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22 私の夢

【あらすじ】世界No.1を目指すJ3のFCアジアの新チーム作りを任された中岡将志が、地元アマチュア選手を集め強化に奮闘。そんなある日、スターな外国人選手が入団。中岡は、韓流スターで韓国代表MFのぺ・ヨンサンの契約条件のため恋人ユンジンとの恋のキューピットをかってヨンサンのペンダントを渡した。


【登場人物】

監督 中岡将志(49)


チェ・ユンジン(25)


思い出のヨンサン(17)とユンジン(17)


【22 私の夢】


中岡は、ポケットから星のペンダントをユンジンに渡した。


「・・・ヨンサン」




店の裏口の花壇に咲いた白いユリ。


場所を移した中岡は、ユンジンに単刀直入に切り出した。


「ヨンサンは、君を迎えに日本へ来たんだ」


ユンジンは、首を振って唇を噛んだ。


「・・・忘れてください」


「どうしてだ!ヨンサンはようやく交通事故から君の記憶を取り戻して迎えに来たんだ。君だって片割れを今もつけてるじゃないか」


「ヨンサンが無事回復したのは嬉しい。だけど、もう戻れないんです」


「戻れないって、ヨンサンは今、サッカー韓国代表と韓流スターとして大成している。お互いを思う気持ちがあれば二人の離れていた時間はすぐ取り戻せる」


「違うんです」


「何が違うんだ」


中岡はユンジンの手を引いて、


「近くにいるんだ。会いに行こう」


ユンジンは、首を振り中岡の手を振りほどいた。


「来るのが遅すぎたんです。私、この店のオーナーと来月、結婚するんです」


そう言ってユンジンは、左手の薬指のプラチナのエンゲージリングを見せた。


「ヨンサンがアメリカに渡って離ればなれになっても、私は付き合いはじめたころのヨンサンとの記憶を忘れたことはなかった・・・」








金色に輝く銀杏並木を、制服を着たヨンサンと、バスケットを持ったユンジンが、制服の上にベージュのピーコートをはおって嬉しそうに並んで歩く。


ユンジンはピーコートの襟をヨンサンに見せて、


「ヨンサン、かわいいコートをありがとう」


「高かったけど、誕生日だからこれぐらいお返ししなくちゃサッカーの応援に来てくれなくなると困るからな」


「どういうこと?」


いきなりユンジンのおデコにくちづけするヨンサン。


「ユンジンは、勝利の女神だからいつも側にいてくれないと困るんだ」


ポッとのぼせてヨンサンを見つめるユンジン。


「ホントに?」


イタズラっ子のように笑って、


「ウソ。暴力女のユンジンにこれ以上、殴られたくないからさ」


ベーっと、逃げ出すヨンサン。


「本気にしたじゃないヨンサンの馬鹿!」


とヨンサンを追っかけるユンジン。






ゆらっと銀杏の葉が二人の間を流れる。


テーブルのついた公園のベンチで、バスケットをはさんで向き合うヨンサンとユンジン。


ユンジンはバスケットからケーキ箱を取り出して、イチゴのショートケーキをヨンサンに見せる。


「ヨンサンに食べてもらおうと思って早起きして作ったのよ」


ケーキに手を伸ばしたヨンサンは、一口食べて渋い顔。だが、そのまま黙って食べつくす。


「これ、味見したか?」


「えっ!どうしよう。砂糖と塩間違えちゃったかしら」


ヨンサン、他のケーキのクリームを指先ですくって、


「ほら、試してみろよ」


とユンジンの口元にもって行く。


ユンジン、ヨンサンのクリームのついた指をくわえる。


「(⁈)甘いじゃない。ホントにヨンサンはウソつき!」


「だってしかたないじゃないか、俺、ユンジンの怒った顔も好きだもん」


「そうやって、また、私をだまそうとする。もうだまされない」


怒って顔をそむけるユンジン。


「ユンジン、冗談だってば、機嫌直してよ」


そうだ!とヨンサンはポケットから何かを握って取り出す。


「ユンジン、ユンジン」


「ヨンサンとは、もう口きかない」


「ユンジン、ユンジンってば!」


「もう、何、今度だましたら一生許さないんだから!」


「ユンジン、手を出して!」


「また、何かイタズラするんでしょ」


おそるおそる手を出すユンジン。


「ユンジン目を閉じて」


「ほら、また」


「俺を信じて!今度はだいじょうぶだから」


口をとがらせて目をつぶるユンジンに、ヨンサンはそっと、ポケットから出した何かを掴ませた。


「何、これ?」


「目をあけてみてユンジン」


目をゆっくりあけるユンジン。


「ほら、手の中をみて」


不満げなまま手をひらくと、手のひらに、片割れの星のペンダントが輝く。


「ホントはコートじゃなく、これをプレゼントしたかったんだ」


意味がわからずキョトンとするユンジン。


「俺がプロサッカー選手になったら結婚しよう」


「えっ⁈」


ポケットから片割れを出すヨンサンが、ユンジンのペンダントと合わせて、


「これから俺が代表に呼ばれて、どんなに離れても二人はまたこうやって一つにくっつく」


と自分で言って恥ずかしくなったヨンサンは、ケーキを口に慌ててつっこみのどをつまらせる。


「だいじょうぶヨンサン!」


ユンジンが飲み物をヨンサンに渡す。


「ユンジン。ケーキまた作ってくれよな美味しかった」


優しい微笑みをユンジンに向けるヨンサン。


頷くユンジン。








しゃがんでユリの花をなでるユンジン。


「その後、ヨンサンと別れてから交通事故で、突然、私の前から彼はいなくなった」


「なら、なおさらユンジン。君は帰って来たヨンサンの気持ちに応えるべきだ」


悲しく首のペンダントを掴むユンジン。


「私は、ヨンサンの事を一度も忘れた事はない。ここで働いたのも、私のケーキを食べて微笑んでくれたヨンサンの笑顔が忘れられないから」


「忘れられないからやり直せばいい。結婚すると言ってもまだしたわけじゃないんだまだ間に合う」


「いいえ違うの中岡さん。私には新しく大事な人ができたの」


「君はヨンサンを忘れちゃいないんだろ?」


「ポラリスのオーナーは、待ってくれた。支えてくれた。ヨンサンを忘れられない私に新しい目標をくれた。だから私はオーナーを裏切れない」


「新しい目標?」


ユンジンは、首のペンダントに手をかけて、


「結婚式当日に外そうと思ってたけど、ここで外すわ」


「ユンジン、ホントにいいのか?」


「今は、このポラリスが私の中のヨンサンと私の夢。スターになったヨンサンはもう私のヨンサンじゃない」


「だったら、俺はヨンサンにどう伝えればいい」


立ち上がって中岡に背をむけ遠く六甲山の空を見るユンジン。


「ヨンサンには、ユンジンはもうどこか遠くに行っていなかったって伝えて」


ユンジンはそう言って中岡にペンダントを渡す。


「ホントにそう言って、ヨンサンにこれを渡せばいいんだな!」


黙ってうなづくユンジン。


「(大きくため息をつき)俺は、あとはどうなってもしらないぞ。後悔しないんだな」


「中岡さん。もう行って・・・」


とユンジンの前に咲いたユリの花に一筋の悲しい雫がこぼれた。


(つづく)







チキショー、みんな勝手に動いて長なった。あ~しんど(´Д` )(笑)


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