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新生活

 三日間ゴロゴロと過ごしたので、その後は今後の進路の事を考えながら、それぞれに勉強や訓練なんかをして過ごしていると、ミリアレス先生から呼び出しがあった。卒業試験の結果発表かな。

 「揃いましたね。今回の依頼について、とても満足できる成果を示してもらえました。遺跡までの地図はとてもわかりやすく正確で、技術の高さが評価できます。洞窟内の地図の作成も、特に疑問に思うところは見当たりません。こちらはまだ見落としがないかどうか、専門の冒険者の確認が必要だと思いますが、初心者であるあなた方にそこまで要求はしていなかったので、こちらも即戦力として十分な実力だったと評価されています。

 遺跡内で発見されたモンスターも、無事に討伐されたようですし、持ち帰ったアイテムも今のところ落ち度など見られませんでしたので、ギルドからも全体的に高い評価を受けています」

 なんかベタ褒めだな。

 地図作成に関しては、ひょっとして手を出し過ぎたのかなって気がしてきたよ。まあ終わっちゃった後なので、今更だけど。

 「今回の結果を受けて、あなた方の卒業を教員全員が問題無しと評価いたしました。いきなりな話でしょうがとりあえず一週間、今後の事を考えそれぞれ担当教師とどうしたいのかを話し合ってください。問題などがないようでしたら一週間後に、簡易的な卒業式を予定しております」

 ミリアレス先生がそう締めくくると、僕達は一度食堂へと移動した。

 「とうとう卒業か~。もっとずっと先だとばかり思っていたから、なんか実感がわかないな」

 ランドルがそう言いながら、心ここにあらずって感じで心情を語る。

 まあ進路って大体そんなもんだよね。僕も学生から社会人になる時に、これでいいのかとかよく悩んだものだ。社会人になったと思ったら、死んじゃったけれどね!

 その後も取り留めなくみんなで話して、レイシア以外は実家又は親元に一度戻りそっちで活動することに決まっているのだと聞いた。

 とするとパーティーは自然解散となるようだな。

 レイシアはどうするのだろう・・・・・・まあ僕はレイシアの影に移動して、彼女の今後を見守ることにしようと思う。

 当面の目標はマイホームになる拠点かな~


 次の日、午前の授業が終わった後、ケイト先生に話しかけられた。

 「レイシアさん、よろしければ昼食を食べながら話を聞かせてもらえますか?」

 「先生、わかりました」

 二人は連れ立って、食堂の他の生徒から少し距離を取った場所で向かい合って座る。

 「今後の事、大まかにでも決めましたか?」

 「はい、ギルドでメンバーを探して、活動していこうかなって思っています」

 「そうですか。学校卒業後、一ヶ月の間は宿舎で寝泊りしてもかまいません。その後は各自、宿屋を探すなど活動拠点を自分で見付けて自立してもらうことになります。後これは注意事項ですが、あなたはまだ若い女性ですのでパーティーメンバーを募集する場合は、よく相手を見て慎重に選んでください」

 「はい、わかりました」

 その後の会話は、ケイト先生の冒険していた時の苦労話とか雑談で、やけにあっさりとした進路指導だった。

 まあ卒業したら立派な冒険者ってことで、こんなものなのかもしれないな。

 それからの一週間は、友達との別れを惜しんだりメンバー同士で苦労話をしたり、不安な部分があれば勉強したりと、それぞれがそれぞれに活動していた。

 レイシアは落ちこぼれだった期間が長かった為そんなに友達はいなくて、ほとんどの時間を勉強に当てたりしていたけれどね。

 僕ら五人だけの卒業なので、学校自体の雰囲気は湿っぽいものではなく、一部の知り合いだけが別れを惜しんでいた。


 一週間がそんな感じであっという間に過ぎ去り、特に仲のいい友達とかだけが簡略化された卒業式に参加して、レイシア達は学校を巣立って行った。

 「結構あっさりだったな~」

 終わってみれば、僕の方が感傷的だったんじゃないかって思うくらい、レイシアはあっさりしたものだった。

 もうギルドの方でのパーティーメンバー募集も始めていて、学校の方は宿舎を一ヶ月の間利用するだけで、ほぼギルドへ拠点を移し終わっている感じだ。

 男性の方がロマンティストだって話をそういえば聞いた覚えがあるな。微妙にレイシアにがっかりした僕だった。

 「これからが冒険者としての本番なのだから、こんなところで立ち止まっていても、仕方ないわよ」

 「まあ、そうだな」

 大人、大人だよ! こっちの方こそ学生気分が抜けていないって思ったね。まあいいさ、自分はモンスターなのだから、流されるように生きて行こう・・・・・・


 式の後昼食を学校の食堂で摂って、その足で早速ギルドへと向かった。

 ブレンダ達は学校でわいわい楽しんだ後ゆっくりして、明日には実家の方へと向かうって話だ。だからもう既にレイシアは自分の判断で行動を始めているようだった。

 姿は見せていないけれど、僕のことは一緒に付いて来るものだと思っている節はある。信頼されているのだよな? まあだから余計に行動に迷いとかもないのかもしれないな。僕の方も、学校にはいられなくなることを想定した拠点作りを、そろそろ始めなくては駄目だな。

 僕らはギルドの中にある簡易食堂、酒場といった方がいいのかな? そこでとりあえずメンバー募集の成果を待つことにする。

 先に手続きをしていたので、条件に合う冒険者同士のマッチングをギルドの方である程度やってくれるのだが、ある程度っていうのが厄介なところである。

 ケイト先生も言っていたように、女性の場合は何かしらのトラブルがある可能性があり、それに関してギルドは関知してくれない。

 要するに犯罪に対して処罰自体はするけど、それは起こった事に対してであり、トラブルが起こるかどうかになるとギルドは自己責任と明言しているのだ。ようは自分でちゃんと判断しろよってことだね。


 「少しいいかな? 君がレイシアさんで合っているかい?」

 そして早速お声がかかった。見た感じは真面目そうで、いい人そうな印象だ。

 卒業したばかりとはいえ、マジックユーザーで女性なら直ぐにお誘いが来るのは予想済みだけれど、ここら辺りはゲームとかと一緒でこっちの世界でもやっぱり優遇されるのだな~。男女平等でお願いする!

 「ええ、そうです」

 「じゃあ早速で悪いけど、時間があるならパーティーメンバーを紹介したいと思っているんだけど、どうかな?」

 「はい、お願いします」

 そう言うと男は先に立って、レイシアを仲間の元へと誘導した。

 影渡りを利用して男の顔を窺って見たけれど、さすがに後ろを向いてニヤリとはしなかったな。

 もしその手のやつなら、初めにニヤリとしてくれた方が話も早くて助かるのだけどね。まずは様子見ってところかな~

 ひょっとしてこの感情は、娘を持った親のものか! いや、考え過ぎだな・・・・・・

 「彼らが僕のパーティーメンバーです、手前から神官のザボック」

 「よろしく、レイシアさん」

 この男は神官らしく、邪気の無さそうな爽やかな笑顔でそうお辞儀した。

 「次に左が、盗賊のモラン」

 「よろしく」

 こっちはいかにも荒くれって感じで、胡散臭そうではある。

 しかし盗賊というとイメージは悪いが、RPGでいうところの盗賊とは鍵開けとか罠発見とか、盗賊系の技術を習得しているってだけの専門職で、人を襲ったり盗みを働く犯罪者って意味ではないので、ここは職業盗賊である。

 人が良ければ頼りにできる仲間になるだろう。

 「モランの正面にいるのが、戦士のロンブロク」

 「嬢ちゃん、よろしくな!」

 この人は結構裏表の無さそうな見たままの戦士って感じだな。

 「その横にいるのが、狩人のリュドセン」

 「よろしく」

 この人は、あまり会話しない無口キャラかな? 見た感じちょっと影がありそうな感じなので、このメンバーの中では危険な匂いがするのは、この人くらいか。

 「最後に、僕がこのパーティーのリーダーで戦士のセルドイアだ。ようこそ僕らのパーティーへ」

 「よろしくお願いします」

 とりあえずは無難に、自己紹介が終了した。

 「レイシアさんは、このパーティーで特に問題なさそうかな? 問題ないなら、今日のところはこのまま君の歓迎会ってことにしたいのだけれど、どうだろう? ギルドからの話だとまだ卒業したてって話しなので、お金はこっちが歓迎の意味で払うから、気軽に参加してくれればいいけど」

 「だな。まずはお互いに親睦を深めようじゃないか!」

 リーダーのセルドイアと戦士のロンブロクが、そう言ってレイシアを誘う。

 特に断る事もなかったからかレイシアはその誘いを受けて、今日のところはいろいろ自己紹介とか雑談、これまでの冒険談などの話をして過ごした。

 お酒なども飲んでいたけれど、男達に不信なところは見られなかった。まあいきなり何かして来ることはないか。ここはギルドの中だしね。

 解散間際に軽いクエストを受けて明日出発って話になり、今日はそれぞれの寝床に戻ることになった。

 「何とかやっていけそうね」

 内心、不安に思っていたのかポツリという感じでそう気持ちを吐露していた。

 「そうだな。いいパーティーだといいな」

 僕らはそんな事を言い合い、学校の宿舎に入って行った。


 翌日、多少緊張していたのかいつもより少し早く起き出したレイシアは、身支度を整えると早速ギルドへと向かった。ギルドの中に入ると待ち合わせの食堂で、パーティーの内三人が既に来ているのを発見、レイシアはそちらに向かった。

 「おはようございます」

 「ああおはよう、昨日はよく眠れたかい?」

 セルドイアがそう言って来て、後の二人も軽く挨拶をして来る。

 「大丈夫です、多少は緊張していたのか、早くに目が覚めましたけど」

 「そうか、今日はがんばって行こう」

 「はい」

 そんな話をしていると、残りの二人がやって来た。

 メンバーがそろったことを確認して、早速移動が始まる。

 今日の依頼は、ほんとに軽い小手調べ的な討伐で、ブラウンベアを三体倒すって依頼だった。

 日本で過ごしていた時に熊と戦えって言われたら、即逃げるけどな! これくらいの相手なら冒険者にとっては楽な依頼なのだそうだ。

 まあそれでも一般冒険者ならって話で、学生や初心者ばかりのパーティーなら、やっぱりそれなりには危険があるそうだ。

 ブラウンベアが出現したっていう現地には、近くの村に乗合馬車で移動して軽く休憩を挟んでから森に移動してそのまま討伐に向かう。

 さすがに学生冒険者とは違い、体力があるのかさくさく移動して、パパっと終わらせようって感じの早い行動だった。

 今のところ、レイシアも問題なく付いて行っている。

 森を進むこと四十分くらいかな? リュドセンが手を上げて、パーティーを止める。

 ハンドサインで移動を指示する。さすが狩人だな足跡とか糞とかで熊の位置を把握したんじゃないかな? 熊じゃない可能性もあるのかもだけど。

 さらにしばらく進みリュドセンがハンドサインで、前方に発見みたいな合図を出した。

 「レイシアさん、早速だけど君の言っていたゴーレムって奴を出してくれないかな?」

 セルドイアがゆっくりとレイシアに近付き、耳元でそう囁いた。レイシアは少しだけ身をすくめた後、了解したって頷く。

 「召喚、ゴーレム」

 微かな声で、ゴーレムを召喚して、直ぐに熊に攻撃を仕掛けさせる。


 グォッ


 熊がいきなり背中を叩かれ、苦痛の声を上げる。そのまま攻撃を止めることなく、ゴーレムが再び今度は頭を殴り付けた。不意打ちで背中と頭への攻撃が決まり動きの鈍った熊に、さらに攻撃がヒットして他のメンバーが手を出すまでもなく、無事に熊をしとめることに成功する。

 「いやー、ここまでゴーレムが使えるとは、思ってもいなかったよ。このゴーレムは結構使い勝手がよさそうだね」

 「いやいや、こいつがいれば逆に戦士がいらなくなるのでは? 俺達の役目がなくなるな」

 セルドイアと、ロンブロクがそんなことを言っていた。

 他三人もそれぞれに、こいつはいい戦力が入ったと好意的な意見を出している。ひとしきり意見を出し合った後に、セルドイアがレイシアに言って来た。

 「次の戦闘では、ゴーレムを真ん中にして、初めから前衛三人って形で戦ってみたいんだが、いいかな?」

 「わかりました。送還、ゴーレム」

 レイシアは、了解しながらゴーレムを帰した。

 ふと思ったのだけれど、このゴーレムって武器召喚がどこかの店から呼ばれているのなら、ゴーレムだとどこかのダンジョンにいるゴーレムが呼び出されているのかな?

 これからの冒険で、ゴーレムに襲われている時にゴーレムを呼び出したら、目の前でそいつが召喚されているのが見られて面白いかもな。

 そんなことを考えていると、レイシアの影に入っているのでそのままレイシアに引っ張られて移動していた。


 程なく次の熊を見付けたようで、リュドセンが合図を送って来た。今度もブラウンベアだ。やっぱ狩人だけあって動物には詳しいのかもしれないな。さすが専門職って思ったよ。

 セルドイアの合図でレイシアがゴーレムを呼び出すと、ゴーレムの両サイドにセルドイアとロンブロクが並んで、戦闘が始まった。

 「ゴウ!」

 熊の方は、聞こえて来たセルドイアの合図の声で、こっちを振り向き立ち上がって攻撃して来る。

 ああ正面からの戦闘って、ゴーレムの耐久力チェックってことか。ベテラン冒険者っぽくデータ収集に余念がないな~

 熊は正面にいるゴーレムを目標にして、攻撃を加えている。

 ゴーレムは何度か熊に殴られながらも、ダメージを感じていない動きで殴りかかっていた。しょせんは石だが熊の爪くらいでは、表面を削られるくらいのダメージしか負わなくて、左右にいる戦士の手助けもあって余裕を持って倒す事ができる。

 「おいおい、これってほんとに前衛はいらないのか?」

 ロンブロクが戦闘の後に、ちょっと焦った感じでそう言った。

 ちょっとだけなのは、さすがにゴーレムより自分の方が強いと、自信を持っていたからみたいだけれどね。

 「まあ嬉しい誤算だけど、予想以上に役に立つな。欠点は知能が高い相手や、もっと素早い奴には通用するかわからないってところかな。相手次第、使い方次第ってところだな」

 うんうんと満足そうに、そう評価している。そして次の戦闘について少し悩んだ感じで指示を出して来た。

 「じゃあ次なんだけど、僕達二人が前衛になって戦うから、自分の判断で攻撃魔法を使って戦ってもらえるかな?」

 「わかりました」

 セルドイアの指示に、レイシアがそう答えた。

 討伐は三体だったので、おそらくこれでレイシアの実力を大体判断できるってことなのだろうな。


 その後直ぐ次の熊と戦闘になり、レイシアは氷と炎の魔法を当てて体力を削り、まあ無難に倒していた。

 前衛の二人は傷一つしていないので、神官のザボックと盗賊のモランは、今回何もしないで付いて来ただけの形になっていた。まあ、毎回出番があるとは限らないだろうな。

 そんな感じで討伐が無事に終わって、僕らはギルドまで苦労もなく帰って来た。

 「お疲れ様、今回は軽い依頼だったけれど、僕らとパーティーを組んでどうだったかな? このままこのパーティーでやっていけそう?」

 「はい、問題なかったと思います」

 「そっか、それはよかった。じゃあ報告して来るので、みんなとテーブルで待っていてくれ。何か食べていてもいいよ。食べながらでも、お金の分配をしよう」

 「わかりました」

 そう言って、セルドイアとレイシアは別れたけれど、僕はセルドイアに付いて行った。

 依頼料の分配を、誤魔化したりしないか確認しないとね。彼らがレイシアを調査するのもわかるけど、逆にこっちも相手を調査して、何かしらの問題がないかどうか調べた方がいいからね。

 後で面倒になるより、最初に疑って問題点を調べて行く方がいい。

 その結果、報酬の誤魔化しとかはなかった。

 レイシアも、当分このパーティーにいようって決めたのか、少し積極的に質問とか、雑談などに参加していたようだ。まあそれでも僕のことは、紹介とかしていなかったけれどね。


 レイシアが学校の宿舎で寝ている頃、僕はギルドの地下五百メートルは下の地面の中で、周りの土を押し固めていたりした。

 こんなところで何をしているのかというと、自分だけの拠点作りだった。

 初めの計画は、人間に化けてギルドの依頼を受けてお金を集めることによって、町に家を買うという方法だったのだが、おそらくこの方法は定期的に税金を支払う必要があると思う。

 なので家を買う資金や家を建てる資金、家を維持する資金と結構お金がかかることが予想できた。はっきりいって、人間じゃないのにいちいちお金を払うのが馬鹿らしくなったのだよ。

 それで影渡りというスキルを利用してギルドの地下、場所はどこでもよかったので部屋を自作することにした。

 空間を作る為に退かした土をレンガ状に固めて魔法をかけて、これを魔道具にして僕以外通過できないブロックを作る。それをいくつも作る事で生まれた空間を基準にこのレンガを壁として並べて、ちょっとした大きさの部屋を作り出し拠点とした。

 天井にはレンガを並べると落ちてきそうなので、まとめて一枚の板みたいな土の魔道具にして一応の完成となった。

 レンガ用の土が足りないところは別から採って来た。

 レイシアが寝ている時間を利用してコツコツ作ったので、一気にはできなかったのだけれど、僕だけの拠点がやっと完成したので早速引越しをした。部屋の隅に、ぽつんと一つの箱が置いてある。

 寂しいので今度机とソファー、椅子と寝床を調達することを考えよう。

 まあそれはおいおいでもいいので、万が一を考え部屋の片隅に、余っている水晶を一つ設置。

 これを転移の魔道具にして、何かあって魔法が使えなくなった場合に、相方の水晶を使ってここに飛んで来られるように、設定をしておく。

 魔法が使えないことが考えられるので、こっちの水晶にはステータスを読み取る機能を持たせて、名前 江本隆志と、念の為、名前 レイシアに反応して起動するような仕掛けを作っておいた。

 後は、他の人に気が付かれないように配置するだけだな。


 レイシアと合流する為に学校へ移動している時、ふと校舎の前にあるグラウンドに一本の木を見付ける。なぜあんな邪魔な位置にあるのだ? ってのを最初に考え、邪魔なのにずっとあそこにあるって事は、これからも残り続けるんじゃないかって考えになり、理由次第では水晶の配置場所に使えるかもなって考えに思い至った。

 翌朝、目が覚めたレイシアに早速聞いてみる。

 「なあ、校舎前の運動するところに一本だけある木って、何であんな邪魔なところにあるのに、伐り倒されもしないでそのまま残っているのだ?」

 「ああ、あの木はこの学校の創設者の人が、学校を建てる時に植えたものなの。学校の繁栄を願って植えたものってことで、場所が悪くっても伐らないで残してあるって話よ」

 「へー、そういう木なのか」

 配置場所にはぴったりだな。暇を見て配置することに決めた。

 その後、レイシアはセルドイア達と頻繁に冒険に出かけ、一杯経験値を稼いでいた。

 結構忙しくて、水晶を配置するのに日にちが経ってしまったけれど、レイシアが宿舎で寝ている隙にグラウンドの木の元へと移動した。

 「汝に我が水晶の守護を命じる! 汝、伐採しようとする者へ災いを。汝、大事にするこの地にいる者へ祝福を!」

 目の前の木に魔力を与え、水晶の守護者へと作り変えた。分類はトレントになるのかな? 僕の下僕である。

 枝を伸ばして外敵を殴ったりとかそういうのではなく、単純に僕の魔力で呪い的なものが発動したり、周りの人達が怪我をしにくくなったりって程度の、まあ御神木辺りのイメージかな?

 そして低めにある枝のところに、他人からは枝のこぶのように見えるように幻惑の魔法をかけて、水晶を配置した。

 僕とレイシアだけは、これを水晶と認識できる。

 これで秘密基地の完成だ! 早速水晶に触れて拠点に移動したけれど、がらんどうの部屋を見てテンションが一気に下がったよ・・・・・・

 まだ僕の拠点完成していなかった。レイシアのところへ戻って、影の中で不貞寝することにした。


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