第4話 ステータス画面をマスターする
俺は今、草原を全力で走っている。
「うぉぉぉお! 楽しいぃぃ!」
三十路を越えたおっさんが何をはしゃいでいるのかと自分でも思うが、見た目だけは十七歳のはずなので大丈夫だろう。
「服装は異世界の物に変わってるが、後で見た目も確認しないとな」
実はおっさんでしたとかだったら、目も当てられない。
「それより体の動きが軽いとは思ってたけど、少し速すぎるんじゃないか!?」
社会人になってからは、全力で走ることなど無かった。
だが、学生の時もこんなに速く走れた記憶などない。
「能力値の影響だろうな。取りあえずステータスを見てみるか」
スキルポイント0
HP3502/3502
MP29800/29800
TP12500/12481
攻撃力 220
魔法力 262
防御力 315
魔法防御力 385
敏捷性 65
命中率 158%
回避力 121
幸運 999
「うへぇ、だいぶ偏ってるな」
思わず笑ってしまう。
「まずMPとTPが極端に多いな。MPは分かるとして、TPはスタミナか? 少し減ってるのは走ってるからだろうな」
全力で走って19しか減らないのはチート過ぎる気がするが。
「後は敏捷性と幸運以外は数値が揃ってるな。
幸運は最高値に上げてくれたから分かるとして、
敏捷性が低いのは何故だろう」
体感では、都市部を走る車ぐらいはスピードが出ている気がするんだが……。
「ああ! 敏捷性65って最高速のことか!
日本だったら普通の原付より速いぞ……」
全く呆れるような笑ってしまうような。
「そうだ、ヘルプを見てみるか。
右上の青いボタンだから分かりやすい」
ヘルプと書かれたボタンを押してみる。
ーーステータスの確認画面では、それぞれの能力値
を確認できます。
また、各能力をタップすることで、スキルポイントに応じてステータスの変更ができます。ーー
「まじか、自分の能力を変更出来るのか」
試しに、敏捷性を押して25まで下げてみる。
「お、おお! 大人が全力で走ったくらいまで下がったぞ! やっぱり最高速で間違いないな」
敏捷性を65に戻す。
「これ以上上げるにはスキルポイントが必要になるみたいだが、まあ十分だろう」
敏捷性300まで上げようものなら、体が吹き飛びそうだ。
「それにしても王国まで後半分くらいあるなぁ。
流石に暇だから、徒手格闘でも練習してみるか」
素人丸出しの構えをとってみる。
走りながらシャドーボクシングなんてやったこと無いが、なんとかなるだろう。
「わしはスゴいんだぞぅ、若い頃にボクシングをやってたんだぞぅ、ホレ!」
"ビュン!!!"
「なん……て……な?」
思わず立ち止まる。
「は、はぁ!? 適当にジャブを打ったつもりなのに速すぎるぞ!!」
慌ててステータスを開く。
「攻撃力220の影響だよな……。
カウントストップするのが999だと仮定してたから、まだまだ弱い方なのかと思ったてたぞ」
そう言えば攻撃力200は、物語終盤の勇者くらいの基礎能力だよな……。
「はぁ……異世界転生したら簡単にやっていけると思ったが、こりゃあ色々考えなきゃだめだな」
取りあえずステータスを閉じて、『ミズダット王国』までの道のりを走ることにした。
お読みいただき、ありがとうございます。
異世界行ったら草原を走り回りたい!
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