15 度胸試し
【あらすじ】
世界No.1を目指すJ3のFCアジアの新チーム作りを任された中岡将志が、地元アマチュア選手を集め強化に奮闘。そんなある日、オーナーに推薦されたGKは暴走族のヘッドだった。中岡は、彼をチームで更生させるべく族の集会に乗り込んだ。
【登場人物】
監督 中岡将志(49)
暴走族ヘッド カンポス園田(19)
【15 度胸試し】
夜を照らすヘッドライト。
翻るチーム神威の旗。
ここにいる男たちは皆、真っ白な特攻服に身を包み、頭をリーゼントにきめ鋭い目光を放っている。
中岡は、サッカーボールとキーパーグローブを抱えて乗り込み、男たちのバイクに立ちふさがった。
「ここのリーダーカンポスは、どいつだ、俺と勝負しろ!」
族のメンバーも、いきなりタイマンを仕掛けた相手が元サッカー日本代表の中岡だとわかると驚きがかくせない。
数十台の改造バイクの中に単身乗り込む度胸と、キチガイじみた暴挙に、ひねた族たちもあっけにとられている。
中岡は、その中で一際輝くマッドブラックのボディーに、天を突き反り返るメタルマフラーのバイクにまたがる男をみつけた。
唯一、頭に真っ赤なハチマキを巻き、肩に同じ赤のタスキをかける。
(あいつがリーダーのカンポスか)
カンポスは、バイクを降り、中岡の眼前に来る。
「あんた頭だいじょうぶか?喧嘩上等、その手のジョークは通じへんで」
中岡は、意外だった。族のヘッドをつとめるほどの男だから、どれほど、いかつい体格かと想像していたが、中岡を睨みつける男は小男だ。
178cmの中岡の鼻先ほどしか身長がない。おそらく、160cmあるかないかだろう。
(これじゃ、GKには向かない)
サッカーのGKは、縦2.44m横7.32mあり、およそ体を横に広げて3人分ある。
常識的に考えて、この身長じゃジャンプしても縦のゴールバーに届かない。
(けれど、オーナーの娘を助けたこの男の漢気に中岡は興味がある。ならば、ダメもとで試して見るか)
中岡は、カンポスを睨み返して、
「俺は、お前をサッカーにスカウトに来た。暴走族なんかやめて俺と来い!」
「はぁ⁈ホンマに頭だいじょうぶか中岡。俺は族やぞ?野球はやっても、サッカーはしたことすらないわ」
「わかってる。俺はお前の度胸を買いにきた俺とPKの勝負しろ!」
とサッカーボールとキーパーグローブをカンポスの胸に突きつけた。
「ハハハッ、マジか中岡。俺にサッカー勝負しろってか?なんでそんなメリットないことせなあかんねん」
「喧嘩上等はウソか?」
「はぁ?わけわからんタダのサッカー勝負なんかできるか!」
中岡は、カンポスのバイクに目をやると、近づいて、
「このバイク、ヤマハのVmax最高のバイクじゃないか、高かっただろ?」
「仲間がみんなで金を出しあってくれた、最高の贈り物だ」
「お前たちは社会のはみ出し物でも仲間の友情は大切なんだな」
「そうや、俺のチームは最高の仲間たちやバイクはその証や」
「そうか」
中岡はいきなりバイクを蹴り倒し踏みつけた。
「何すんねんワレ!殺すぞ‼」
「俺とお前でPKの勝負をして、お前が買ったら、バイクの修理でも新車でも買ってやる。負けたら俺と来い‼」
カンポスは、怒気で顔を赤らめ、中岡に噛み付く。
「中岡!今更、言い逃れはでけへんで、俺が勝ったらきっちり落とし前つけてもらうで覚悟せえや」
(つづく)
この話は完全にフィクションです
m(_ _)m




