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集められた少年少女たち


それは、いつのことだったか。


暖かな木漏れ日を二人で浴びていたその日、僕たちは、約束を交わした。その約束は、あまりにも馬鹿げていて無謀なもので。


「きっと約束だよ。…くん。」


「うん。約束ね。ダイヤ。」


その約束は……






夢の続きが途切れ意識を現在に回帰させたその瞬間、僕は光に包まれ、跡形もなくその場から消えた。


目を開けるとそこは、何もない広い空間であった。


何もないというのは語弊かもしれない。


なぜなら僕と同年代らしき人たちがここにいたからだった。


辺りの様子を窺うとまだ目を覚ましていない様子だったが一部の人たちは、既に状況把握に徹しはじめていた。


それに習い、僕も周りを見渡すと錆色の石造りの地面がこの空間に広がっていて壁も同じく錆色の石造りだった。


出入り口は、1箇所しかないように見え、その出入り口を塞ぐものは何もなく開け放たれている状態だ。


「ここはどこ?」


「ここはね、僕たちが創り上げた迷宮だよ〜」


僕の疑問に答える形でいつの間にか、前にいた仮面の人物がそう言った。


迷宮?僕の中に疑問が渦巻く。


僕のような疑問を持ったのは、その他にもいて次から次へと伝染していった。


「おい、ここはどこなんだよ!」


「まあまあ落ち着いてね〜今から説明していくからね〜」


仮面をつけた人物がなんとも気の抜けるような声で僕たちに語りかける。


ここで金髪にピアスを開けこれまた金色のアクセサリーをジャラジャラとつけたいわゆるギャルのような女がその仮面の人物と、僕たちに向けて問う。


「ていうか、仮面のあんたとここにいる奴らって誰なん?」


その金髪の女の問いに仮面の人物が答える。


「僕はね、なんとなく察している人たちもいるかもしれないけど君たちを集めたいわゆるこのゲームの主催者的な人物だよ〜それで〜君たちはこれから僕のゲームに挑戦してもらうチャレンジャーだ」


「は?」


金髪の女が、呆けたように聞き返す。


「は?って言われてもな〜今僕が言った通りなんだけど〜。ちなみに言うと君たちは無作為に高等学校の生徒から取り出されただけのただの生徒だから、なんかの問題を抱えているようなことは無いから、安心してね〜」


つまり、僕たちのこのメンバーが集められたのは単なる偶然で共通点は高校に通っているだけということだ。


なんで高校生が?なんていう疑問も浮かんだが仮面の人物が続けるよ〜と次を続けようとしたため一旦、仮面の人物に耳を傾ける。


「それでね〜僕の目的は、繰り返しになるけどゲームをクリアしてもらうことなんだよ。そのゲームのクリア条件はとても簡単。ただこの下に広がる迷宮の攻略だ〜。」


パチパチと手を叩き先ほどから黙っている僕たちに笑う。


「ん〜みんなどうしたの〜?迷宮なんてムリムリって思ってたりする?そんな人たちは安心してね〜なんたって君たちには迷宮を攻略するにあたって異能力が与えられるんだ。しかもそれはここにいる30人すべてが違う能力〜。十人十色ってやつだよ〜。」


それを聞いた僕たちは、さっきと打って変わって途端に騒ぎ出し、この空間がたちまち騒がしくなる。その理由は決まっている。


「マジか!俺に俺だけの力が!」


「うおーすげぇぞ俺の手から火が出てきたぞ!」


「私なんかすごいいい香りがする。」


などなどと歓喜の声であふれる。


「僕は、」


とこの状況下でもやはり僕も興奮してしまう。だってこんなの異世界ファンタジーのようなものだろう。


僕は元々、読書が趣味で一般的な文庫から若者向けのライトノベルまで幅広く読み漁っていたため、このような状況で興奮しないわけがないのだ。まして自分だけの能力なんて言われたら女子は百歩譲るとしても男子は燃えることは不可避だろう。きっと。


そんなこんなで自分の能力がなんだろうと色々試してみるも何が起こるでもなく普段通りの僕となんら変わらなかった。


騒がしい中ずっと静観していた仮面の人物がパン

と手を鳴らし、話始めた。


「どう〜みんな違う能力をもっているでしょ〜。これからその力で迷宮の攻略をしてもらうからね〜。早速迷宮に行ってもらおうと思うんだけど、まずは…」


「出欠確認をしないとね〜」


出欠確認?どうして?


「出欠確認?どうして?って顔してるね。ダイヤくん。」


不意に僕の名前を呼ばれ見上げると、すぐ側まで仮面の人物が寄ってきて僕を覗き込んでいた。


「え、はい。」


「単純な理由だよ〜。ここに全員が集まっているのはきっと最後だろうから何人いなくなったかを、次の時に確認するためだよ。」


「え?どういうこ」


「は〜い、君たち点呼するから名前呼ばれたら返事をしてね〜。」


僕の言葉は無視され仮面の人物は、点呼を始めた。


やがて点呼が終わり一区切りしたかと思ったが、どうもそうはいかないらしく、そのまま仮面の人物は続けた。


「さ、じゃあ早速迷宮に行ってみよう〜。」


さっきの金髪の女、リサが言う。


「は?今から?」


「もちろんもちろん。早速試したいんじゃないの〜?」


「ま、まあ」


「じゃあいいね。いくよ〜。」


そんな仮面の人物の声と同時にここにきた時と同様の光に包まれる。


次の瞬間僕たちがいたのは紛れもない迷宮であった。

















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