40分もかかってしまいました。
結末は、きっと、読者の度肝を抜くような、面白いものにしてみせますので、よろしくお願いします!
「……やれやれ」
俺は争いが嫌いだ。争いは、何も生まないから。何かを手にするために争って、何かを失うくらいなら、これからは何もせずのうのうと生きていこうと思っていたのに……
「なんで、こうなるのやら……」
などと呟いていると……
「待ちなさい」
背後からそんな声が聞こえた。
「あなた……何者なの?」
「……答える義務はないな。俺はただ、落ちこぼれとして過ごしていくつもりなんでな」
その俺の言葉に対して、俺の背後にいる女は、
「……本当に、まだ落ちこぼれとして生きていくつもり?」
「と、言いますと?」
と、適当に返事をすると、
「この世界は実力主義。実力のある人間はされたくなくても無理やり優遇されたりする」
「そして、あなたは今日、今この瞬間、ここでこの学園一の実力をもっていると言われているこの男を難なく倒してしまった……」
こいつ……この学園一の実力を待っているのか?
……やっちまったな。普通にワンパンしちゃったよ?
うーん……どうしたものか。
「……偶然みぞおちにでも入ったんじゃないか?」
「いやお前完全にその男の後ろから正拳突きしただろ」
梨沙がそんなツッコミをした後、
「そろそろこのくだらない芝居を辞めないかしら? 私は戦闘に関してあまり詳しい訳じゃないけど、流石に強いか弱いかくらいの判断は出来るわ……」
「そして、あなたが嘘を吐いているのもわかってる」
「ただ、どうして? この世界は実力があればあるほど評価され、優遇される。なのに何故、あなたは自分自身の力を隠しているの?」
「……はぁ」
多分、どれだけ否定しても無駄なのだろう。それに、梨沙はこの世界での数少ない友達だ。だったら今、ここで言ってしまっても構わないだろう。
「俺は、落ちこぼれとして生きていきたいんだ。俺は、人の上に立つのはあまり性に合わないんでな。」
「普通に生きて、チー牛食ってさえいられれば、それでいい。もう、だれかを傷つけたり、何かを失ったりするのは嫌なんだ」
そんな俺の言葉に対して、そいつは、
「……何を失ったのかしらね……気になる」
「気になるな」
そんな、こっちの気持ちを知らない能天気な言葉が俺の心に、深く刺さった。
なんなんだこいつ。デリカシーないな。
「ただ、様々な理由があってあなたは実力を隠している。だけど今日……私が虐められているのを見て、力を解放してしまった」
そんな梨沙の言葉に対して、俺は、
「……ま、お前が危なかったからな。少なくとも俺が何もしなかったら……」
「今頃、とんでもない目に遭っていたのは、私だったかもしれないわね。それについては正直とても感謝してるわ。……こいつらに何をされるかわかったもんじゃないからね……」
こいつは何故、俺たちを虐めていたのだろうか。まあなんにせよ……
「めんどくさい状況に、なってしまったもんだ」
そう、俺が呟いた直後、
「……ただ、あなたはこれからもっと面倒なことになりそうだけど……」
「……へ?」
いま俺の目の前にいる女は、突然そんな突拍子もない事を言い始めた。
「あなたは今、この瞬間、この学園で一番強いとされている男を倒してしまった。さあ、どうなると思う?」
「お前が公表しなければ、広まることは無いだろうな……」
俺のそんな言葉に対して、目の前のそいつの口からは、
「そんなの……公表するに決まってるじゃん」
「お前には人の心がないのか?」
そのような言葉が、俺の耳に突き刺さった。