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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第二十八章  忍び寄る戦禍
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天然ダンジョンマスター

 こちらの状況を伝えてフォーレグス王国を知ってもらい、佐渡さんが移住する許可を出したので、今度は佐渡さんのこれまでの情報を開示してもらう事にした。

 彼女がこちらの世界にやって来たのは偶然らしく、だだっ広い草原で呆然としているところを運よく神様に発見されたのだそうだ。それでわかったのだが、僕と同じで勇者召喚とか誰かに呼ばれて来た訳ではないようだな。

 その神に出会った事は本当に運がいいというべきか、幸運を司る神だったらしく名をエムファランというらしい。そのエムファラン神にダンジョンメイカーというスキルを貰った佐渡さんは、その何もなかった草原にさっそくダンジョンを造ったのだそうだ。

 しかしスキルを貰ったのはいいが、彼女はあまりRPGの知識やラノベの知識などは持ち合わせていなかったらしく、しばらくしてからダンジョンの設定を暴走させてしまったようなのだ。無限沸きしてたからなー

 まあこれは薄々もしかしてって考えていたところなのだが・・・・・・その草原に造ったダンジョンは、かつて同じ魔王軍に所属していた遊撃四天将のヤーズエルトがいたフレスベルド国にあるらしい。随分と懐かしいダンジョンの話が出て来たものだな。

 まだあのダンジョンマスターをしていたロボットは、健在なのだろうか? 落ち着いたら佐渡さんを連れて行ってあげよう。向こうもおそらくは会いたがっているはずだ。


 さてさて結局お試しで造ったダンジョンから逃げ出した彼女は、今の迷宮都市にあるダンジョンを新たに造り上げ、それからはほとんどそのダンジョン内だけで生活して来たそうだ。

 ダンジョンの上に都市が出来てからは、たまにそっちに出て来る事もあったようなのだが、基本はダンジョンから出ない生活だった為、僕以外の同郷の者と出会う事はなかったらしい。

 何故ダンジョンから出なかったかといえば、モンスターが蔓延る外の世界よりも制御が出来ているダンジョンの方が安全であったし、生活水準も外より中の方が高かったからだそうだ。

 これはあの時見付けた隠し部屋を見ればなんとなくわかる。

 引きこもりの部屋みたいになってはいたが、日本の部屋とそこまで違いがあるようには見えなかった。まあテレビとかパソコンなどはなかったけれどね。

 食事も日本人からしたら、食べようって気にならないような物ばかりだろう、何らかのダンジョン機能で補っていたのだと考えられる。

 そんな訳で、結構日本で暮らしているのに近い生活環境ではあったものの、寂しい生活を続けて来たみたいだな。

 町に出かけていたのは人恋しくてってところか。そして日本人がいないし、文明のランクもかなり劣っているので虚しくなって帰るってところか。結構きついな。

 でもって今回勘違いというか焦ったのか、他のダンジョンマスターからの侵略か何かだと判断して、敵の情報を集めにやって来たと・・・・・・モンスターを操っている国と知ってフォーレグス王国へとやって来てみれば、自分のダンジョンの上にあった都市とは比べ物にならない生活水準の国と、モンスターで溢れる異色の状況に度肝の抜かれたって感じなのだろう。

 とどめに同じ故郷を持つ日本人を見付けたとなれば、なるべく近くにいたいと思ってもおかしくはないか。


 「ケーキなんか食べたの、一体いつ振りかな! 他のも食べていい?」

 「ああ、せっかくだ。好きなだけ食べて行くといい。もし今日泊まって行くのなら、食事と寝るところを提供するから、その分は食べられるように空けておけよ」

 「ありがとうー」

 どうやら一泊は確実なようだ。

 『客室を一つ用意してくれ。今日はみんなで一緒に食事にしよう。客人の分も拠点の食堂に用意してくれ』

 『了解しました』

 司書パペットと、後半は料理パペットに指示を出しておく。

 ついでにみんなで食事会だな。ホーラックスが戻って来るかはわからないが、帰って来たら紹介してみよう。

 佐渡さんの様子を窺ってみると、レイシア達と雑談しながらデザート各種を堪能していた。おそらくダンジョンではそれなりの食事は食べられるものの、食事のクオリティ自体はそれ程高くなかったのだと思える。そうだとしたら、これからはいろいろとふるまってあげよう。

 みたらし団子とかたい焼きとか、お好み焼きなどなどもそうだが、カレーとかもおそらくは懐かしいかもしれないな。

 八百年以上の長い間、故郷の味を味わえていなかったとしたら、かなり辛いものがある。

 「佐渡さん。そっちのダンジョンでは日本食は食べられたのかな?」

 「あー、残念だけれど。調味料が手に入らなくってね。なんちゃって料理なら作った事があるけれど、どうしても比べちゃってからはこっちの世界の料理に、もう少し塩コショウを効かせただけで過ごしていたわ」

 「なるほど。じゃあ出来るだけ日本の料理を出すようにしよう」

 「本当!」

 思いっきり叫ぶように食い付いて来た。

 こういうところを見ると、同じ日本人だなーって感じるな。何だろうこの食にかける情熱は・・・・・・

 そういう自分も妥協するつもりなど微塵もないけれどね。

 「まあ期待しておくといい」

 「やっぱりこっちに移住したいわ~」

 「衣食住は保障するから、心配しなくていい。後は佐渡さんがいつこちらに来るかくらいだな」

 多目的シートを取り出して、佐渡さんが住む家の場所をどこにするかとか、ダンジョンの場所などを検討しながら司書パペットに新たな指示を出す。

 『印の場所に家とダンジョンを造るスペースを確保してくれ。後さっき指示した食事なのだが、日本食をなるべく出してくれ』

 『了解しました。バグ様』

 どうやら日本食が食べられると聞いて、もうトリップしたようにそわそわとしていた。

 レイシアとビゼルがそこまで食べたいのかって言っているが、おそらくそこまでだろう。僕だって八百年も食べられなければ、相当ストレスを溜めていただろうな・・・・・・

 まあこれからは毎日でも食べられるから、満足してもらえるだろう。


 「まずはダンジョンをどういう地形で造るのか、リストから選ぶのよ。鍾乳洞だったり、石造りの遺跡風だったり、気持ち悪い生き物の体内みたいな地形とかもあったよ」

 佐渡さんはそうダンジョンメイカーのスキルについて説明しつつ、説明内容が食事時にするようなものではなかったようで、げんなりしながらテンションを落としていた。

 ホーラックスに与えたダンジョンを造る能力とはかなり違うっぽいので、スキルの詳細を聞いてみたのだが、どうもダンジョンを造る為のサンプル素材を内包しているゲームソフトみたいなスキルだった。

 だから佐渡さんのようなゲーム知識がない人でも、ダンジョン運営が比較的簡単に出来るのだろう。

 比較的っていうのは一度暴走させて、ダンジョンを放棄しているから完璧に扱える訳ではない。素人が手を出すのだから、そういうミスっていうのはどこかしら出て来るのだろうなー

 それでも今ある迷宮都市は、上に都市が出来る程には賑わっているので、上出来な部類ではないだろうか?

 ゲーム知識がある者なら複数運営は当たり前で、ダンジョン都市と言わず国を造ってもらいたいところだがな。

 これは僕がやっているのとそこまで変わりない気がする。


 「それで?」

 まだ自分の説明で食欲を失っている佐渡さんに続きを促すと、気を取り直したように話を再開させる。ついでに食べ始めた。案外逞しいな。さすが八百年以上生きて来ただけはある。

 「トラップやモンスターなんかも、同じくリストから選ぶの。リストから選ばれたものは、私のMPを消費して作られるから、一日で進められる作業には限界があるわ。MPが尽きると気絶しちゃうから、あまり無理は出来ないかな。MPポーションを取り寄せる事が出来るようになったら、一気に楽になったんだけれどね」

 「MPがあれば、ダンジョンを造りたい放題なのだな」

 「そうだね。ただ、初めの頃はMPも五十くらいしかなかったから、部屋を一つ造ったらその後は何も出来ない感じだったから、きつかったよ」

 「それは、侵入者が来たら一発で終わりじゃないのか?」

 ダンジョンを造って、部屋が一つしかないって・・・・・・蹂躙されて終わりだろう・・・・・・防衛のモンスターもいないし・・・・・・

 そんな当たり前に考え付く可能性に対し、佐渡さんからシステムを教えられた。

 「初めにダンジョンコアを造るんだけれど、コアが造られてから半年くらいは侵入者が入って来られないように、入り口に結界が張られるの。その間にダンジョン内部の設定を造り込んで行くみたいね」

 「ほー」

 よくあるダンジョン製作系の小説みたいだな。

 「MPを使ってダンジョンを造って行くんだけれど、侵入者に対する評価でダンジョンポイント(DP)っていうのが手に入って、そのポイントを使ってさっき言ったMPポーションとかご飯とか取り寄せるの」

 「それがご褒美みたいなものなのか?」

 「たぶんそうじゃないかな?」

 話を聞いた感じは、どこぞの小説みたいにダンジョンコアを破壊されると死ぬとかは、なさそうだな。

 ここまでの話だと特にダンジョンを造らなくても問題ないように思える。デメリットが無いから、向いていなければ冒険者として過ごしてもいいかもしれないな。そっちにも適性が無ければ、一般市民って感じで農業をしても構わない訳だ。

 畑をダンジョンにしたら豊作になって、一流の農民になれるのではないか? スキルの無駄使いっぽいけれど・・・・・・

 殺伐とした状況じゃないから、ちょっと遊び半分って感じで楽しめそうだな。


 「さっき初めはMPが五十くらいしかなかったって言っていたが、LVを上げるのに自分のダンジョンのモンスターを利用とか出来るのか?」

 「あー、それは無理ね。モンスターも私のMPで出したって扱いだから、経験値にはならないみたいなの。その代りダンジョンを充実させて行けば経験値になったよ。後はダンジョン稼働後に侵入者に対していい評価が貰えると、一杯経験値が溜まるかな」

 「さすがダンジョンマスターって感じか。ちなみにその評価って、侵入者の殺害か?」

 これは聞いておいた方がいいだろうな。

 フォーレグス王国のダンジョンは冒険者の訓練として活用しているから、国民を殺されるのはちょっと不味い。

 どうしてもって場合は、命の保証はありませんって、ダンジョン前にでも書いて置かないといけない。

 それでも冒険者なら望むところだって、挑戦するのだろうが・・・・・・もしかして逆に攻略されたら、佐渡さんのDP減ったりするのだろか?

 「評価は侵入者がダンジョンのどこまで侵入したかとか、モンスター相手にどれくらい頑張ったかって感じで、どちらかというと攻略する勢いの方が高得点になるみたいね。だからといって、素人でもすんなりと攻略出来るようなダンジョンだと、あまり評価されないみたい。殺害しちゃうとDPはマイナス評価ね。代わりに冒険者が逃げ帰ったってなるとボーナスが付くよ。攻略された場合も、ボーナスが貰えたわね」

 「それは冒険者に有利な評価だな」

 「エルファラン神が冒険者を鍛える為に与えているスキルなんだって。だから侵入者を殺しちゃうようなダンジョンだったり、成長出来ないダンジョンは評価が低いみたいね」

 「神様のシステムって事か」

 「そんな感じかな?」

 そのわりにはこの世界って、あまりダンジョンがあるとは聞かないな。どうしてだ?

 神様がダンジョンを造ったり、教会がダンジョン運営をしていてもおかしくない気がするのだが・・・・・・どうやらそちらの事情は知らないようだった。

 まあ佐渡さんはただ、スキルを貰っただけでこっちに知り合いもいなかったか。それなら詳しい事を知らなくてもおかしくはない。

 その後一泊した佐渡さんは、一度自分のダンジョンへと帰ってから荷造りをして再びこっちに来る事になった。荷造りと言ったが、持って来る物はお泊りセットって感じの着替えなどらしい。ダンジョンをこちらに造ってしまえば、自分のダンジョン同士移動する事が出来るそうだ。

 一応人間が多く暮らしている場所に、彼女の家を用意させているのだが、生活拠点はダンジョンの自室って事になりそうだな。ダンジョンが完成したら、転送水晶でも作ってあげよう。

 それでいつでも家とダンジョンを行き来出来るようになる。


 佐渡さんの訪問とスキルについての話し合いをしつつ数日が過ぎると、ホーラックスの方の侵攻も無事に終了し、ようやくウルクスダルト国の制圧も終わったと連絡が来た。

 「では、魔道具の配置に取り掛かってくれ」

 『わかりました。それでは始めます』

 司書パペットに指示を出すと、さっそく監視用パペット達が展開して行った。司書パペット自体はいつも待機している書庫にいるのだが、そこから指示を飛ばして状況を確認していた。鳥型パペットが上空から配置をチェックしているのだろう。

 それにしても何だか佐渡さんのインパクトの方が強くて、こっちの大掛かりな作業がおまけっぽくなっちゃったな。

 「バグよ。わらわは経験値稼ぎとやらに行って来るわ!」

 「あー、頑張れよ~」

 「速攻で邪神になってみせるわ!」

 国を入れ替えるという前代未聞の試みも、ビゼルには関係ないようだな。ビゼルとしては、ダンジョンに籠ってLV上げを始める方が大事なようだ。

 どうも佐渡さんにステータスを見られたという事実に納得がいかなかったらしい。

 どういう事かというと、佐渡さんは僕と違うステータスを確認する術を持っているようなのだが、僕と戦争から帰って来たホーラックスのステータスは見る事が出来なかったそうだ。何でかって考えたところ、僕達の共通点は職業が神になっているからではないかという結論に達した。生命の神と邪神という共通点だな。

 そしてビゼルは元同じ魔王だったのだから、進化すれば邪神にクラスチェンジ出来るのではって考えたみたいだ。

 邪神になると威圧感とか瘴気とかで、一般市民から恐れられるぞって言ったのだがな~

 実際戦争から帰って来たホーラックスを、早速佐渡さんに紹介したのだが・・・・・・会った瞬間気絶していた。僕達身内は気にならないのだけれど、周囲の反応を見ると大体似たり寄ったりの反応なので、なんとなくこうなっても仕方ないかなって考えてはいた。

 でもダンジョンマスターに会いたいって話だったからな。何回か会えば、会話くらい出来るようになるだろう。

 八百年以上生きて来ただけあってLVもかなり高いので、慣れさえすれば普通に威圧も受け流せるようになるだろう。多分・・・・・・


 佐渡さんの様子を窺いつつ、五日程かけて大規模国家置き換え魔道具の設置が完成したので、いよいよ起動開始する事にする。

 今は設置された魔道具の配置を総点検しているところで、それが済めば起点となる魔道具に魔力を注いで行く。

 魔力を注ぐとはいっても、必要な魔力は既に予備に至るまで確保しているのだが、今回注ぐ魔力は制御用に少量の魔力が必要となっていた。

 徐々に魔力を浸透させる事によって、指定範囲内にある土地を丸ごと切り離し、それが完了すると同時に召喚を開始する手はずになっている。

 パッと見は召喚のタイミングがずれたら、重なったりして危険そうに思えるのだが、離れた場所にある石と石を交換するようなタイプの召喚になるので、互いの土地を召喚し合っている訳ではない。だから重なって失敗とかはありえない。そこは安心だな。

 離れた場所にある同一地形同士を関連負付けして、交換する術式だ。地形を切り取ってその関連付けをしていると考えればいいだろう。

 今なお国民は普通に暮らしているので、危険があるようなら今回の入れ替え魔道具は使えなかっただろう。とはいっても、成功するまでは気が抜けないし、安心も出来なかったりするのだがな。予想外の失敗とかは、どんなものにも付きものだろう。


 『バグ様。準備整いました』

 「わかった。では始めるので全員警戒してくれ」

 僕は目の前にある台座の上に置かれた水晶に向かって、徐々に魔力を注ぎ込んで行った。

 同じ台座の上に多目的シートを広げ、魔道具の様子を確認しながら作業を進める。不測の事態が起きたら、直ぐ中止しなければいけないからな。今のところ問題はどこからも報告されていない。

 「もう始めているの?」

 「ああ、もう直ぐ第一段階完了って感じかな。特に呪文を唱えたり、水晶が光ったりする訳でもないから、見ていてもわかりにくいかもしれないな」

 後ろで見守っていたレイシアが聞いて来たが、言葉通り特に何か反応を示す物はなかった。

 見ている者にわかるようパフォーマンスとしても、何かしら目に見える変化とか、考えておけばよかったかなー

 特に誰かに自慢する訳でもなかったので、結果だけしか考えていなかったよ・・・・・・

 「第一段階完了。続いて第二段階に移るぞ」

 仕方が無いので後ろでそわそわしているレイシア達に、現在の状況を口頭で教える。

 第一段階は魔道具の起動と転移対象の切り離しで、第二段階は召喚の発動になる。第三段階は交換した地形の定着になるのだが、最終確認は僕とホーラックス、ミスリルゴーレムのラズが確認する事になっていた。

 やっぱり直接不具合が出ていないか、自分達で確認しておかないと心配だからね。

 司書パペット達だと表面上の情報だけしかわからないからな~。一応モグラ型の諜報員がいる事はいるのだが、ただでさえ切り離した土地に穴を掘られるのはどうかと思う。

 それに結局穴を掘って進んだ周囲しか調査が出来ない。五十体創ったモグラ全員でかかればやって出来ない事はないのだが、せっかくくっ付けた地盤を掘り返して地盤沈下されたらたまらないので、こっちで調査をする事にした。

 ちなみにウルクスダルト国の方はそんなに念入りに調査はしない。

 あっちは敵国だからどうでもいい。

 本当なら国民が巻き込まれるのを避けるところなのだが、あの国は国民まで選民主義で人間至上主義らしいから交換後、最低限以外は放置だ。

 不具合が出たら自分達で乗り切ってもらおう。とはいっても災害級の不具合になるだろうけどな。

 そろそろどこかの国が襲って来そうだと思って待ち構えていた。逆に襲って来なければ被害国にはならなかったという事でもある。運が悪かったとでも思ってもらおう。


 「そろそろ召喚発動するぞ」

 「上手く行くかなー」

 「主さまなら失敗はしないでしょう」

 「トラブルがあっても、何とでも出来るわ」

 「きっと大丈夫。失敗してもみんなで助ける」

 ちょっと心配そうなレイシアが呟けば、ビフィーヌが絶対の信頼でそう答える。失敗やミスなんてよくある事なのに、そこまで信頼されると逆にプレッシャーが凄過ぎるぞ。

 ビゼルとアルタクスは失敗しても大丈夫って感じだが・・・・・・この手の作業で失敗した場合は大体大惨事になるので、失敗そのものが許されない事だと思う。模型での実験なら問題なかったので、実行に移したのだが・・・・・・何だか本当に大丈夫なのか、自信が無くなって来たな・・・・・・

 ちょっぴりの不安を抱えたまま、つい昨日までは敵国であったウルクスダルト国との境界線の先、魔道具で区切られた地面が光に包まれながら消えて行く。

 一瞬の輝きが収まり、一見すると光が収まった向こう側に変化は何も見られなかった。

 しかし魔道具の効果を知る僕から見れば、線を引かれたように微かな隙間が存在していたり、その線を境にして何となく土の質が違っていたりと、細かな違いを発見する事が出来た。とはいえ一応成功でいいのかな?

 多目的シートで確認したところ、そこは既にワレスホルト国に入れ替わっている事が確認出来た。

 「第二段階成功だ。次の第三段階に入るぞ」

 「もう入れ替わったんだ・・・・・・なんかあっけなかったね」

 レイシアがそんな事を言っているけれど、現象としてはあっけなくはあるが情報としてはいろいろと問題が発生しているようだった。

 まずはそこまで目立たないけれど隙間が空いてしまっている。これはまあ仕方がないのだろう。

 土地を切り離してしまったからな。

 次に早急に対処しなければいけない状況は、地下水脈が寸断されているみたいだ。これはちょっと考えればわかった事で、はっきりとこちらの不手際だといえる。

 これは致命的で、井戸が使えなくなっているという凡ミスだなー

 人間水分補給は絶対に必要な生き物だ。司書パペットの指示の下、既にホーラックスとラズが対処に乗り出していた。

 こっちは第三段階の途中で、隙間を埋めているところだ。他にもどんなトラブルが起きるのか予測出来ない・・・・・・しばらく入念な調査に専念しないといけないな・・・・・・


 その後、調査を開始してから一ヶ月が経った。

 その結果は霊脈とか竜脈とか言われる何かそこら辺りのものを寸断してしまっていたので、何とか繋ぎ合わせ落ち着くまでに一か月を要した。

 今は普通に井戸などから水も出て来て、問題はどこにも無いように思える。全く問題がないかどうか、表面上からはわからないので、この先何年かかけて様子を窺って行こうと考えている。

 しかしやっと落ち着いたって判断していいかな・・・・・・

 調査の間、佐渡さんの方も無視出来なかった。

 こっちはこっちでダンジョンを設置する場所を提供して、新たなダンジョンを造り始めてもらった。

 それとともに合間合間にスキルや、ダンジョンの情報も提供してもらっている。もちろんこちらからも出来るだけ情報は渡す事にしているので、ギブアンドテイクな関係になる。

 ダンジョンの方の開通は、予定通り半年後との事だ。こちらは訓練用ではなく本格的な探検用なので、生死は保障されないという情報を徹底的に告知する事にしている。まあそれもまだまだ先の話になるけれどね。

 さて、新たなスキルなどの情報を基に、こちらのステータスに関してもいろいろと弄る事にした。このステータスに関しても僕と佐渡さんのものでは違っているようで、佐渡さんの方のステータスはどこか簡易版といった雰囲気で、こっちのはカスタマイズ版って感じだった。

 しかしシステム的にはおそらく神様が創ったものだと思え、見るべきところは多い。さすが天然ものって感じだな。弄れないが特に弄る必要もなさそうだ。何かしら管理者ならば、詳細情報が欲しくてこちらのカスタマイズ版が欲しくなるって感じだろう。ステータスを活用する一般人には簡易版で十分だ。

 だからそれら情報を基に、久しぶりにステータスの機能を弄ってみる事にした。

 修正版ステータス機能を充実させる為に、ダンス担当眷属のダムガシアとモーリスに協力してもらい、テスト用に守護のスキルと連動させる事にする。

 上手く出来たかどうかはレイシアに協力してもらい、調整して行こう~


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