進化の準備とお手伝い
昔の経験からドラゴンランクの素材は無理だという事はわかっていたけれど、それなりの大物は倒す事が出来るくらいの力はあると判断する。ただ、倒すのと生け捕りではまたちょっと難易度が変わって来るのだけれど・・・・・・さてさてどうしたものか~
まず合成魔法が使えなくなっていたので、相手に幻覚を見せて捕まえる方法が使えない。そして闇属性の魔法も使えないから、相手の意識を奪って無傷で捕らえる方法も使えない。身体能力的にも、愕然と能力が落ちているので人間相手なら圧勝出来ても、上位モンスターを相手にするには何もかもが足りない感じだった。
この状態で十体のモンスターを捕獲する必要がある。ホーラックスとかレイシアに頼めば何も心配はないのだがな~
こういうイベントというか、何々を幾つ取って来い的クエストって自分で条件を満たしたくなるのがゲーマーってものだよな~
司書パペットが情報を集めたリストを見ながら、よさそうな相手を探してみると手始めとしていいかなって思ったのがロック鳥だった。こいつは鳥の癖にやたらとでかい上に結構強いやつだった気がする。そしてこいつの卵はよくゲームで料理の素材として使われていた気がするな。素材集めにしばらくかかるだろうし、のんびり始めるには丁度よさそうな相手かもしれない。そのついででちょっと卵の入手計画も進めてみるかな?
上手く行けばロック鳥の卵を安定供給できるかもしれない。
そんな訳で早速ロック鳥が生息している山岳地帯へとやって来た。レイシアも一緒に来ていたけれど、送迎ともしもの時以外は手出ししない事になっているので、なるべく無様にならない程度にがんばりたいと思う。後、レイシアにはこの近辺で他のロック鳥を捕獲する時に協力してもらうことになっていて、卵の安定供給用のロック鳥を確保する計画を伝えてある。
まあ今回捕獲に失敗しても、他のを捕まえればいいという結構気楽な感じで素材集めはスタートした。
僕もロック鳥も空が飛べるので、中々楽しい空中戦をすることになった。こいつは相手がドラゴンでも、お構い無しに襲って来る結構獰猛な鳥なのだなって思いながら、魔法で感電させての捕獲を試してみる。
(ショックボルト)
まあこれは攻撃魔法になるのでショック死したら捕獲失敗って感じになるので、闇系統の精神攻撃が欲しかったのだけれど・・・・・・まあないものねだりをしても仕方がないよね。幸いここで死んでしまっても他に変わりがいるので、遠慮なく試していけるのは利点でもある。
それよりも、空を飛ぶ者として風属性を持っているからか、こちらの雷に対してある程度抵抗力があり、威力が半減しているらしいな。最悪じゃないのは風属性の攻撃だからと吸収されないだけまだましなのだが、ショックボルトに耐えられると傷付けずに捕獲しにくいっていうのが厄介ではある。
おまけにたいして効かなかったみたいだから思いっきり鉤爪と嘴で攻撃されてしまった。その攻撃は鉄壁のスキルで弾いたおかげでこっちも無傷だったのだけれど、捕獲するにはどうしたらいいのだろうか・・・・・・
ショックボルトが通じないので、お互いに肉弾戦をしながら何かいい方法がないか考え、そのまま特に決め手が思い浮かばないまま殴り合いがしばらく続いた。それくらいの余裕があるだけまだましではあったけれど、そこでふと捕獲するといえばって感じで想い出したことがあった。
捕獲といえばよくレイシアがアラクネを使って敵を捕獲していたじゃないか。属性的にも土なら使えるじゃないか。
(スパイダーネット)
やっぱりまだ少しボケているのか、昔よく使っていた方法を忘れているとは、うかつだったな・・・・・・。詠唱一回では相手がデカ過ぎて完全に動きを封じ切るだけの効果がなかったので何回か魔法を使うと、やっと失速して地上へと落ちていった。いろいろな意味で、予想外過ぎる相手だったなと考えつつも、このまま落ちて死なれては困るので糸を掴んで落下ダメージを軽減する。
軽減しかできなかったのは、翼がそれだけの浮力を持っていなかった事と、こいつが重過ぎたのが原因だった。落下後、絡め取られたロック鳥の下にレイシアがやって来て、捕獲用の首輪を取り付けたことで無事に一体目の捕獲は成功する。
不器用な手では上手く首輪を取り付けられなかったので、首輪を付ける役目もお願いすることにした。
さて、続いては卵の安定供給の為に、ロック鳥の捕獲をして行こう。そっちはレイシアが部隊召喚でドラゴンを呼び出し、実にあっさりと捕獲して行っていた。まあ、ドラゴンが六体出て来ていきなり襲い掛かられたらさすがにロック鳥でも逃げも隠れも抵抗もできないよな・・・・・・召喚で呼び出されたのは大人のドラゴンだったし・・・・・・。ついでに卵も見付けたようで、それも確保して戻って来るドラゴン達。
捕まえたロック鳥には首輪を付けて、拠点の飼育小屋へと送られる。それを五回程繰り返して僕らも拠点へと撤退する事にした。
『イオルド、ロック鳥の飼育は出来そうか?』
「こいつは野生動物みたいなもんだから問題はないよ。雄雌揃っているからしばらく時間はかかるかもしれないが、卵の供給と肉の供給は出来るようになると思う」
『ああ、鳥肉としても使えるか。でか過ぎるがこいつは美味しい肉になるかな?』
「うーんどうだろうか・・・・・・やるだけやってみる。肉質に拘るなら、さらに時間は欲しい感じかな」
『そこは気にしない。任せるからよろしく頼む』
「了解」
さて、後は任せて次の素材を選ぶかな~
その後、ドラゴンの捕獲は無理そうだったけれど、それに近い強さのモンスターの捕獲まで出来るようになって、そこそこ順調に捕獲作業が進んでいった。
いやー、何でこんな便利な魔法をさっさと想い出さなかったのだろうと、自分のポンコツ振りが情けなく感じたよ。
そんなある日、たまにやって来てはレイシアとお喋りしたり、日本の料理を食べて行ったりしていた幸が頼み事をして来た。
僕はそれをレイシアの隣で一緒にご飯を食べながら聞くことになる。
「レイシアさん、私冒険者になりたいんです。レイシアさんは冒険者として最高峰の実力者だって聞きました。私を鍛えてもらえませんか!」
それを聞き、僕はそりゃ無理だって感じた。日本に行った事で記憶が戻り、再びステータスの魔法が使えるようになったから幸のステータスを見てみたけれど、はっきり言おう! こっちの子供より能力低いかもしれんぞ・・・・・・
せめてチート能力でも芽生えたらよかったのだろうが、そういうのもないからな~。鍛えたら何かしら能力が覚醒してもおかしくはないけれど、素質があるかどうかはわからないな。
レイシアもステータスを確認して、僕と同じ事を考えたのか少し悩んだ感じだった。
「私、ロップソンと一緒にこっちに来ましたけど、足手まといになりたくないんです。それに冒険に出ている間、ただ待っているだけなのは不安で仕方ないんです。ちゃんと帰って来るのかどうか、家でそればかり考えているのは耐えられません」
「そうね、冒険者になれるかどうかはわからないけれど、やるだけやってみる?」
「はい、お願いします!」
といっても幸にモンスター討伐って出来るのか? ホムンクルスの時みたいに苦労しそうな気がして、難しいだろうなー って思ったよ。
早速剣や弓、魔法などをレイシアが教えていったけれど、まあ予想通りといえばいいのかどれもド素人だね。これを続けるなら何年も修行をしなければ無理だろうって思えた。
モンスターに関しても、コボルトやゴブリンのような低級のモンスターでも近くに寄られると怖くなったのか、その迫力にただ震えるばかりだった。せいぜいスライムの相手が出来そうかなってくらいだけれど、飛び付いて来ようとするのを見るたびに逃げ回っていた。まあそりゃあそうだろうな。日本にモンスターなんていないだろうし殴るというか斬るというか、そんな原始的手段で命を奪うなど、現代っ子には無理だろう。
でも幸の望みを聞くと、ロップソンという男のパーティーに加わって一緒に冒険が出来るようになりたいのだそうだ。しかもそのパーティーのメンバーは既に上級者といえる程の実力になりつつあるみたいだから、二・三年後を目指した修行をしていたら、入り込む余地など無くなってしまうと予測出来る。というか、既に入り込む余地はあまりない気がするよな。
と言うのもメンバー構成を教えてもらった限り、既にパーティーは人数が多いくらいに思えた。そこにさらに幸が入り込むのなら、彼らを圧倒するくらいじゃなければ気まずくなるのではないだろうか?
まあある意味人事なのでどうでもいいといえばどうでもいいのだが、何だかんだでレイシアもブレンダ以外に付き合える友達が出来て嬉しそうにしているし、同郷のよしみで何か考えてみるかな~
まず考える事としては、幸にこちらの戦い方など教えても無意味だろうということだ。
剣など握った事もないだろうしどう見ても僕のような力任せで振り回せるようには思えないし、モンスターとの接近戦をする程の度胸も無さそうだ。これは失礼な考えかな?
まあいい、シーフのような鍵開けなどはよほど手先が器用じゃなければいけないけれど無理そうだし、一番いけそうなのは弓だけれどこれは訓練期間がかなり必要な気がする。それと弓を取るなら職業はレンジャー、狩人になるけれど彼女はそんなタイプには見えないのだよね・・・・・・フィールドワークよりは秘書タイプ? 誰かの補佐が似合っていそうだ。
そして現代日本の人間がファンタジーに来たら、扱う武器といったらやっぱり世界観ぶち壊しの銃器が一番じゃないかって思う。まあこれは僕の偏見が大分入るが、今回彼女には一番合っていそうな武器だと思う。
隣で剣を振り回して特訓している姿を見る限り、余計にそう実感するよ。子供のチャンバラのようだ。
レイシアも剣は向いていないって知りながらも一生懸命教えている感じだな。多分これは基礎体力とかを鍛えるついでみたいなものだろう。
さて銃器といえば、依然レイシアに創ったあの銃器を想い出すけれど・・・・・・そもそも合成魔法が使えなくなった今、開発は出来ないっていう欠点がある。それに何より幸には魔力がまるっきり無い。作っても使えないという事情があるので、別の方法を考える必要があるのだよね~
当面の指導はレイシアに丸投げして、こっちは新たな銃器の開発でもしようとリビングに移動した。
パペットにお茶を出してもらい、まずはどんな銃器が必要かを考えていく。
パーティーに接近戦が出来るやつが居るなら、近場でパンパン戦う必要はない。弾数も数発撃ったら弾を交換なんて、こっちでそんな事をしていたら一瞬でモンスターにやられてしまうだろう。
そう考えると、彼女には狙撃銃でマシンガンのように撃ちまくれるような銃器がいい気がする。それならパーティー内の火力として入り込む余地もありそうだしな。接近は仲間に任せて、遠くの敵だけ倒せばいいなら幸の戦い方にはぴったりなような気がする。
よし、基本的な考えはこれで行こう。問題は、今の僕にそんな銃器が作れるのかどうかだった・・・・・・
純粋な技術としての銃器ならいけるか? その場合はこの世界で火薬の開発からやらないと駄目かな? それだと開発に時間がかかり過ぎて銃器の扱いや、銃器を取り入れたパーティーでの動きなどの訓練が出来なくなりそうだ。やはり何らかの形で魔道具として作るのがいいだろう。
パペット達を工房に集めて、みんなで共同開発していくことする。
開発するのに丸々三日の時間をかけ、中々いいのが出来たと満足してそれを見る。ファンタジーらしく外見はライフル銃を凝った装飾で飾った感じになった。実際に先端から弾が出る訳じゃないし、火薬で熱が出る訳ではないので凝った感じでも何も問題はないけれど、そこはパペット達が気合を入れた結果だった。
多分一緒に開発作業に参加出来たのが嬉しくて力が入ったのだろうな~
まあ外見はそんな感じで、弾に当たる部分は、カートリッジのように交換するタイプになっている。このカートリッジの中に入っている物は金属の粉で、カートリッジ部分が魔道具になっていて中の粉を弾丸に生成する機能を持っている。何故交換式になったかといえば、モンスターの属性に合わせて属性攻撃も出来るようにと考えた結果でもある。
基本となるカートリッジはただの物理属性の弾丸で、そこにいろいろな属性を付加するカートリッジを用意してあった。
そして金属の粉が原料になっているのは、魔力を持たない幸でも弾を作り出すことが出来るようにとの考えがあったからだ。
銃本体は、生成された弾を内部に取り込み敵に向けて撃ち込む魔道具になっている。撃ち出された弾自体は本体の中でエネルギー弾に変換されるので、鉛の弾が飛ぶ訳ではない。
後はこれを幸以外に使えないよう個人認証させれば完成って感じだろうか? そう考え渡しに行こうと思ったけれど、今の僕の手では持ちにくかったのでパペットに運んでもらう事にした。
今日も今日とて基礎訓練がてら剣を振るっていたので、そこに出来たばかりの銃器を渡しに行く。
『レイシア、武器を開発して来たぞ~』
「それって銃器? 幸は魔力が無いから使えないんじゃないかな?」
『だから幸専用の魔力を使わない銃器を開発して来た。あー、こっちだと試射場が無いから、向こうに行くか』
「そうね。こっちは元々お客さんが寝泊りするくらいの広さしか無かったし。運動もしにくいしね」
『だな。こっちに付いて来て』
そう言うと、僕を珍しそうに見ていた幸が、一緒に付いて僕達の拠点へと移動して来た。
「うわー、ここ凄い部屋ですね。どこかの王宮のようだわ。いえそれ以上ね」
「ふふ。バグが創ったのよ」
「バグ?」
「この人がバグ」
そう言ってレイシアが僕を幸に紹介した。そういえば僕は名前すら教えていなかったな。
『確かにここの空間は僕が用意したが、内装はパペット達が好き勝手に作ったものだ』
「でもパペット自体創ったのはバグだから、結局は全部バグが創ったってことでいいんじゃないのかな?」
『うーん、まあそう言えなくはないな』
僕達がそんな会話をして試射場へと移動して行くと、物珍しそうにあちこち見ながら幸も部屋に入って来た。
「なんか、何もかもが別世界って感じですね」
「そうね」
『さてそんな事は後にして、早速銃が使えるか試してくれ』
「はい」
さすがに日本から来ているから、銃の構えからどうすれば弾が飛ぶかわかっていて、教えるまでもなく第一射目を発射した。火薬を使っていないので発射音は無く、光る弾丸みたいな物が真っ直ぐ飛んで行ったけれど、的は外していたな。
何発か撃って、そのうちの一発がやっと的にかすったのを見て、銃の威力が確認できた。
今撃っているのは基本の物理属性の攻撃だけれど、的が着ていた金属鎧も難なく破壊するだけの威力は秘めていた。
壊れた的をこちらに持って来たパペットが新たな的を作って行く中、僕は威力を十分だと判断する。彼女の場合、銃器の威力を魔力で増幅とか出来ないからな~
ここで銃器の取り扱いについて簡単に説明をして、手入れと言うかカートリッジ内の補充についてのやり方を説明すると、カートリッジを十個くらい渡してただひたすらに的を撃ってもらうことにした。弾切れになったら、工房で金属を削って弾の補充をしてもらえばいいので、後はがんばってもらおう。
まずは銃器に慣れてもらわないといけないし、命中精度も上げていってもらわないといけないからね。武器はどうにかなったので、次は基礎体力とか冒険に必要な感覚を鍛えたり、それと防具も作らないといけないかな。
まだまだやる事は多そうだ。
それから毎日のようにやって来る幸にまずは基礎訓練をしてもらうついでに、危険に対して敏感になれるよう殺気をぶつけて行く訓練をして、その後で銃器の扱いを学ぶ為に射撃場でどんどん撃ってもらう生活が始まった。
殺気をぶつける訓練は、僕だけだと迫力とか足りないかもしれないなと考え眷族にも手伝ってもらう。その際、眷族にはなるべく隠れて殺気を出してもらって見付かったら撤退するようにしてもらった。
「それにしても、何でこんな訓練がいるの?」
レイシアが基礎訓練だけでいいんじゃないのかと言う感じで聞いて来たので、その説明を二人にしていく。
『今までモンスターのいない世界で暮らして来た幸は、おそらく寝ている時が一番無警戒の状態になる。こっちの世界の人間は寝ていても周りを警戒しているのと違って、おそらく隣でモンスターが涎を垂らしていても気が付かない可能性があるから、こういう訓練も必要だと思ったのだが、不要だったか?』
「なるほどね。そういう理由なら必要かも」
「訓練ありがとうございます!」
レイシアと幸が納得したように答え、レイシアはお茶を飲みながら幸を見守り、幸は訓練へと戻って行った。
『そういえば、僕が教えちゃって良かったのか? レイシアの楽しみというか、触れ合いというかそういう時間を邪魔しちゃったかな?』
「ううん。やっぱりバグが教えてあげた方がいいかなって思った。だから私は見学出来ればいいよ」
『そうか、何か悪いな』
「別にいいって。訓練が終わったら一緒にお茶してお話しているしね」
そう言って二人で幸を見守る。
多少の基礎体力もついて来て、銃器の命中精度も上がって来たし。武器に続いて防具も完成したので次はいよいよ経験稼ぎをしてもらうことにした。
防具に関してはほとんどパペット任せになっていたけれどただの装備だと心配なので、幸に足りない部分を補うような方向と、特性を生かす方向で魔力を込めてみた。これで突発的な襲撃でも、何とか凌げるんじゃないかなって思う。
さて実際にモンスターと戦ってもらわない事には、冒険者になれないし強くもなれないだろう。そこで、幸用のダンジョンを造らせたのだが、コースは森林でトラップなどは無いダンジョンを用意させた。
幸が合流するパーティーには盗賊の人がいるみたいなので、罠は必要ないだろうしね。
いつもいつも射線が通る状況とは限らないので、木々の乱立する地形での戦闘を経験してもらう事で、冒険に慣れてもらおうという趣旨のダンジョンである。初めは林のようにスカスカだけれど、奥に行く程木々が密集して行き、難易度が上がって行く。
ここを攻略出来るようになれば、多分ロップソンがいるパーティーに合流しても問題ないと教えると、幸は気合を入れてダンジョン攻略にはげむようになった。
『後は幸のがんばり次第って感じかな?』
「そうだね。でも直ぐに攻略出来るよ」
『ああ、それと僕達の事はなるべく言いふらさないように念を押してくれるか?』
「それは言ってあるから大丈夫だと思うけれど。ロップソンには話しているかも」
『まあそれ以上話が広まらなければいいよ。じゃあこっちは素材集めに戻るぞ』
「わかった。でも付いていかないで大丈夫?」
『移動が問題だけれど、そっちは眷族に頼めば問題ないから大丈夫だ』
「気を付けてね」
『ああ、じゃあ行って来る』
後はレイシアに任せて、素材集めを再開した。
進化の為の素材集めで結構いい経験が稼げたな。ただ、やっぱり使えない属性があると戦いにくいし自由に転移もできないから不自由だし、ステータスが以前より下がっているからモンスターを捕まえるのに手間がかかる。
さくさくっと進化したいものだな~
まあそう考えつつもステータスを確認し、いいスキルが無いか確かめておく。
《名前 バグ 種族 ゴールドドラゴン・チャイルド 年齢 0 職業 魔導王
LV 84 HP 1713 SP 1491
力 170 耐久力 203 敏捷 142
器用度 104 知力 171 精神 173
属性 火 土 風 光 生命 無
スキル ブレス(火・土・風・光) 無詠唱 魔力向上 四重詠唱 状態耐性 飛行 罠察知 潜伏 待機魔法 自動回復(大) 双爪撃 念話 危険感知 鉄壁 召喚モンスター 調合 強打 守護 魔生物作製 消費魔力減少 格闘向上》
あー、そういえば職業魔導王とかあったな~。ちょっと懐かしいって思ったよ。
後は武器が使えないから格闘スキルが手に入ったか・・・・・・まあこれはこれで使えるから有りだな。まあ特に素材集めに使えそうなスキルは無いみたいだからさっさとスパイダーネットで捕獲してしまおう。
その後三日掛りで素材を集め、十体の素材を集め終わった僕は、レイシアに進化を頼むことにした。
その間に幸は攻略を終わらせたらしく、ロップソン達のパーティーに合流したみたいだね。なんか異様に攻略早くないか? そう思ってレイシアに聞いてみたところ・・・・・・
「経験集めでLVが上がったら、敵感知と射撃と弾丸作製とかのスキルを覚えていたから、そのせいかも」
『敵感知は殺気をぶつけていたから習得出来たのだろうな。射撃は元々幸には適正があったかもしれないな。それにしても弾丸作製か・・・・・・これまたピンポイントでいいスキルを手に入れたな』
「消耗する武器だと、あると便利かもしれないね」
『まあ、戦闘中には使えないかもしれないがな』
「そうね。さて準備出来たから進化の部屋に送るね」
『ああ、頼む』
飼育小屋で喋っていたので、転移で進化部屋の魔法陣の上に飛ばされた。
さてさて、今度は何に進化するのだろうか・・・・・・ドラゴンの上になって来ると、そのまま魔人かな? いろいろ想像しているうちに魔法陣が輝き出して、僕は光に包まれていった。
光が収まったので、早速鏡に映った自分を確認してみると・・・・・・そこには骨が映し出されていた。
あんぐりと口を開くと、鏡の中でも顎が外れたようにカクって顎が大きく開いたのが確認出来る・・・・・・。スケルトンに退化した? いやただのスケルトンなら骨だけだけれど、今の僕はボロボロだけれどローブのような布をまとっているからこれはリッチだろう。
それにしても、リッチってドラゴンより格上だったか? 結構強かったとは思うけれど、さすがにドラゴンの方が上って気はするよな・・・・・・
あ、もしかしてドラゴンはドラゴンでも、子供のドラゴンだったからリッチの方が格上認定された可能性はあるな。そうなって来ると素体はしっかり上位の状態で合成する必要があるかもしれない・・・・・・ミスったなー
まあ既に進化しちゃったし、こればかりは仕方がないか・・・・・・。一応ステータスを確認して、さっさと次の進化を試すのがいいだろう。
《名前 バグ 種族 ゴールドドラゴン・チャイルド-ノーライフキング 職業 魔導王
LV 84 HP 1713-3461 SP 1491-3946
力 170-232 耐久力 203-211 敏捷 142-186
器用度 104-169 知力 171-245 精神 173-258
属性 火 水 土 風 闇 生命 無
スキル 無詠唱 魔力向上 四重詠唱 状態耐性 罠察知 潜伏 待機魔法 自動回復(大) 双爪撃 念話 危険感知 鉄壁 召喚モンスター 調合 強打 守護 魔生物作製 消費魔力減少 格闘向上 影渡り 追跡 強襲 人化 瞬殺》
え、ノーライフキング? あ、よく見ると頭の上に小さい王冠が乗っている。それにしても、ノーライフキングはゾンビの上位じゃなかったか? それかヴァンパイアの上位のノスフェラトゥがそうだって説もあった気がするけれど・・・・・・
そう考えると、スケルトン経由のアンデットで、ノーライフキングに成長したってことなのかな?
また光属性が消えてしまったけれど、確かにドラゴンよりは確実に格上に進化しているな。ただ、これはレイシアが嫌がりそうだから、早速人化のスキルを使って変化すべきかもしれない・・・・・・
そう考えて人間になっておこうと思ったら、一足遅くレイシアが部屋に来てしまった・・・・・・
そしてお互いに固まっていたけれど、僕は慌てて人化のスキルを使って人の姿を取る。
「えっと・・・・・・見苦しい姿を見せたな。種族はノーライフキングだったよ・・・・・・」
なんと言うか、誤魔化すようにそう話しかける。
「そうなんだ・・・・・・」
沈黙がきつい・・・・・・まあでも直接会話とか出来るようになったし、一応人間として接触は出来るし、しばらくはこれで我慢して欲しいかななんて思ったりもする。声に関しては、どうやら骨の中を魔力が満たしていて、声帯の部分の魔力が反応して声を作り出しているみたいだった。
まあ、ただの骨じゃあ直ぐに崩れちゃうから、何らかの形で魔法が関係しているとは思っていたけれどね。そんな事を現実逃避気味に考えてみたりした・・・・・・




