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シュレッダー
夜、事務所で不要な資料をシュレッダーにかけていると、『バンッ』と大きな音がしてシュレッダーの扉が開いた。
扉の中から疲れた顔の中年男が顔を出し、無言でこちらを見上げていた。
男はシュレッダーの紙屑が乗った茶碗を、こちらにチラッと見せた。
『わしの夕飯に紙屑が入った』とでも言いたげな目をしていたが、同時に『勝手にシュレッダーの中に住んでいて文句を言える立場ではない』という口元をしていた。
男は複雑な表情のまま、静かにシュレッダーの扉を閉めた。
私は残業を諦め、デスクの引き出しから“焼きホタテ貝ヒモ”を取り出すと、そっとシュレッダーにかけた。