18 カンポスの約束
【あらすじ】世界No.1を目指すJ3のFCビシャモンテ尼崎の新チーム作りを任された中岡将志が、地元アマチュア選手を集め強化に奮闘。そんなある日、オーナーに推薦されたGKは暴走族のヘッドだった。中岡は、彼をチームで更生させるべく族の集会に乗り込みスカウトするのだが、そこへ因縁の暴走族が現れケジメのリンチへと発展する。
【登場人物】
監督 中岡将志(49)
暴走族ヘッド カンポス園田(19)
暴走族ルシファー ヘッド 金本(19)
神威メンバー 塚口(17)
FCビシャモンテ尼崎オーナー 滝本光
FCビシャモンテ尼崎GM 鈴木政之助
機動隊長官 長谷川(42)
【18 カンポスの約束】
「お前ら、全員、皆殺しじゃ‼」
黒の一団が一斉に金属バットを振り上げた。
その瞬間、暗闇のバスロータリーは一瞬で光に包まれた。
「兵庫県警交通機動長官、長谷川平蔵である。凶器準備集合罪適応!黒の一団を確保せよ‼」
バスロータリーの四方から包囲した武装した交通機動隊が突入。
逃げる隙も与えず、瞬く間に、黒の一団を殲滅、捕縛した。
それでもなお、一人バットを振り回して抵抗する金本に、長谷川はずいっと身を寄せて、体を沈めたかと思うと一瞬で金本を投げ飛ばした。
平蔵は、中岡をみつけ金本に向けた鬼の形相とは一転して優しく
「中岡さん、怪我はねぇかい?」
「どうしてここへ?」
「ああ、あんたんとこの上司の鈴木さんがもしもの事があっちゃいけねぇーからって、遠くから見守ってやってくれって連絡があってな」
中岡は、カンポスたちを背に隠すように一歩すすんで、
「こいつらは、暴力なんか振るっていません。責任はすべて俺が引き受けますこいつらは許してやって下さい」
難しい顔をした平蔵、後ろのカンポスへ声をかけて、
「中岡さんはそう言ってるぜカンポスよ」
「中岡は、関係あらへん。金本の狙いは俺や。中岡が責任を取るのは筋違いや」
平蔵は、中岡に
「俺たちもわかってるんだ中岡さん。こいつらは、犯さず、盗まず、弱い者には暴力をふるわず、ケジメをつけて生きてる。だがな、今の警察は、事が大きくなったら目こぼしできないんだ」
「どうすれば、こいつらを救えるんです」
「そうだな。こいつら全員引き受けて面倒みて更生さしてくれりゃ、俺も上司に話やすいんだが」
「それは俺が何とかします」
「もう一つあるんだ。騒ぎを聴いたマスコミを抑えねぇーと、(首をたたいて)こっちも飛ばされちまう。そればっかりは、いくらお前さんでもできねぇ相談だぜ。だから、こいつらも連れて行くしかねぇーんだ」
「俺は、カンポスにサッカー選手として輝く未来がみえたんだ。マスコミには、俺の責任にしてこいつの道をつけてやりたい。だったら、俺はあんたをぶん殴って、こいつらのニュースをすっ飛ばす」
中岡が決然と立ち上がった。
「中岡、早まるな!」
平蔵の後ろからGM鈴木とオーナー滝本が割り込む。
「中岡、俺とオーナーもカンポスのスカウトをお前に任せたはいいがやっぱり気になって遠くから警察と見ていたんだ」
「そうだ中岡君。君の熱意とカンポスの男気はみさせてもらったよ。ここにいる白の一団は私が引き受けよう。そして、長谷川さん、マスコミの方は私に任せてくれないか、これでも私は、少々、顔が広いんだ。頼む」
平蔵は頷いて。
「凶器準備集合罪適応の黒の一団は確保した。引き上げるぞ!」
平蔵が、あごをしゃくってルシファーのメンバーを一斉検挙連行を促す。
身を乗りだしたカンポスが
「ちょっとまってくれ!金本と話をさせてくれ!!」
平蔵が目で合図を送り金本の手錠を解いた。
「なんやカンポス、もう用はないはずや。最後に俺を笑いに来たか」
「金本、俺は子供の頃から、お前を親友やと思っとる。罪を償って真人間になって返ってこい。俺は先に行って待っとる」
「ふっ、カンポス馬鹿やなお前いつまでもガキのまま。俺と関わったらお前の未来に傷がつく。俺は、二度とお前には会わない」
金本はカンポスに背を向けて平蔵に腕を出す。
平蔵は金本に手錠をし、護送車へ歩き出す。
「金本!帰ってこい俺は待ってる!!」
背を向けたままの金本が立ち止まって、そのまま、腕を、指を突き上げた。
「約束せえカンポス、てっぺん取って来い!それが、俺への花向けや。ほなな」
突き上げたNO1の指先をひらいて金本はサイレンとともに去った。
事件は翌朝の市内の新聞にはこう書かれた。"黒の暴走族一人を集団リンチにより警察の一斉検挙で壊滅"
二面目の小さい記事に、"FCビシャモンテ尼崎選手第一号 !GKカンポス園田くん"
と中岡と写るカンポスの姿がそこにはあった。
(つづく)




