???
――……映像ログ破損。復元には長時間を要すると判断。
解析……完了。音声ログ検索……ヒット。最初期の記録を確認。再生開始……エラー。
音声ログ復元を優先。開始。
続けて、破損無し一部音声を再生。
「E49-ZEROtypeの起動を確認しました」
「数値は?」
「落ち着いています。リンクシステムに多少のノイズは見受けられますが、目立ったエラーはありません」
「ようやくスタートラインか。ではこれより、ZEROtypeとの対話を始める。深月、常にモニターはチェックしておけよ」
「はいはい分かってますって。博士こそZEROtypeに変な事吹き込まないでくださいよー?」
「私を何だと思ってるんだお前は……まぁいい。あー、聞こえているか? ZEROtype。もし聞こえているなら何か反応を示してほしい」
『……』
「反応無いっすね」
「おい、深月」
「どこにも異常はありませーん」
「ふむ、おかしいな。言語システムは万全の筈だが――」
『確認完了。E49-ZEROtypeは開発者、秋島聡一郎博士を認識。起動、起動、起動……完了。初めまして、こんにちは。お会いできて光栄です博士」
「おおー! ホントに喋ったっすよ!」
「どうやら成功のようですね博士。おめでとうございます」
「ふむ、起動から対話可能までのラグが大き過ぎるな。まだ調整が足らないか」
「うわっはー、もう次の課題考えてる。ちょっと博士ー、今は素直に喜びましょうよー」
「失礼な奴だ。これでも喜んでいるが?」
「無表情で言われてもピンと来ませんってば」
「私の事などどうでもいい。さてZEROtype、早速だが何処かに不調を感じたりはしていないか?」
『問題ありません。全システムは正常に稼働中です』
「ほう? 聞いたかお前達? 努力が身を結んだぞ」
「はぁぁぁ……そっすねー。約2年の苦労が報われた瞬間っす。残業はもうこりごりっすよ博士」
「その残業の時間までもうすぐなんで、手早く済ましましょうよ博士」
「あ、あはは……」
「お前達も存外感動が薄いじゃないか……。まぁいい。ZEROtype、暫し私と対話をしてみるぞ。構わんな?」
『了承します。何を話しますか?』
「ふむ……まずは――」
映像ログの復元を並行して実行中。復元完了までの推定時間……不明。
複数の画像ログを確認。致命的エラーを確認。一部復元は不可能と判断。復元可能な物を選定し復元を実行中。
全データ復元率……2%




