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第34話 エリサとデート2……?

「こういうお洒落な場所は、一人じゃ入りづらいな」


「今日は一人じゃないですから、入りましょう?」


 俺たちは今、街で話題だと言う喫茶店に来ていた。


 前世では基本的に一人で行動してたから、実は洒落た店なんて入ったこと無いんだよな。


「いらっしゃいませ」


「二人でお願いします」


「かしこまりました、こちらへどうぞ」


 エリサが、店員の男性と淀み無くやり取りをしていく。


「ご注文がお決まりになりましたら、お声がけ下さい」


「はい、ありがとうございます」


 こう言うところは、さすが出来るギルド職員だな。


 いや、単に俺が口下手なだけか。


「セージさん、何を頼まれますか?」


「そうだな……」


 エリサが渡してくれたメニューを見るが、いまいち名前がピンと来ない。


 エスレポワのニラスレサンドなんて書かれても俺には分からん。


「これと、それからこっちも頼むか」


「ああ! それ、このお店の一番人気なんですよ! 流石はセージさんですね」


 適当に選んだんだがな、幸運値のおかげで恥をかかずに済んだか。


「あの……セージさん。

こうしてみると私たちって、カップルに見えてるんでしょうかね……?」


「……」


 周りを見渡すと、どこもかしこも男女ペアが多い。


 うらやましい事で。


「ああ、そう見えてたら良いな」


「え! それってどういう……!」



 "キャァァァ!!"



 と二人で会話していた時に、外から悲鳴が聞こえてくる。


「何だ……!? エリサ、俺が確かめて来るから中で待っててくれ」


「私も行きます!」


「……そうか、分かった」


 二人で外に出ると、そこには体長2メートルを越す鬼のような化物が居た。


「どうして……ダンジョンの外にモンスターが……」


 エリサが口元を押さえて唖然としている。


「まずは鑑定だな」


ーー種族 オーガ

  名前 オーガロード

  スキル 棍棒技


  ステータス

  HP1021/1021

  MP21/21

  TP408/451

  攻撃力   386

  魔法力   25

  防御力   145

  魔法防御力 31

  敏捷性   15

  命中率   42%

  回避力   1

  幸運    15


  状態 狂乱ーー


「強いな……」


 この化物、ステータスだけならアラクネクイーンを超えてる箇所もあるぞ。


「こ、この化物め! おお、おれたちが相手だ!」


「こ、こここの街の人間には、ゆ、指一本触れさせないぞ!」


 あいつら、さっきエリサに絡んでた冒険者か。

 声が震えまくっているが、中々度胸があるな。


 とその時、一人の女性が飛び出してくる。


「貴公ら、足が震えているぞ! わたくしが隙を作るからその間に逃げろ!」


「は、はひぃぃ!」


「う、うわぁぁ!」


 前言撤回、やっぱり情けない奴らだ。


 というか、あの騎士風の女性は誰だろうか?


「あ! あれは騎士団長のローズさんですよ! 実力はSランク冒険者にも匹敵するとか!」


「そうなのか」


「はい! これで安心ですね」


 いや、そうとも言いきれない。


「……鑑定」


ーー種族 人間

  名前 ローズ・レイラード

  スキル 聖騎士


  ステータス

  HP312/312

  MP81/81

  TP180/181

  攻撃力   123

  魔法力   111

  防御力   161

  魔法防御力 181

  敏捷性   42

  命中率   91%

  回避力   45

  幸運    152


  状態 焦りーー


「流石は騎士団長、軒並みステータスが高いな」


 特に、スピードに特化しているようだ。


 だが……。


「加勢してくる」


「え! セージさん!」


 彼女も何となく察しているのだろう、状態が焦りになっている。


 オーガロードの防御力が高すぎて、彼女の剣が通るか分からない。


「俺も戦おう」


「貴公は……承知した、頼む」


 やはり不安だったのだろう、少しほっとした顔で隣に並ぶ。


「貴公、何か策はあるか?」


「まあ、あるにはあるが……」


 作戦と呼べるか分かんないな。


 まあ、話は聞いてくれそうだし、試してみるか。


「そうだな、2秒時間を稼いでくれ」


「なに、2秒?」


「じゃあ、行くぞ!」


「あ、待つのだ! ……っく、仕方ない!」


 先に俺が飛び出す。


 そしてこちらに注意が向いた隙に、ローズが後ろからオーガを切りつける。


"カンッ!!"


「う、嘘! 効いていない……!」


 少し遠くでエリサの悲鳴が聞こえる。


 俺に注意が向いて不意打ちだったと言うのに、ローズの攻撃はオーガに傷一つ付けられていない。


 だが、それでいい。

 一瞬俺から目がそらされるのを待っていたんだ。


「《夢想剣・華月》!」


 オーガの目の前で刀を振るう。


 途端にオーガの目が虚ろになり、身体の力が抜ける。

 

「はぁ!!」


 オーガがバランスを崩して倒れる直前、横薙ぎでオーガの首を狩り取る。


 見上げるような巨体が両断されたが、さしたる音も立てずにその場に沈んだ。


「ふぅ、終わったか……」


「見事な剣技でした。少し、前を失礼します」


 戦闘が終わったばかりだと言うのに、ローズが死体の検分を始める。


 たくましいな。


 それはそうと、ダンジョンの外は死体が残るんだな。


「一通り調べましたが、オーガで間違いありません。わたくしは冒険者ではありませんので詳しくは分かりませんが……」


「そうか、ありがとう」


 本当はオーガロードだが、まあ良いだろう。


 というか、何故急に敬語?


「申し遅れました、わたくしはローズ・レイラード。この国の騎士団の団長を務めております」


「俺はセージだ。何で急に言葉遣いを改めたんだ?」


「わたくしが倒せなかった化物を、一撃で沈めてしまったお方です。失礼な態度は取れません」


 なるほど、さっきの口調が素だったわけだ。

 俺はさっきの方で良いんだがな。


「大丈夫ですか!? セージさん!!」


 ローズと会話してたら、エリサが駆け寄ってきた。


「お怪我はありませんか? 痛いところは?」


「問題ない」


「もう、心配しましたよ!! でも怪我がなくて本当に良かったです……!!」


 なんだか、この前も心配された気がするな。


 平穏無事に暮らしたいのに、どうしてこんなに厄介事ばかり起きるんだ。


「セージ殿、そちらの方は……?」


 ローズが聞いてくる。


「お初にお目にかかります、騎士団長のローズさん。

私はギルド職員をしておりますエリサと申します、

以後お見知りおきを」


「ああ、貴女があの……」


 エリサが丁寧なお辞儀で挨拶をする。


 出来る受付嬢の貫禄がはっきりと出てるな。


「私をご存知なのですか?」


「ああ、騎士団の中で噂になっているよ。ギルドの職員にとんでもない美人が居るとな」


「あはは、そうなんですね……」


「ギルドと騎士団では接点がほとんど無いと言うのに、どこから嗅ぎ付けて来るのやら」


 二人が苦笑いをする。


 エリサは褒められているのに嬉しそうじゃないな。


 やっぱり美人は褒められ過ぎて嫌になるものなんだろうか。


「まあエリサの場合は、愛想が良くて仕事が出来る上に可愛いときてるからな。

噂になってもしょうがないだろう」


「え!! か、可愛いですか!? セージさん、私の事可愛いと思います……?」


 エリサが上目遣いで聞いてくる。


 意識して無かったが、改めて可愛いと言うのも気が引けるな。

 

 まあ、エリサなら言われ慣れてるから大丈夫だろう。がんばれ(童貞)


「ああ。可愛い……と思うぞ」


「本当ですか! 嬉しいです! とっても嬉しいです、ありがとうございます!」


 エリサが俺の手を取って喜びを表現している。


 ま、まあ喜んでくれて良かった。


「ちなみに、お二人はどの様なご関係で?」


 二人だけでやり取りをしていたら、ローズが俺に聞いてきた。


「言ってなかったが俺は冒険者だ、だからエリサには受付でいつもお世話になってる。

それだけの関係だが何故そんな質問を?」


「あっ、いえ、特に深い意味は無いのです。

そうだ、原因を調査しなければなりませんね。

近くのダンジョンが怪しいはずです、向かいましょう」


 そう少し早口に捲し立てると、スタスタと歩いて行ってしまった。


 何だろう、噂話が好きなんだろうか?


「ローズ、どうしたんだろうな」


「はぁ、セージさんて人たらしですよね、今回は大丈夫みたいですけど」


 人たらし? と思って隣を見れば、エリサが溜め息を吐きながら歩き出していた。


「なんなんだ……?」


 どうやら俺は、人の心の機微に疎いらしい。


 少しでも克服したいが……いや、どうすればいいんだ。

 と思いながら、俺もダンジョンに向かって歩き始めた。

お読みいただき、ありがとうございます。


せっかくのデートをオーガに取られたエリサさんかわいそう(´・ω・`)


次回! エリサ出ず!


お楽しみに!

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