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嘘々日記 〜不条理ギャグ小説〜  作者: 塩塚不二夫
9/40

七三分け

 『ビューーーッ』

 『バサッ』

 左からの強い風で、何度戻しても私の髪は右分けから左分けになった。

 『ビューーーッ』

 『バサッ』

 この会社で左分けにしていいのは、課長より上の人間だけなのだ。

 『ビューーーッ』

 『バサッ』

  私の左分けがバレたら、上層部に会社の屋上へ呼び出され、何をされるか分からない。パンチやキックならまだしも、左遷やクビとなると家族が路頭に迷ってしまう。

 『ビューーーッ』

 『バサッ』

  私は必死で髪を抑えながら、愛する家族を想い、歯を食いしばった。

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