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愛され気質な逸般人の異世界奮闘記  作者: Mat0Yashi_81
二章:運命を壊すは世界の奔流
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5-9:圧倒

 そのために努力した。




 



 今、この瞬間。

 この瞬間に、全て理解した。

 あの人がボクに伝えてきた事の全て。

 あの人が、ボクに対して答えることを拒んだ問いの答え。

 何故ボクが選ばれたのかという、かつての問いも。

 今、この瞬間───すべて理解した。


『───空気は凍るんだ。熱が奪われて、凍って、止まる』


 あの人の言葉を想起する。

 当たり前だと一蹴してしまった、でも、ボクにとっては何よりも重要だった言葉を。


「ふーっ・・・・・」


 身体がとても軽い。

 身体強化を使わなくても、戦えるようになったと思う。

 自己証明によって、空中から熱エネルギーを継続的に得ることの重要性を、ボクはまだ知らなかったのだ


「・・・ぁッ!?」


 相手が驚いて、ボクを大きく見る。

 確かにボクは強大な強さを得たと思うし、自己証明に対する理解をさらに深められたはず。

 でも、油断はしないと誓う。

 今ここで、目の前の敵が死ぬのを見届けるまで。

 必ず、この拳を緩めないと。




 ▽ ▽ ▽




 ほんの一瞬、ほんの些細な、たった一つのひらめき。

 されど強大な力となり、実力差は一気に縮まる───どころか、グレイアが認めていた分の地力の通り、彼の実力は瞬く間に転生者たるユルを大きく飛び越えた。

 それはつまり、この戦いにおいて、力による形勢が逆転したことを示す。


「大人しく寝てろ───」


 しかめっ面を張り付けたまま、ユルは両手に炎を構築し、融合させてから前に突き出した。

 今度は混戦時に用いる速射型ではなく、魔法の撃ち合いの際に用いる威力特化型で───確実な被害を、ハルトに与えるために。


獄炎(ごくえん)・・・塊撃(かいげき)ッ!」


 気合の入った詠唱から放たれた直径十メートル程度の火球は、今度は大きさを増すことなく、しかし色はさらに黒く、深く染まった状態でハルトへと向かう。

 ざっと見積もって、威力は前回に放った「獄炎塊撃(ごくえんかいげき)」の三倍弱。

 くらえばひとたまりもない魔法・・・の、はずだった。


「・・・・・」


 しかし、ハルトは冷静に左手を掲げ、「獄炎塊撃(ごくえんかいげき)」を受け止める構えをとったのだ。

 着弾すれば爆発し、受け止めたとて前回とは比較にならない火力が彼の身体を襲う。

 それでもなお、彼が受け止める意思を見せた理由は、至極単純な理由によるもの。

 単に「グレイアの真似」という、一見すれば馬鹿馬鹿しい理由。

 だが、それは現状の「形勢逆転」という状態にあっては、これ以上ないほど有効的な行為である。


(包み込んで弱める。それで無力化は可能なはず)


 そんなふうに考えながら、ハルトは掲げた左手から大量の薄い氷を出現させ、布のように広げることで火球を包み込んでいく。

 しかも、この氷すべてが自然現象的に周囲から熱を奪うだけでなく、彼自身の意思で熱エネルギーの回収効率を高めることが可能。

 仮に、グレイアのように、魔法の指向性を弄って威力を弱めつつ爆破する───なんて曲芸が不可能であったとしても、彼には熱を操作するという自己証明がある。

 彼が「熱を奪うこと」に注力できるようになった時点で、先述した相性云々の話は逆転し、完全にハルトが優位な環境が出来上がったのだ。


「・・・ふう」


 これにより、火球は数秒も経たずに熱を吸い取られて消滅。

 残った僅かな火種を左手で握りこんで消化すると、ハルトは呼吸を整え、右手の手刀を覆うように刃のような形の氷を纏う。

 完全に能力を把握し、使いこなした様子を見て、ユルは狼狽えた。


「ちッ・・・」

(まずい・・・まずいぞこれは・・・・・)


 身体から放出している炎の勢いをさらに強めながら、ユルはハルトの次の一手を待つ。

 下で仁王立ちしている彼の、次なる行動を。


「仕方ない。やるしかないか───」


 だが、受け身では仕方ないと決起し、行動を開始しようとした、その瞬間だった。

 ハルトは瞬間移動でクレーターを離脱、どこかへと消えてしまう。


「!」


 すると次の瞬間、彼の背中に鈍重なドロップキックがぶち込まれる。


「がっ!?」


 なすすべもなく吹っ飛ばされたユルだったが、しかし急激に体勢を立て直したことで、追撃として飛んできた炎の弾丸はギリギリで回避。

 反撃に移るために瞬間移動し、ハルトの上を取る彼であったが───残念ながら、それはかなりの判断ミス。

 元より炎をブースターのようにする手法によって近接戦闘を得意としていたハルトは、空中機動に炎と氷の両方を得たことで、空中における近接戦闘の幅をさらに広げることが可能となった。

 具体的に言えば、氷を空中に生成して足場とすることで、余計なリソースを割かずとも、空中で踏ん張りが効くようになったわけだ。


「うおおッ!!」


 降下してくるユルの拳を右腕で受け止めたハルトは、あえて腕全体に薄く氷の膜を纏うことでユルの拳を滑らせ、空中において不安定な姿勢で攻撃してきていたユルの体勢を大きく崩す。

 そこへ間髪入れず、炎をブースターのようにして加速させた拳を顔面に叩き込み、ハルトはユルの身体を大きく吹き飛ばした。


「ぐああッ!?」


 悲鳴を上げながら吹き飛ばされていくユル。

 だが、まだハルトの攻撃は終わらない。

 師匠たるグレイアのやり方に則り、さらなる追撃が彼を待っている。

 瞬間移動によって彼の移動の軌道上に出現したハルトは、吹き飛んできた彼の移動エネルギーを相殺するように、両手からロケットブースターのごとく炎を放出することで攻撃を行いつつ、背後に氷の壁を構築することでエネルギーの確保も両立。

 効果的な攻撃として彼の半身を焼いたところで、トドメへと移る。


「が・・・はあッ・・・・・・」


 炎を扱うとはいえ、流石にキャパシティ(許容量)を超えたらしいユルは、血を吐きながら空中で固まった。

 これはつまり、飛翔魔法で浮いている分しか処理できないくらいにリソースが足りていないということであるが、ここで躊躇うハルトではない。

 教える相手にさえ容赦しなかったグレイアのやり方の通り、彼は容赦なくトドメを刺そうと瞬間移動でユルの正面を陣取った。



「はあっ・・・・・がぁっ・・・」


 炎を足から放出することで浮遊しながら、ハルトは右手でユルの首を掴む。

 血を吐き、抵抗できずにハルトを睨むユル。


「ぐ・・・ああッ!?」


 次の瞬間、彼の身体は首を起点として氷に浸食されていき、表面から順繰りに体温がどんどんと奪われていく。

 しかし、重度の火傷どころでは済まない怪我を負っているユルは、なすすべもなく、ただ痛みに喘ぎながら凍らされていくしかなかった。


「あ・・・ぁッ・・・・・・」


 数秒後、ついに言葉を発することすらままならなくなったユル。

 これを確認したハルトは、右手に大きく力を籠め、まるでドライアイスで凍らせた薔薇を砕くがごとく、ユルの首を握力で破壊した。


「・・・・・」


 バラバラになった敵を投げ捨てながら、ハルトはただ、固い表情で空中に浮遊し、遠くを見る。


「・・・・・師匠」


 かすかに見える魔力に視線を合わせながら、彼は事の顛末を見守るため、近くの長屋に降り立つのだった。




 ▽ ▽ ▽




 さて、ここで時間は少しだけ遡る。

 少し前、ハルトがまだ劣勢だった頃、グレイアの上半身がまるまる消し飛んだ辺りにまで戻ってから状況は続く。


「貴方も正義も、私の世界には不要なのよ」


 そう吐き捨て、勝利を確信したタカネ。

 実際、グレイアの肉体の半分が吹き飛んだわけであり───普通に考えて、彼女達の勝利は確実であるはずだった。

 しかし、現実は違う。

 彼女の想定は、戦場にて起こりうる可能性に比べて、余りにも乖離してしまっていたのだ。


「さあ、ヒカル。続きを───」


 瞬間、彼女の首が飛ぶ。

 己が殺したはずの存在によって、彼女は一瞬にして絶命する。


「ッ!?」


 あと一歩で斬られそうだったヒカルも、すんでのところでグレイアの存在に気が付き、瞬間移動で後退。

 武器を空ぶったグレイアだが、その表情(カオ)に動揺の感情は微塵も存在していなかった。

 どうやら、一気に殺せるとは思っていなかったようだ。

 空中にバリアを展開して立ち、斜め上方向に浮遊しているヒカルを見つめているグレイアの瞳は、確実な「殺意」が籠った冷徹な瞳。

 目は口ほどに物を言うとはその通りであり、グレイアはその目つきだけで「逃がす気はない」と暗に伝えている。


「お前・・・なんで・・・・・」


 ヒカルが震えながら質問をしてみれば、グレイアはつまらなさそうに鼻を鳴らし、左手を下に向けて魔法を放った。

 発射の後に着弾した魔法は大規模な爆発を発生させ、彼の直下にあった森の一部を焼き払う。

 それから彼は、依然として冷徹な目つきのまま、ヒカルの方を向いて口を開く。


「狙いはアレであって、手前には興味がない。

 それに、今ここで教えたところで、きっとお前には扱えない代物だ」

「何・・・?」


 本当に興味なさげに吐き捨てるグレイアに対し、ヒカルは額に青筋を浮かべて前のめりに構えた。

 しかし、そこにタカネが瞬間移動で登場し、左手で転移阻害を起動しつつ右手でヒカルを遮りながら口を開いた。


「やめなさい、ヒカル。

 挑発に乗るのは勝手だけど、私に迷惑をかけるな」

「・・・っ」


 口調と態度、それから肩書きによって、一応の威厳はある。

 が、グレイアにとっては「最も警戒すべき相手に対して戦術を捨てた挙句、知識があったり、少し調査すれば悪手だと分かるはずの物量でゴリ押す作戦をとった大馬鹿者」であるため、殺し合いでも最低限はと思考の隅に置いておいた、敵への尊重さえ今や欠けらも無い。

 それは無論、大馬鹿者に付き従っている部下に対しても同様である。


「で、問題は手前だよ北條 タカネ。

 冥土の土産に感想垂れてやる。

 俺を邪魔者だと宣った、その真意はなんだ?」


 とはいえ、知的好奇心そのものは尽きていない。

 粗方察するものは無きにしも非ずではあるものの、彼とて、知りたいことは知っておきたいタチである。

 威圧的ながらも質問した彼に対して、タカネは、物凄く偉そうな態度で何やら語り始めた。


「・・・私は、この箱庭に楽園を創るの。

 貴方達のような、ピーチクパーチクとけたたましく鳴くカラスが居ない世界をね」

「馬鹿みたいな夢だな」

「貴方がその程度の存在だったと言うだけよ」


 グレイアは冷徹に彼女を一蹴しつつ、反応を確認。

 しかし、いつまでも彼女はねっとりとした喋り方をしているため、精神的揺らぎを云々というのは面倒だからやめておこうと判断。


「貴方を倒し、きっと実現する」

「そのために俺が来た」


 その代わり、当初の予定通りにするのだと考えを固めた。


「ヒカル、やりなさい」

「了解、ボス」


 すると次の瞬間、ヒカルはタカネの命令と共に瞬間移動───とも見紛うほどの速度でグレイアに急接近し、そのままの勢いで殴り飛ばそうと拳を振るった。

 しかし回避され、今度は急旋回して蹴りを見舞おうとするも失敗。


「ちっ・・・」


 ならばとリスクを承知で近接戦闘に持ち込んでみるが、これはヒカルにとって、どうやら悪手だったようだ。

 槍を持ち、グレイアに攻撃を行うヒカル。

 魔力を纏った槍はその刃から柄に至るまで、すべてが使用者以外の人間を拒み、攻撃する仕様となっている。

 痛みを承知で掴んだとしても、神経系に対して作用するために攻撃へと転じることは出来ない、というオマケ付き。

 これにより、大振りな攻撃なら回避ができる相手でも、変則的な槍術によって効果的にダメージを与えられる───はずだった。


「えっ───がっ!?」


 なんと、あろうことかグレイアは、槍を「空中の物体を移動させる魔法」の応用によって固定し、そのままヒカルの顔面に拳を叩き込んだのだ。

 彼が槍から手を離すまで打ち込まれた計五発のパンチは見事に彼の顔面を醜く変形させたが、これに懲りる彼ではなかった。

 五発目のパンチによって吹き飛ばされた彼は、人間の耐性を完全に無視した勢いで反転し、身にかかる圧力をものともせずに拳を構え、音速の八倍くらいの速度でグレイアへと迫る。

 しかし刹那、少しばかり角度をつけた手刀に纏わせた彼のバリアによって軌道が逸れ、さらに直撃を逃した一瞬の隙を突かれ、腕を掴まれて腹に爆発魔法を入れ込まれてしまう。


「がはっ!?」


 そこから更に膝、蹴り上げと追撃をくらい、構築したバリア逆立ちしてからのドロップキックで再び大きく吹き飛ばされた。


「ごほっ・・・あっ・・・・・」


 どこからどう見ても劣勢。

 そんな彼らの戦いを見ていたタカネは、グレイアを仕留めるための一手として用意していたものを、悠々と懐から取り出した。

 しかし、グレイアは彼女の方を見ていない。


「野郎ッ!!!」

「・・・ふん」


 それどころか、つまらなさそうに鼻を鳴らし、余裕ある態度でヒカルを迎撃する構えを取っている。


(そろそろね)


 余裕なのもそこまでだ───と、彼女は懐から取り出した三つの深紅の結晶を、握りこんで割り、砕こうとした。

 その瞬間である。

 彼女が結晶を持っていた右腕が、身体の半分もろとも吹き飛んだのは。


「ッ!?」


 無論、驚く彼女。

 自身の鮮血と砕かれたバリアの破片が視界に入る様を処理しながら、状況について整理しようと試みた。

 しかし残念なことに、撃ち抜かれたのは()()()()()()()()


「お前・・・ッ!」


 反撃をしようと、攻撃された方向に視線を向けようとしたタカネは、ヒカルの声を聞いて視線を戻す。

 するとそこでは、半身が消し飛んだグレイアが、身体を再生させながら、右腕を失ったヒカルの首を掴んでいた。


(・・・ッ! まずい!)


 さて、ここで形勢は一気にグレイアが有利な方向へと傾いた。

 ヒカルは大怪我し、タカネは用意していた分の軍勢の残滓を喪失。

 それに加えて、さらにタカネ側は損害を被る。


「ヒカル! 離れなさい───」


 掴まれたまま反撃しようとしていたヒカルに対し、タカネは叫んだ。

 だが、もう遅い。

 既にグレイアの体からは白銀色のスパークが走り、それがドーム状となって、広がり始めていたのだから。


「ぐああっ!?」


 グレイアのストーム・プロテクションに巻き込まれ、魔力回路に多大な妨害効果を受けたヒカル。

 そんな彼が、妨害効果によって抵抗できなくなったことを確認すると、グレイアは容赦なく彼の喉笛を握りつぶした。


「・・・・・」


 それから、彼は動かなくなったヒカルを一瞥すると、その死体を地面に投げ捨てつつ振り向き、タカネと相対する。


「さて、どうだ?

 これで、お前の馬鹿げた理想も叶わなくなったんじゃないか?」


 依然として冷徹な表情を浮かべ、嘲るように問いかけるグレイア。

 彼の身体から漏れ出る魔力は、変わらず黒く銀色に輝いて威圧感を出し続けている。


「・・・いいえ、きっと叶うわ」

「無理だな、絶対に」


 奥の手が使うまもなく消し飛び、重用してきた部下が目の前で殺害されても尚、タカネは冷静でいた。

 否、()()()()()()()()()()()

 その心に宿る焦燥は如何程のものか、こちらには到底理解できない領域なのだろう。

 無論、グレイアはその綻びを容赦なくひっぺがす。


「・・・言ってなさ───」


 彼の否定に対し、強く言い返そうと言葉を紡いだ彼女。

 しかし、どこか違和感が───何やら身体が動かしづらいという違和感があったため、口を動かしながら視線を下に向けて確認をした。


「───い」


 瞬間、彼女の身体が硬直する。

 理由は果たして、焦燥か、憤怒か、それとも恐れか。

 己の腹を貫く刃に、彼女は何を思ったのか。

 対するグレイアは、相手が見事に罠に嵌ったにも関わらず、どこか不満げであり、何やら呆れてすらいる様子。

 彼はその感情を隠さないまま、ぶっきらぼうに言葉を投げる。


「ほら、言ったろ。

 無理だって」

「~~~ッ!?」


 最早、彼女の勝利は有り得ないと。

 態度では暗にそう伝えつつ、グレイアは更に彼女を追い詰める。


「手前、アレだろ。

 自己証明をパクるタイプの自己証明だろ」

「・・・っ」

(何、これは・・・っ!

 奴は今、何をしたの・・・・・!?)


 彼女の困惑はよそに、自身の考えを只管に投げつけて。

 鉄壁だと思われた、彼女の自己中心的な思考回路を、足元をすくいながらノーガードで叩きのめす。


「それと、手前は自分が何ができるのかを全く理解していない。

 だから悪手ばっか踏んでいく。

 物量によるゴリ押しもその一例か?」

「だ・・・だったらなにか・・・・・?」

(魔力を感じない・・・

 まさか、これが奴のチート能力・・・・・!?)


 今まで彼女が歩んできた失態と、現在進行形で抱く失望。

 きっと、今の彼は、彼女のことを敵として相対することすら認めたくはないのだろう。

 ゆえに、抑えることをしない。

 抑えず、叩きのめす。


「能力バレのリスクを考えれば、脳内麻薬は控えるべきだった。そうだろ?」

「・・・ッ!!!」

(そんな。

 そこまで見抜かれて・・・・・)


 彼女の驚愕すら、グレイアにとっては最早、流れに即した予定調和に過ぎない。

 言い方を変えれば、彼女はそれ程までに、彼を失望させたのだ。


「ほら、理解したならさっさとかかって来い。

 ネタならもう、とっくに割れてるんだからな」


 ありったけの魔力を放出して「全力」を示しながら、グレイアはタカネを挑発する。

 彼女に反論する気力が残っていないのは、彼にとっては重々承知。

 むしろ、彼にとってはこれからなのだ。


(さっさと絶望してから死んでくれ。

 俺はもう、手前の顔すら見たくない)


 ()()()()()()()()()()から。

 そのために、これから先のことも予測しておいたのだから、と。


 彼はそんなことを考えながら、固有武器を取り出すのだった。










 非常に影が薄いですが、ニアはハルトのバックアップを、ティアとグリムはあの一撃の為だけに魔力を溜めた状態で待機していました。

 つまり、ティアが決戦前夜に照準魔法を弄っていたのはこのためです。

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