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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第十七章  新婚生活
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新婚生活

   第十七章  新婚生活


 次はどこを案内しようかなって考え、いいところが無いかPCで検索をかけていると、魔法関係でヒットした検索の中に最近の事件として気になる情報を見付けた。

 外国の話になるのだが、魔法使いを名乗る男が暴れているという記事のようだった。記事自体は英語で書かれていると思うので写真とか、同じく日本でその記事を見た人のコメントで内容を把握するしかなかったのだけれど、それによると人を襲ったり強盗したりしているらしいのだが、警官なども対処しきれなくて手を焼いているのだそうだ。

 むー、もう少し詳しく知りたいのに、英語は読めないのだよな・・・・・・

 (リードランゲージ)

 魔法で読めないものかと翻訳の魔法を発動させて見ると、普通に読めるようになった。魔法は何でもありだな・・・・・・おかげで記事の男のようにやりたい放題出来るのだろうが・・・・・・


 詳しい情報を調べていくと、どうやら雷を操る事が出来る魔法によって、気に入らない人に攻撃したり銀行を襲ってお金を強奪したりしているらしいのだが、男を銃で制圧する事も難しく見ていることしか出来ないという内容だった。ちなみにアメリカかと思っていたのだけれどイギリスの事件みたいだった。

 相手の魔法使いはスナイパーが出動しても制圧出来ず、軍隊でも傷付ける事が不可能だったという話で、今なおやりたい放題暴れていると書いてある。

 さすがイギリス、現代に至るまで魔法使いが生きていたのかそれともレイシアと同じ世界から来た魔法使いなのかな? でも、僕は周りを見渡して周囲に魔力が無いことを確認すると、イギリスには魔力があるのかなって疑問を感じた。魔力が無ければ使い果たして直ぐに制圧されるものだと考えたのだけれど、この魔法使いは使い続けているよな・・・・・・

 ひょっとして魔人とかだったりするのかな? 地球産の悪魔って線もあるかも?

 そんな感じで他にも情報が無いかと思って検索をかけていっていると、おかしなホームページを発見した。何も書かれてはいない真っ白な画面に、文字が浮かび上がっている。

 むー、どうやら魔力で書かれた文字のようだな。内容は秘密結社の情報交換サイトとなっている。

 少し興味が出たので掲示板のようなところへ移動してみると、先程の事件に関する書き込みがいくつかあって、ついでにこの犯人の魔法使いを排除しようと言う流れがあるのがわかった。

 魔法を秘密にしている関係で、ああも堂々と魔法を使われるのは困るってことらしいね。でもその掲示板に書かれている秘密結社の人達では太刀打ち出来ないのでどうしたらいいのだろうみたいな感じだった。

 でもって僕の興味をさらに引く情報に、この魔法使いをどうにか出来た場合は賞金を出すというものがあった。つまり賞金がかけられているのだ。

 ふむ。活動資金が手に入るのは願ってもないことだな。賭けられている賞金額は二十万ポンドと書かれているな。日本円に換算すると大体三千万くらいになるか・・・・・・大物だな~。ちょっと冒険者気分で行ってみてもいいかもしれない。


 「レイシア、ちょっとお金を稼ぐのにこちらで暴れている魔法使いを倒そうと思うのだが、どうかな?」

 「別にいいけど、こっちでは魔法ってあまり使えないんじゃないの?」

 「僕らのようにSPの回復力が高いのかもしれない。詳しいことはわからないけれど、どうやらイギリスって国で暴れていて、賞金がかけられているみたいだ。どうもこちらの兵士では対応出来ないみたいだから活動資金を集める為に倒してみようかと思っているけれど、一緒に行ってくれるか?」

 「ええ、もちろんよ」

 じゃあ、倒したはいいが賞金を払わないとかになると厄介なので、まずはしっかりとお金がもらえるのかどうかを確認しに行ってみよう。ネットでこのサイト調べて、賞金の受け渡しについての情報を探ると、秘密結社ノアと言うところの本部で賞金の受け渡しを行うとなっている。まずはここでしっかり確認かな。

 秘密ということからして、本部の位置が書かれていないので、下手をすれば賞金が貰えない可能性を考えて、まずはこの本部を探す事にしよう。パペットに栽培の方をよろしくと頼んで、レイシアと一緒にイギリスへと転移する。

 まずは適当な大きな町へと降り立つと、魔力探知で魔法にゆかりがある場所を探ってみた。すると見知った魔力を発見する事が出来た。

 「何でロップソンの魔力がここにある?」

 「こっちで暮らしていた時に、何かお仕事していたからじゃないの?」

 「うーん。この反応はあの魔石ってやつだと思うが、探して見ると結構な数があるぞ」

 あの野郎、世界中に魔石をばら撒いたのか? とすると、ひょっとしたら今回の事件はそのロップソンがばら撒いた魔石が原因の可能性があるな。あいつの後始末ってことか・・・・・・

 「まあ、とりあえず秘密結社とか言うところの本部で、詳しい話を聞こうか」

 「うん」

 魔石が一杯集まっている場所があるので、おそらくそこが本部なのだと思う。早速そこへ転移してみると・・・・・・


 ガッシャーン


 あ、またなんか結界みたいなものを突き破ったみたいだ。とりあえず見た目は普通の建物に見えるそこの入り口へと降りると、建物の中から人が一杯出て来た。その誰もが魔石を持っていて、どうやらそれが魔法発動の媒体になっているので間違いなさそうだった。

 となると、暴れていた男もここの関係者って事になるのかな? それならこの秘密結社自体がそもそもの事件の元凶かもしれない。

 「何者だ!」

 三十人程の人間が出て来て、その中の一人がそう尋ねて来る。何者・・・・・・うーんどう答えるべきか難しいな。逆にこいつらが何者かって聞きたいくらいだしな~

 「お前達は魔法を悪用する組織で間違いないか」

 まあ、どっちにしても現代社会で魔法を使って何かしようという集団は、ろくなやつらじゃないしね。そんなやつらに魔石など持たせていたらろくな事にならないだろうと判断して、叩き潰す方向で考えておくかな。

 「ふざけるな、貴様らなぞ我らの力で押し潰してやる」

 秘密結社の構成員の一人がそう叫ぶと魔法を使って来た。

 「借り物の力がお前らの力だって? そんな物を持っているからおかしな事を考えるようになるのだ」

 こちらに向かって飛んで来た火の玉は、学校の授業でどこかの生徒が使っていたようなしょぼい感じの火の玉だった。これなら魔法防御を意識するまでもなく、僕にダメージを負わせる程でもない。それよりも明確に他者を魔法によって殺傷しようという意思を見せた事が、こいつらの組織の在り方を僕に伝えて来た。

 つまりは悪の秘密結社って事で間違い無さそうだ。とすると町で暴れているのはこいつらの元仲間で、賞金をかけたのは身内でどうにかしてくれって内容だったということだ。通りで本部の場所を書いていないのに、受け取りは本部でってなっていた訳だ。ただ働きにならなくてよかったけれど、魔石の悪用は見捨てて置けないな。

 「ファイアアロー」

 魔法の数は丁度三十人分。一人一つの魔法の矢がそれぞれの標的へと突き進んで魔石諸共燃やす事になった。まあさすがに殺すまで行くと後味が悪いので、しばらくは身動きも出来ない程の傷で抑えておくけれど、後でこいつらの実力を確かめて魔石以外でも魔法が使えるのならば、対応しないと駄目だろうな~

 やっぱり殺すか?


 「ま、待ってくれ。少し話しをしないか?」

 建物の中からリーダーっぽいやつがお供を五人連れてやって来た。魔石をジャラジャラ着けて、おまけに防御の魔法まで使っているところを見ると、おそらくリーダーで間違いは無さそうだな。悪党っていう程悪人面はしていないが、こういうやつ程警戒は必要だろう。

 「少しだけなら聞いてやろう、だが魔石の悪用を認めるつもりはない。それは破壊させてもらうぞ」

 「待ってくれ、我々も魔石の悪用は考えていない」

 「嘘を付くな。実際にこいつらは魔石を使って攻撃して来たではないか。今町で暴れている奴も、そうなのだろう?」

 「確かに今暴れている奴は、魔石を使って暴れているが、私達の全員がああいう目的に魔石を使おうとは考えていない」

 一部の魔石持ちが暴走しているって事か?

 「バグ。嘘じゃないみたいだよ。少なくとも今喋っている男は魔石を悪用したくないって感じ」

 お、レイシアには嘘発見のスキルがあるから、これは信じられそうだな。とすると、魔石を手に入れてそれを自分の実力と勘違いしたやつが勝手に騒動を起しているってことか・・・・・・どっちにしても、魔石はいらないよな?

 「魔石をその場で捨てるのならば、ゆっくり話を聞くが?」

 「それは・・・・・・」

 「嫌なら全て破壊して行くだけだ。抵抗したいのならしても構わんぞ」

 「待ってくれ、確かに我々の魔石に対する認識が甘かったことは認めるが、破壊は待って欲しい!」

 「待ってどうしようと? お前達では暴走した男に対処出来ないというのならば、今後の事も考えここで全て破壊しておくのがいいのではないのか?」

 「少し時間を、チャンスをくれないか?」

 時間か、こちらもいきなりだったしとりあえず暴れている奴を先に対処して、賞金をもらった後で話し合ってもいいかもしれないな~

 「暴れている奴にかかった賞金は貰えるのか?」

 「え? ああ、準備させよう。その後でゆっくり話が出来れば嬉しい」

 「話は終わった? とりあえずこの人達を癒すね。ヒール」

 そういえば焦げたまま放置していたな。それをレイシアがまとめて癒して怪我を治してくれる。全員意識は失っているものの、これでそのうち目が覚めるだろう。裸だけれど・・・・・・


 「じゃあ、後で寄る」

 そう言うと、暴れている男の居場所に転移した。魔石を追跡出来るので、居場所は直ぐにわかったからそこは問題ないのだけれど・・・・・・この野次馬をどうするかだな~。影渡りであいつそのものをこちらに呼び寄せれば目立つ事無く排除出来るか。そうすると、どこで戦うのがいいかな~。周囲を確認して、人目に付かない場所を探してみる。

 「あっちに人がいなさそうな山があるよ」

 上空でレイシアに支えられていると、僕が何を考えていたのかわかったのかそう言って来た。確かに山の中なら好きに暴れられそうだな。早速そっちに転移すると、影渡りを使って暴れる男を呼び出した。

 「何だ、何が起こった! お前ら何者だ!」

 ここでも何者か聞かれたよ・・・・・・

 「お前と同じ魔法使いってことにしておこう」

 「はん、上等じゃねえか。俺様に勝てると思っているのなら返り討ちにしてやるよ、かかって来な」

 おー、相当自信があるのだな~。じゃあお言葉に甘えて攻撃させてもらおうかな~

 「アースボム」

 座標爆破で、男が持っていた雷の魔石が吹き飛ぶと同時にその余波を受けた男が大怪我を負って吹き飛んだ。

 「次はそちらの番だ、好きに攻撃していいぞ」

 そう言ってやったのに、その男はがたがた震えるだけで、何もしてこなかった。どうやら本当に魔石が無くなると、ろくに魔法が使えなくなるようだね。やっぱり魔石はいらないと思うな・・・・・・


 男を止血だけして本部へと戻ると、僕達はリーダーのいる部屋に案内された。連れて来た男はそのまま秘密結社の人に連れて行かれる。まあその後どうなるかはどうでもいいかな・・・・・・

 「ほんとにあっさりと倒してしまったようだな。報酬はこちらに用意してある、確認してくれ」

 そう言って差し出されたアタッシュケースの中身を確認して、探査魔法で調べると間違いなく本物だと確認出来た。ちょっと中身が新聞紙とかだったら面白いとか思ってしまったけれど、まあそんなことしたら本部は無くなっていただろうから、冗談でもそんな事はしなかったようだね。

 「さて、改めて私はこの秘密結社ノアのリーダーを務めているグルノースと言う。暴れていた男を捕まえていただき感謝する。それといろいろと失礼があったようで、謝罪させていただきます」

 「ああ。それでやはり元凶はあの魔石だと思うが、やはりあれは無い方がいいと思うのだが?」

 「確かに魔石はとても危険なものだということが今回の件でよくわかりました。ですがそれは使い方を誤った場合ですので、正しく使えばとても有用な物だと我々は考えています。魔石の管理とルールを見直せば問題を起さないように出来ると思えるのです」

 「では、ルールの穴を突いて今回のような事件に発展した時に、どう対処するのかを教えてくれ」

 「それは・・・・・・相手より多くの魔石による波状攻撃で何とか・・・・・・」

 「では、貴方以外の全てが裏切り、全員が魔石で組織を奪った場合はどうする?」

 「それは・・・・・・」

 グルノースはそう言ったまま黙り込んだ。もし組織の全員が裏切った場合、どう考えても対処は出来ないと考えられる。多分リーダーであるグルノースもそう判断したのだろう。

 今回の事件で厄介なところは、魔石を使えば警察や軍隊も手が出せなくなったということだった。これで銃器があれば大丈夫だよっていうのなら、便利な道具として使いましょうでいいのだけれど、より上位の存在である僕がいなければあのままずっと暴れ続けていた可能性もある。そこをきちんと考えてもらわなければいけない。

 「人は力を手に入れた時、例えそれまでの人生でどれほど聖人の様な生き方をしていたとしても、人が変わったようになる可能性がある。この人なら大丈夫、信用出来るなど何の当てにもならん。ならば今回の事故は今回だけでもう二度と起こらないと考えるよりは、何度でも起こると思って考えた方がいい。もう一度聞くが、事件が起こった時どうする?」

 「我々には、どうする事も出来ないと思います」

 「それならば、魔石の放棄を勧めるが、お前の考えは反対か?」

 「いえ、我々が扱うには、大き過ぎる力だと思う」

 「では処分するので、ここに集めてもらいたい」

 「わかりました」

 そう言うと、ノロノロとした動きで部屋を出て行った。


 「魔石を悪用しないような方法とかって、無いの?」

 グルノースが部屋から出て行った後、レイシアが疑問に思ったのか、聞いて来た。

 「どうだろうな~。今この場で何かしらの対策を施したとして、それが完璧かどうかわからない。どこにでも狡賢いやつっていうのはいるからな~。後々その穴を突かれて世界が混乱しても駄目だろう?」

 「そうだね。じゃあやっぱり魔石はこっちの世界には無い方がいいんだね」

 「いい方向で使うならば、あってもいいと思うけれど、悪用されると手が付けられないってなるなら、無い方がいいだろうね。向こうでなら、なんとでもなるからいくらでもあって構わないのだがな~。世界が変わるといろいろと考えないと駄目だから、面倒だよな」

 「そうだね」

 しばらくして、かなりの量の魔石が運ばれて来た。レイシアに目配せした後、僕はグルノースへと質問する。

 「魔石に関する物はこれで全てか?」

 魔石だけでなく魔石に関連性のある物、つまりロップソンがいない現状で魔石を作ることが出来る物が存在しているはずである。見たところここには魔石しかない・・・・・・

 「はい、これで全てです」

 「嘘を付いているみたい。まだ何か存在しているみたいよ」

 グルノースの答えを、レイシアがそう否定した。

 「さすが秘密結社。意地でも逆らおうという考えと受け取っていいのかな? ならば関係のあるもの全てをこの地から排除すればもう二度と事件を起さなくなると考えた方が安全か・・・・・・」

 「違う、これで全てだ!」

 「魔石を作る装置はどうした? それにこの建物にも魔石が使われているな。そして今町に何人かの部下が、魔石を持って行動しているようだが?」

 「! わかった。持って来させる・・・・・・」

 「その必要は無い。お前の信用はもう無くなった。こちらでロップソンに関わる物は全て破壊させてもらう」

 「知っているのか・・・・・・ではやはりお前達は異世界人なのだな」

 「いや、彼女は確かに異世界人だが、僕は元々こちらの世界の人間だ」

 そう言うと、イギリス各地にある魔石をアースボムで吹き飛ばした。まあ近くにいた人間が多少の怪我をしているみたいだけれど、そこは許容してもらうかな。反応はイギリス以外に日本にもあるみたいで、そっちはおそらくロップソンがお世話になっていた人達の所みたいだね。こっそりグルノースを窺うと、瞳の中にまだだって感じの押し殺したものが見て取れる。

 僕達がいなくなった後日本と連絡を取って、魔道具を手に入れようって考えているのだろうな~


 そうと知りつつ日本に帰ると、早速魔道具や魔石を破壊する為の行動に移る。まずは普通に以前ロップソンを迎えに行ったところへ赴き、イギリスと同じように話し合いをした後魔石の破壊を納得してもらう。その時点でイギリスから来ていた秘密結社の仲間が魔道具の一つを手に入れて、本部へと帰還しようと移動して行くのがわかっていたけれど、まあとりあえず日本側としっかりと話をした上で、持ち逃げ中の物以外を処分した。こちらは秘密結社ほど抵抗したりしなかったので、いずれ魔力の泉から同じような魔石が作り出せた時に備えて、魔石悪用者を無力化する為の魔道具を作って渡す事にした。

 物としては、十個の指輪を作って、その着用者はあらゆる魔力の関わった影響から一切のダメージを負わないという物、魔石が一般的になった世界が来るとするなら、それなりに厄介な魔道具になると思うけれど、まあその時には指輪を悪用する意思を感じたら崩れるようにしておいた。

 こんなものでいいかな? 絶対ではないけれど、これで何とかしてもらいたいと考える。後は逃げた秘密結社に対応したら大丈夫だろう。

 レイシアがたいして活躍出来なくて暇そうだったので、最後のおおとりをお願いする事にする。

 「召喚、デーモン。これから送る先の人間に恐怖を与えなさい」

 「じゃあ送るぞ~」

 デーモンだけなら影渡りでいいか、影から出て来る演出にもなるしなって考えて、転移ではなく影渡りで秘密結社が乗る車に送り付けることにした。僕達は結果を見る為に、転移で上空へと移動してその結果を見届ける。

 ろくに使えない花火のような魔法で対抗しようとしている秘密結社達を見て、デーモンが馬鹿にしたように挑んで行くのがわかった。そのドサクサに紛れて魔道具を破壊すると、後はデーモンのやりたいようにさせておく。

 「デーモンがもっと人間で遊びたいって言っているみたい」

 「じゃあ、あいつらと一緒に本部に送り付けて、僕達が帰るまで遊んでいてもらおうか」

 「わかった、じゃあ飛ばしておくね」

 「ああ、こっちは拠点に帰ろう」

 元は魔法を良い事に使おうと思っていたのかもしれないけれど、やっぱり力を手に入れると人は歪むのだろうと考えながら、拠点へと帰って行った。その後はちょくちょくと日本だけでなく外国も観光して回り、数日後に薬草の栽培が終わると早速素材を並べて、調合を始めることにする。

 こっちは作ることを予測していたから道具持参で来ていたので、スキルではなく普通に加工していく。ただ一万五千人分と必要な薬の量は多く、さらに予備として余分に作っておこうと考えると、それなりに時間がかかるだろう。だから錬金術を扱えるレイシアには一緒に調合をしてもらい、二人でドンドン加工していった。

 そこそこ苦労した結果、二日かけて必要量をそろえることが出来た僕達は、いよいよ元の世界へと帰る準備を整えていく。

 まずは拠点の破棄、そしておじさんおばさんなどの記憶操作を解除すること、僕が生きていたというのは夢とでも思っておいてもらおう。ただし、生まれ変わってどこかで幸せに生きているって感じで納得してもらうことにする。

 後はデーモンを送還すると僕らはパペットも連れて帰還した。

 お金は、残しておくとどうなるか判らないから持って行く事にする。相場が駄々下がりしていたり、使えなくなっていないといいな~


 帰る時のイメージには、なるべく時間の概念も意識することにする。十年後とかになっているのもそうだけれど、逆に十年前とかも困るので出来たら転移したその時間に帰れるようイメージして転移する。

 「主よ、無事に帰還したか」

 「ああ、ただいま」

 帰って来ると、ホーラックスが出迎えてくれた。あー、砂時計を見てさほど時間が経っていないことを確認したのはよかったけれど、時計を買って来たらよかったと今更ながらに思い至る・・・・・・

 何気に失敗したな・・・・・・まあ今はいいか、いずれ買いに行けばいいのだからね~

 さてせっかく間に合いそうだったので、ポルヌクツの元へと転移して薬を運んだ。

 「先生、忘れ物ですか?」

 戻って来た時、時間はさほど過ぎていなかったから、ワレスホルト国側もまだ薬を配ろうと運搬作業の真っ只中だったみたいで、僕らはそんなところへと再び現れたようだな。

 「いや、追加分が完成したので、届けに来た。予備も含めて五万と少し、受け取ってくれ」

 「それは本当ですか!」

 「ああ、何とか準備で来た。後はがんばれ」

 「先生、ありがとうございました」

 「ゆっくり休んで体調を治せよ。じゃあまたな」

 「はい! 今度はゆっくりと食事しながらくつろげる場所に招待します」

 「楽しみにしていよう」

 拠点へと帰って来ると、一段落したことにホッとして二人揃ってゆっくりとお茶を飲むことにした。次はこっちの結婚式だな~

 司書パペットに結婚の儀式をするのによさそうな教会を調べてもらって、後日そこへ行くことにする。それとは別に、日本式の結婚式もする為に眷族やパペット達にその準備もお願いした。

 また物が作れることと、僕の結婚を心から喜んでくれているのが伝わって来る。ほんと僕には勿体無いくらいにいいやつらだよ。


 「そういえばメリアスの恋人の人間はどうした? あいつも魔王軍の拠点にいたはずだよな?」

 「えっと、生き残りのモンスター達と一緒に過ごしているわ」

 「拠点にいたのか! 顔合わさなかったぞ」

 人類の敵にはならないとか言っていた奴が、モンスターと一緒に過ごしていたのか・・・・・・変われば変わるものだな~

 「今ではモンスターとも仲良くしているみたいで、学校にも通っていたよ。そのフィリオのことで何かあるの?」

 「あ、いやあいつらも結婚するのなら、一緒にどうかと考えたのだがな」

 「メリアスはサキュバスだから、教会には入れないかも・・・・・・」

 「ああ、そっちは僕らだけになるけれど、日本式の結婚式もするからそっちの方でお祝いしてやったらどうかと考えてな。別にもう一組カップルが増えても構わないだろう?」

 「うん、いいと思うよ! 一緒に結婚の儀式しよう!」

 「メリアスにはこっちで伝えておく。わからないこととかあったらメリアスに聞いてみてくれ。多分あいつも日本式のことはわかると思うが・・・・・・ああ、ちゃんと理解しているみたいだな、後でいろいろ話をしようって言っているぞ」

 「わかった、後で話して来るね」

 眷族とパペットとは繋がりがあるお陰で、簡単に連絡とか出来て便利だな。メリアスに結婚式のことを伝えると凄く喜んでいたので、こちらまで嬉しくなる。まあ、こっちの世界式の方は、参加させてあげられないけれどね・・・・・・

 ベルスマイアが結婚の儀式を出来ればいいのだが、魔人だしそもそもがサフィーリア教の信者じゃないからこればかりはどうしようもないからな~。魔族に寛容なサフィーリア教信者って、どっかにいないものだろうか・・・・・・まあさすがにこればかりは無理があるかな。やっぱり諦めてもらうしかないだろう・・・・・・

 本当なら僕らも諦めた方がいいのだけれど、まあこっちはお試しだな~


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