9.5. 学園のトップ7 〜第2.5話〜 いささかな疑問。
○.5話みたいなやつ、憧れてたんだよね。
ちょっと色々あって、2.5話なのに3話の後に出すことになってしまいました。すんません
私は、こいつの経歴を見て、いささかな疑問を持った。
この国は、学校に入学する時に、今までの経歴を書き、提出しなければならない。。例えば、「10歳の時に戦闘検定2級を取得した」や「生まれてからわずか3年で、能力を自由自在に操れるようになった」などだ。しかし、こんな経歴、この学園では当たり前だ。だが、こいつの経歴だけ、何か引っ掛かる。
いや、能力がないのにこの学園の入学試験を突破し、入学できている時点で、おかしいのだが……
「うーん……あっ……」
しばらく考えてから、私はハッとした。
「こいつ……この学園の生徒とは思えないほど、経歴がパッとしないな」
そう、こいつの経歴は……この学園に在籍しているのか疑ってしまうほど、薄かった。
いや、別に少ないわけではない。一般的な量より少し少ない程度だ。しかし、どれもパッとしないものばかりだった……
『この世界で極力目立ちたくない』
そんな意志が、読み取れる程に……
「こいつ……あまり目立ちたくないのか? いやまて。この学園の生徒だぞ? そんな、目立ちたくないなんて……そんなこと……」
そう。この学園に入学を試みる者、そのほとんどは、自分の承認欲求のためにこの学園を利用しようとしている、極悪非道なやつらだ。まあ中には、家族のために、友達のために、この学園に入学を試みる者もいるらしいが……そんな、家族思いな入学希望者は、ごく少数である。
考えれば考えるほど、「こいつは、何をしたいんだ」、そう、思ってしまう。
「こんな……こんなやつが、無敗のクイーンを……?」
ありえない。そんなわけがない。
……いや、違う。だからこそだ。だからこそ、こいつは無敗のクイーンこと、清水結衣を倒すことができたのだ。
「私はこいつのことを、最初はパッとしないただのdランクの落ちこぼれだと、勝手に思い込んでいた……しかし、違った。本当にこいつは……こいつは……」
"一体何者なんだ……"
こいつは……一体何を隠しているのだろうか。一体、何をしたいのだろうか。
こいつの真の目的は……?
その答えは、どれだけ考えても、出てくることはなかった。
私は、その後も考えた。何時間も考え続けた。
"もし、私が彼をsランクに昇格させた場合、おそらく、多くの生徒から批判がくるだろう。"
そんなことを……そんな、弱気な考え方を、してしまっていた。
しばらくして、私はハッとした。
「彼は……不意打ちだったとはいえ、無敗のクイーンを倒したのだ……そうだ。そうだよっ!!!!!!」
私は、とても重要なことを忘れていた。そう。私の計画には、無敗のクイーン……いや、それ以上の戦力が必須だ。
"ここで、彼という、最強の器を手放すわけにはいかない。"
次の日、私は、彼を校長室に呼び出した。
そして、私は彼に、こう提案するのだった。
「君には……今度新しく作るランク……
"sssランク"に入って欲しい」