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第48話 剣術大会2

 控え室に戻った俺は、次の対戦相手を知らされた。


「俺の次の試合はゴッズ先輩か」


 次は準決勝だ、この辺りから強くなってくると思ったが、あのゴッズが準決勝に進めるとは思わなかった。


「さっきの二人に比べたら、ゴッズ先輩は釣り合わないしな」


 ローズとメリーの試合は、結果的に言えばローズの圧勝だった。

 まず開始早々にメリーが先に突進したが、ローズの冷静な剣さばきに圧されて徐々に後退していった。

 そしてメリーのナイフが弾き飛ばされたところで、勝負が決着した。

 ……のだが、審判が止めに入る前の最後の一瞬、武器を失ったメリーから恐ろしい殺気を感じた。

 多分、武器を失った後が彼女の真骨頂なのだろう。

 あのまま戦っていればどうなるか分からなかった。


「だけどまあ、今は剣術大会だしな」


 剣での決着が全てだ、俺も集中しないと。


 充分に精神を研ぎ澄ましてから、黒刀を取り出して舞台へと向かった。


――


――


「さあ、いよいよここから準決勝です!! 次の試合は元Aランク冒険者のゴッズと現Aランク冒険者のセージだ!!」


 司会の声で、割れんばかりの歓声が起こる。

 準決勝ともなれば、このくらい騒がしくても仕方ないと思うが、正直ゴッズ相手は気まずい。


「よぉ、久しぶりだな」


 ゴッズが話しかけてくる。

 なんとなく、穏やかな雰囲気じゃないな。


「てめぇに出会って以来、俺のツキはどっかに行っちまったみてぇでよ。熱烈なお礼がしたくてウズウズしてたぜ」

「そうか、俺はお前に会いたくなかったけどな」


 ゴッズが皮肉を良いながら、凶悪な笑顔で口の端を歪める。

 

「そのスカした面を叩き斬ってやるのが今から楽しみだぜ。さあ構えな」

「叩き斬られるのはゴメンだな」


 互いに武器を構える。


「さあ、両者準備が整ったようです!!!! それでは準決勝……始め!!!!


――


――


「うぉぉぉお!!!!」


 先に動いたのはゴッズだ。

 巨大な斧を構えたまま、真っ直ぐこちらに突っ込んでくる。

 まずは様子見で避けるか。


「フッ」

「おらぁぁぁあ!!!!」



 "ドゴォーーーン"


 

 速度は速くなかったので難なく避けられたものの、振り下ろされた斧が当たった地面は深くエグれていた。

 なんだあの威力。


「アンタそんなに強かったか?」

「へっ!! てめぇにコケにされたからなぁ!!」


 地面に刺さった斧を引き抜きながら、再びゴッズが突進してくる。

 

 一度鑑定してみるか。


ーー種族 人間

  名前 ゴッズ・エルメスト

  スキル 重戦士


  ステータス

  HP1050/1050

  MP0/0

  TP650/650

  攻撃力   540

  魔法力   2

  防御力   35

  魔法防御力 30

  敏捷性   36

  命中率   50%

  回避力   15

  幸運    0


  状態 悪魔憑きーー


 

 なんだこの攻撃力は……!?


「よそ見してんじゃねーぞ!!」

「ッ……!」


 ゴッズの振り下ろした斧を、刀で滑らせて弾く。

 まともに受けるのは危険かもしれない。


 それにしても、やけに攻撃特化型になってるな。

 防御力、魔法力を犠牲に攻撃力が超強化されたってところだろうか。

 あの悪魔憑き、とかいう状態異常も気になる。


「おいおい、手も足も出ねぇってか? ククッ、良いキミだぜ」


 ゴッズが斧を頭上に掲げる。

 武器の重さを利用して勝負を決めにくるつもりだろう。


「終わりだぁぁ!」


 頭上の斧をゴッズが全力で振り下ろしてくる。


「遅いな」

「なにっ!?」

 

 俺の目の前まで迫った斧を、紙一重で回避する。

 この時を待っていた、という程苦戦してもいなかったが、ゴッズに隙ができる瞬間をうかがっていた。

 右手に握っていた黒刀を逆刃に構えなおす。

 

「終わりだ」

「くそっ! ぐあぁぁっ!」


 バックステップで俺から距離を取ろうとしたゴッズの足元に一太刀。

 そして体勢が崩れた脇腹へ二太刀目を叩き込み、吹き飛ぶ前に最高速度の蹴りをお見舞いしてやると、ゴッズは舞台端へ吹き飛んだ。


 倒れたゴッズは首だけで俺を睨み付けていたが、

 どうやら起き上がることは出来ないらしい。


 決着のようだ。


「勝者、セージ!!!! 因縁の対決を乗り越えて、怒涛の快進撃だぁぁ!!!!」

 

 派手な試合だったせいか会場が一気に沸き立つ。

 よく聞いてみると、俺への声援だけではなく、ゴッズへの怨み言も聞こえてくる。

 まあ、素行が悪かったし当然かもな。


「とりあえず、決勝に備えるか」


 ここにいると歓声が止みそうにないので、何だか気恥ずかしいというかこそばゆい気持ちを抱えながら、俺は静かに控え室へと向かった。

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