1.5話
幻想的な光景。ああ、どうしたらいい。
綺麗で、儚くて…
近いようで遠い。
伸ばしても、延ばしても手が届かない。
ただ、ーーはあるがままに、そこにたどり着きたい一心で苦しみ続ける。
永遠にも感じるその無様に等しい行為は、ーーの未来の暗示でもあるような気がして…
でも、振り返るわけにはいかない。
それを掴むまで、愚直に足掻き続けなければならない。ーーに課せられた罰でもあるのだから。
ゆえに、ただただ求め続ける、いつかのために。
朧気な記憶。
とても懐かしく、記憶の奥底に在りながら果てしない未来にも感じる記憶。
過去、未来が倒錯したそれは、本当に存在しているのかわからない。自身さえも曖昧で…
まとわり付くように想起される記憶に、どことなく生命を、意思をねじ曲げられるように思ってしまい、酷い恐怖を催した。
逃げてにげて、逃げたさきにも追ってくる。
「ーーはね、将来私と結婚するの!それでね、一緒に遊んで、毎日お花を育てて、向日葵でいーっぱいにしたいな。そのあとは、ーーが私をいろんなところへ連れてくの!きれいな桜とか、たくさんお花が咲いているところ!それでね、歩き疲れて一緒に眠っちゃうの。でも、起きたら一番にーーに逢えるからとても嬉しいな!あとはーーー」
忘れたい、忘れたくないその記憶。
ゆえに、ただただ逃げ続ける、いつかのために。