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プロローグ ステータス画面を無能スキルだと馬鹿にした結果

「おい!! そこのお前、止まれ!!」


 聞き慣れない声に呼ばれてそちらを向く。


 今日は見知った門番じゃないようだ。


「どうした、俺が入ったらまずいのか?」


「当たり前だ! 今日は大切な日なんだぞ、お前みたいなパッとしない平民を王城に入れる訳に行くか!」


 まあ、爵位は持ってないし平民なのは間違いないな。


「今日は何かあるのか?」


「知らないのか? 今日はこの国を救った英雄がいらっしゃる日だ。小汚い平民を入れてしまっては俺の首が飛ぶだろう、さあ帰った帰った!」


 門番があっちへ行けと言うように手を振る。


「まあまあ、俺は呼ばれてここに来たんだ。

いつもの門番に話を通してくれないか?」


 すると門番が俺のことを上から下までジロジロと見渡す。


「呼ばれて来ただと、お前がか? 

いや、護衛の冒険者かもしれん……。まあいい俺が判断してやるから、お前のスキルを言ってみろ」


「ああ、俺のスキルは『ステータス画面』だ」


 そう言った途端、門番が目を見開いて固まり、その後激しく(わら)いだした。


「ぶわっはっはっは!! ステータス画面だって!? ステータスなんて神殿で何時でも確認できるだろう!!」


 確かに。


「わざわざ神殿に行ってステータスを確認したら、更にステータス画面と表示されるのか!? わっはは! 何だそのゴミスキルは!」


「まあそうだな、俺も最初はそう思ったよ」


 うーん、しかしこの門番、大丈夫だろうか?


 俺が心配することじゃないと思うが、身分証の確認もしないで人を判断するって結構怖いことだと思うぞ。


「もう分かった、お前は冒険者でも何でもないただの平民だろう。さっさと帰らないとこの場で首を叩き落とすぞ!」


「うーん、参ったなぁ」


 もうすぐ約束の時間なのに。


 とその時、俺の後ろから誰かがやってきた。


「お前がそいつの首を叩き落とすだって? 出来もしねぇ事を言うもんじゃねーよ」


「何だと!? あっ……これはカイル様。

ようこそいらっしゃいました」


 後ろから来たのは、燃えるような赤髪のSランク冒険者『カイル』だった。

 俺と門番を見比べてニヤニヤしている。


「し、しかしですねカイル様、私はこの城の門番として誇りを持って仕事をしています! 平民一人を斬るくらい造作もありません!」


 その言葉を聞いて、今度はカイルが笑いだした。


「だっはっは! 平民と言やぁ俺も平民なんだがな。お前、こいつの事知らねぇだろ?」


「そ、それはそうですが、こんな小汚いやつが私より強いはずがありません!!」


 うーん、確かにダンジョンから帰った後に急いで来たから汚れてるな。

 もう少し綺麗にしてくれば良かったか。


「なあカイル、約束の時間に遅れそうなんだが大丈夫だろうか」


「ああ、それは大丈夫だと思うぜ。

お前が入って来ないから、騎士団長が慌てて探してるはずだ。

おっと、噂をすれば来たな」


 城の入り口から、純白の鎧を身につけた女騎士が走ってきた。


「はぁ、はぁ! ここにいらっしゃいましたか! 待合室にいらっしゃらないので探しましたぞ」


 目の前に来た女性は、王国の騎士団を纏め上げている団長の『ローズ』だ。


 綺麗な青髪に汗が滴っている。

 ずいぶん探させてしまったらしいな。


「済まないローズ。門番の人に止められてしまったんだ」


「何ですと……! おい貴様、どういうことだ!」


 俺の言葉を聞いて、ローズが門番を問いただす。


「は、はい! この薄汚い平民が城に入ろうとしていたので止めました! さらには『ステータス画面』などというゴミスキルで私を騙そうとしたので、叩き斬ろうとしていた所です!」


「へ、平民に……ゴミスキルだと……!」


 ローズの顔がどんどん青ざめていく。

 かと思いきや、今度は顔を真っ赤にしてプルプルと震えだした。


 「き、貴様……貴様、きさまぁぁ!!」


 「ひぃぃぃぃっ!」


 門番が、あまりの剣幕に驚いたのか尻餅を付く。


 「こちらの御仁を誰だと思っている! このお方こそが今日の式典の主役、『セージ』様だぞ!」


 その言葉に門番が目を見開く。


「そ、そんな馬鹿な!?」


「それをよりにもよって平民にゴミスキルだと!?

信じられん……この私が即刻叩き斬ってやる!」


 そう言って、腰の剣を抜き放った。

 いやいや、それはやりすぎだろ!


「おいおいローズよ! それはやべぇって!」


「そうだって! 抑えて、抑えてくれ」


 カイルと二人でローズを抑え込む。

 ふぅ……カイルが居て助かった。


「ふー! ふー……! 取り乱しました、申し訳ございません」


「まあ門番の人は俺の事を知らなかっただけなんだし、俺は気にして無いから」


 冷静さを取り戻したローズが、俺の言葉でホッとしたような顔になる。


 が、すぐに門番を睨み付ける。


「セージ様はこう(おっしゃ)っているが、貴様のような人間が騎士団の一人であるなど国家の恥だ! 騎士団の除名は免れられんぞ!」


「ひぃ!! お許しを! お許しを!!」


 門番が必死に頭を擦り付けてローズに謝っている。


「謝る相手が違うだろうが!! セージ様に謝罪しろ!!」


「も、申し訳ありませんでした! どうかお許しを! お許しをぉぉぉ!!」


 門番がこちらに向き直って、地面を抉らんばかりに頭を擦り付けて謝る。


 そこまでしなくていいって、流石に引く……。


「もう許したから、とにかく頭を上げてくれ」


「ははっ! 退屈な式典前におもしれぇ茶番が見られたな!」

 

 おいおい、茶番とか言うなよカイル。


 でもさっきの門番の傲慢な態度で、前世の上司を思い出したなぁ。


「はぁ……あの頃は大変だった」


「あん? 急にどうしたよ」


「いや、何でもない」


 前世……つまり俺は一度死んでいる。

 日本という国から、上司が起こした交通事故に巻き込まれてこの異世界へとやってきたのだ。


 まずはその話をしようか。

 俺が『ステータス画面』を手に入れて人生が激変した話を。

お読みいただき、ありがとうございます。


「面白い!」「続き読みたい!」と思った方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします。


作者のモチベーションもアップしますので、更新が早くなるかもしれません。

ぜひよろしくお願いします。

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