1. 俺こそが、この世界の頂点だ。
この作品を開いていただき、ありがとうございます!
この作品は、続けるか、続けないか、それは全て自分の気分次第です。そこは、ご了承下さい。
もし、続ける場合、読者の度肝をぬくような展開にしてみせますので、少しは期待してくれると嬉しいです!
この世界は、実力主義の世界だった。
実力が高ければ高いほど、評価され、優遇される。
実力といっても様々……戦闘、頭脳……そのような分野で強い人間のみが勝ち上がる世界。
……だが、才能に恵まれない、評価されない人間というものも存在する。そして、その「無能の烙印」は俺に押されていた。
「……はぁ……」
今回もこっぴどくやられてしまった。
「本当に……この世界はどうかしてる」
「毎回思ってるんだけどさー、その喧嘩に負けた時に言う厨二病セリフはなんなの? 強がりは弱く見えるよー」
こいつは清 梨沙。この学園の中で、一番の美人であり、それと同時にこの学園の中で一番塩対応なやつである。そんな梨沙が、どうして俺とつるんでくれているのか。本当に謎だ。
「本当のことを言って何が悪いんだ? この世界は本当に狂っている。最初に俺が述べたいのは……」
「……それ聞いたの87回目。3年生になって、同じクラスになってから3ヶ月しか経ってないのに……聞いてるこっちが可哀想になってきたわ」
この世界は実力主義であるが故に、無能な人間には人権すら与えられない。だからこそ、俺はこの学園に入ってからゴミムシのような扱いをされている。
俺だって、本気を出せばちょちょいのちょいでこいつらをねじ伏せることは可能だが、可哀想だからな。うん。可哀想。
「……さて、今日も日課のイジメ(される側)をしたし……」
「……チー牛食べに行こうぜ!!」
「やっぱりお前センスない」
「いじめられたんだぞ!? とってもとってもおいしいおご飯食べないと元気でないなー」
「……いつも思ってるんだけど、あんな、なんでそんなに体頑丈なの? ……もしかして……人間じゃないとか?」
「な訳ねーよ。しっかり人間だよ人外扱いすんな」
「じゃあただ単に体が頑丈なだけか。」
そんな中身のない会話をしながら、○き家に向かい、二人揃ってチーズ牛丼を食べて、学校に戻った。
ピーンポーンパーンポーン
ピーンポーンパーンポーン
「チャイムがなった……ってことは授業始まった!? やばいやばいやばい」
俺は急いで教室に戻った。
「ふーギリギリアウト」
そう言いながら、教室に入った。
「何呑気に言っているんだ。廊下に立ってなさい」
やはりアウトだったらしい。先生に、先生が言うとは思えないような事を言わせてしまった。
「……あれ?急ぎすぎて梨沙を置いてけぼりにしてね?……」
とても嫌な予感がした。
実は、あいつも俺ほどではないが落ちこぼれである。あいつの能力は「計算」。
頭脳に関してはこの学校で右に出るものはいない。だが、戦闘となると別である。
俺は、先生に廊下に立たされていたことなんか忘れて、学校中を探し始めていた。
……どの教室にもいない。つまり……!
俺は、屋上へ向かった。屋上に続く扉に鍵がかかっていたので、扉を蹴っ飛ばし、扉を破壊して屋上にたどり着いた。
……やはり梨沙は、俺をいじめているやつらにいじめられていた。
「……くん、なんできちゃっ……」
梨沙の口にはガムテープがガッチリと巻かれていた。俺の名前を読んでいるようだが、口にガッチリと巻かれているガムテープのせいで何を言っているのかわかりづらい。
俺は、目の前の梨沙を虐めているその男に言った。
「……いじめるなら、そいつより俺の方がいいんじゃないか?」
そんな俺の言葉に対して、そいつは、
「たしかに、こいつは実力が高くて、いじめるには危険だ。だが、所詮は頭脳系統の能力。いじめられるのを回避することはもしかしたら可能かもしれないが……俺の能力と相性が悪かったな」
たしか、こいつの能力は高速移動。たしかに、その能力だと梨沙よりこいつの方が圧倒的に有利だ。計算する前に高速移動で近づかれ、拘束されてしまうから。
だが、……
「俺との相性は……最悪みたいだな……」
俺は、瞬きをする間もないような速さでそいつの背後に行き、正拳突きをくらわせた。
俺の正拳突きをまともに受けたそいつは、屋上に倒れ込んだ。
「うっ……!? なんだ……お前……能力はもってないんじゃないのか……!?」
その問いに対して、俺は、
「あぁ。俺は能力をもっていない」
俺のアンサーに対して、そいつは、
「何故、そんな、無能なお前が……俺に気づかれる事なく、しかも1発で倒すことが出来た!?……」
この世界には能力というものがある。諸説あるが、能力は、神が人間に情けで与えた力らしい。だが、それはつい5年前に突然人間に宿った力である。しかし、それ以前もこの世界は実力主義であった。なんなら今よりも洗練された実力主義の社会だった。じゃあ、その頃の戦闘に特化した人たちはどうやって周りの人と実力の差をつけたのか……それは。
「正真正銘の、能力ではない、俺自身の力だ……」
その言葉に対して、目の前に倒れ込んでいるそいつは、
「お前は……化け物だ……」
そう、言いながら、そいつは意識を落とした。
「お前が俺に負けた理由は、『この世界の人間は自分自身の力を磨かずに、能力のみを磨いて、戦っている』という固定概念があったからだ。もっと柔軟に、色々な可能性を考えていればこうはならなかっただろうな。」
そう、この世界で頭脳、戦闘技術、全てにおいて他のやつの上に立っている存在、それは……
"この、俺だ"
""俺こそが、この世界の頂点だ""