表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第四章  ステータス
15/240

素材集め

 上空から砂漠を探すのは凄く簡単で、南に飛んでいる途中で直ぐにそちらへ軌道修正することができた。

 問題は上から見た限りでは、どこにもバジリスクを見付けることができないってことだな。

 多分やつらはどこかの背景に、紛れ込んでいるに違いない。どれ程目を凝らしても、まあスライムに目なんか付いていないけれど、それらしい痕跡を見付け出せそうになかったので別の手段を考えることにする。

 こんなところで長々とわかりもしないものなど探したくもないし、降りて探そうと思えばいつの間にか石にされているって事になりかねない。まあ状態耐性があるみたいなので、石化はしないとは思うけれど。油断はしたくないしね。

 「ライフサーチ」

 魔法で生命の感知を使うと・・・・・・おーおー、出て来た、出て来た。今まで痕跡すらわからなかったバジリスク達がくっきりと赤い輪郭線で浮かび上がった。

 まるでここに透明なやつがいるぞって、赤い線で囲われているみたいな感じだな。

 見たところアサシンバジリスクの中で、僕の存在に気が付いているやつはいなさそうだ。

 それでは君達の十八番の先制攻撃ってやつを、こっちからさせてもらおうかね。

 「アイスコフィン」

 比較的周りから離れていて、何匹か固まっているやつらに向けて氷の魔法を使ってみる。

 条件に合っているやつらは四体程固まったのがいたので、攻撃魔法は四体分に拡大して行使だ。

 魔法で作り出した氷の棺の中、数秒はびくびくと反応らしきものがあったバジリスク達も、時期に動かなくなり赤い輪郭線が消え本来の体の色に戻った。おー、探知系魔法は意外と使えるな。前は死んでいるかどうか、わからなかったからな~

 こうして見ると普通にただのでかい蜥蜴だな。さて今回は水晶と違ってそれなりにでかいし重そうだから、このままでは持って帰れない。

 そうなると、うーん食べるか?

 欲しいのは革の部分なので、中身は食べてしまったら持ち運びも楽になるはず。スプラッタは趣味じゃないので、食事風景は割愛させてもらおう。

 それなりの時間をここで過ごした後、革だけになったそれを折り畳み、学校へ向けて飛行することにした。

 辿り着いた時には真っ暗闇で、レイシアも当然夢の中っぽい。

 窓や宿舎のどこの出入り口も閉まっていたので、僕はレイシアの部屋の窓の隙間に触手を伸ばして鍵をはずし、中の人達を起こさないように気を付けながら無事に進入を果たした。

 おー、この体なら、怪盗とかそういうのができそうだな。宝石とか取っても、持ち出せないからあまり意味はないかもだけれど。

 そして今は人間じゃないから、宝石なんか必要にならなければいらないけれど。

 まあそんな事はどうでもいいか、今日は魔法を使いまくったのでここら辺りで休ませてもらおう。


 「おはようバグ、いつの間にか帰っていたのね」

 「おうレイシア、おはよう」

 早速昨日採って来た戦利品の革を見せて、次の素材についての相談をする。

 この状態のままだとぺらぺらしていて扱いにくいので、カード状の薄い板みたいな感じの物を革の裏に貼り付ける加工をしたいのだ。鉄板とかなら硬くて曲がらないのでそれなりにいいのだが、おそらく重くなる。だから今のところで僕の思いつく限りだと木の板辺りが最適か、あるいは亀などの甲羅みたいな素材がプラスチックに近くてベストかもしれないな。

 昨日採って来た革を、カードサイズに溶かす事で切り離した物をレイシアに見せる。

 「これくらいの大きさで、簡単に壊れない折れ曲がったりしない、重くないような素材って何かないか? 僕としては木片か、甲羅みたいなのがいいと思うのだけれど」

 「うーん、そこまで大きくはないしこれくらいのものなら何かあると思う。あまり詳しくはないからブレンダとも相談した方がいいかもね」

 レイシアが、役に立てないのが残念って表情をしながら、そう言った。

 「やっぱりブレンダに聞くのが一番よさそうか」

 「ええ、これ完成したの?」

 「これの裏に支えになるようなのを貼り付ければ、大体は完成って感じかな。ここから、大勢が使うとかの大量生産とかになってくるなら、もっとちゃんとした加工が必要になってくるとは思うけれど、僕個人での開発はここまでって感じだと思う」

 「そう、お疲れ様。ブレンダも朝食に来ると思うから、食堂で待ちましょう」

 「ああそうだな、行くか」

 早速レイシアの肩に乗って、食堂へと向かった。

 特に待ち合わせとかはしていなかったので、先にのんびりと食事を取りながらブレンダを待っていると、他のメンバーなどが先にやって来て挨拶して来た。

 「おーす、レイシア、バグ」

 「おはよう、ランドル」「おっす」

 ランドルが目の前の席に座って挨拶をし、そのままの流れでご飯を食べ始めた。せわしないな~

 体育会系って感じで、とても戦士らしいけれどな。

 「昨日今日と、走り込みやら筋トレやら一杯やってみたんだけど、ステータスってやつ、どれくらい変化しているか確認してもらってもいいか?」

 「早々ポンポンと変わるものでもないと思うぞ。まあ別にかまわないけどな」

 「そうか、ありがたい!」

 なんとなく嬉しそうに、またご飯をぱくつき始めた。レイシアが持ち歩いている小さなバックを漁り、水晶と切り抜いた革を取り出して、水晶の一つをランドルへと渡す。

 ランドルはそれを左手で受け取り、そのまま食事を再開する。いろいろ魔法も改良を重ねて、新しくなったステータスカードを作成する。


 名前 ランドル  種族 ヒューマン  職業 重戦士

 LV 13  HP 102-103  MP 52

 力 45  耐久力 52  敏捷 32  器用度 25  知力 18  精神 21-22

 属性 土

 スキル 重装行動 盾強打 挑発


 そんなにたいした変更点はないのだけれど、まずは水晶使用者が名前と種族を直接魔力で書き込む。

 後は前回のデータとの比較がしやすいように、変わったところをわかりやすくしてみた。前の使い捨ての羊皮紙だと、二つを比べる事ができたけれど、カードにすることで使いまわすようになったら違いがわからなくなるからね。

 まだ裏が無くてぺらぺらの革をランドルへと渡す。

 「裏側に、支えになりそうな素材を付けるつもりなのだが、とりあえずはその状態で我慢してくれ」

 「確かに、フニャフニャだと持ちにくいし見辛いな。了解、そっちはしばらく我慢するよ。おお少しだけ上がっているな」

 少しでも変化が現れた事が嬉しいようで、凄くご機嫌なようだった。

 「バグ、私のは?」

 「はいよ、昨日寝ている間に作った」

 レイシアにも要求されたので、ぺらぺらなやつを渡す。ほんとは完成してから渡したかったのだけれどね~

 そしてレイシアは、特に特訓とかしていないので、データに変化はなかった。

 しばらくそんな事をやっていると、待ち人がやって来た。

 「おはよう、レイシアさん、ランドル、バグ」

 「おはよう、ブレンダ」「うーす」「おう!」

 それぞれに挨拶して、僕は早速って感じで用件を伝えることにした。

 「ブレンダ、早速で悪いけどいいか?」

 「ステータスの件かしら、いいわよ」

 「こいつの裏に支えになりそうな木片とか、何かの甲羅みたいない物を貼り付けたいのだけれど、いい素材はないか?」

 そういいながら、ぺらぺらの革をブレンダに渡す。

 受け取ったブレンダはしばらく革を調べた後、こちらを向いて言って来た。

 「これ、しばらく預かってもいいかしら?」

 「うん? まあかまわないよ」

 「そう、早ければ三日くらいで何かしらくっ付けてみせるわ。時間がかかったらそうね、二週間くらいかかるかしら」

 「あー、それなら予備も含めて六枚分渡しておくので、五枚分作ってくれ」

 「了解、預かっておくわね」

 「よろしくー」

 さてこれで今のところやりたい事は、終わってしまったかな。しばらくはのんびりと過ごしておくか~


 やる事のなくなった僕は、基本レイシアの肩に乗っているので、自然レイシアと行動を共にすることになる。

 レイシアは午前中を使って、ケイト先生の座学の授業を受けている。

 教室に入り初めの頃と同じ後ろの真ん中の席へと座る。以前と違い今の僕は魔法で文字も読めるので、この授業もどんなものなのか理解できるかもしれない。前は何をやっているのか、さっぱりだったので暇だったのだけれど、それなりに楽しめるかもしれないな。

 「皆さん、おはようございます」

 そうこうしていると、ケイト先生がやって来た。そして僕を見付けると、ちょっとビクって感じで笑顔が歪んだように見える。がんばって一瞬だけに止めたみたいだけど、何気なく見ていた僕にはまるわかりだった。

 以前の襲撃で、トラウマにでもなっちゃったのかもしれないな~

 まあ僕としてはあれくらい仕方ないって思うけれどね。だから今更謝らない。

 「ごほん、それでは授業を始めます・・・・・・」

 軽く咳払いをして気分でも入れ替えたのか、何事もなかったかのように、授業を開始した。

 内容を簡単に説明すると属性について系統について、魔法の苦手な人、魔力の低い人の為の魔法陣によるブースト方法、後は魔法の原点になる歴史の話から、未来への可能性など結構ガッツリとした授業をしていた。

 さすがに文字などは読めるようになったのだけれど、魔法文明のない世界から来ているので、内容のほとんどを理解することはできなかったけれど、説明していた魔法のほぼ全てにおいて現代ゲーム知識を応用すれば、やって出来ない魔法はないだろうって結論になった。まあ試していないから、正しいかはわからないけどね。

 例えば、この世界における転移魔法なら、転移先のトラブル防止もかねて、相手側にも転移魔法陣が必要になる。

 僕の場合転移先で何かにぶつかったとしたら、そのまま溶かしちゃうことで、無事に転移を完了させることができる。

 ここら辺りは、スライムだからこそだね~。

 重なる心配が無くなったということで、後は空間と空間を繋いでしまえば、転移魔法が完成すると思う。

 座標がずれても空中なら飛べばいいし、海底なら空気の壁を作る。無詠唱で魔法が使えるので、真空に放り出されたとしても、多分死なないんじゃないだろうか?

 何これ、スライム最強!

 そんな事を考えながら、レイシアを生暖かく見守ったよ。がんばれ~


 午前の授業の後は、みんなで集まってミーティングなどをしながらの昼食。

 やって来たシリウスは、まだ僕の事をあまりよく思っていないみたいで、少し距離を取っている感じかな。まあこれはどうでもいい。

 からかってやっても自分に自信がある為か、あまりいい反応がないどころか嫌そうな顔をするだけなので、相手にしないことにする。

 ちょっと距離を取っているせいか、レイシアの肩にいる僕が気になって、レイシアにはちょっかいを出してこないので、こんなところでもわざわざ相手をしてやらないでいい要素になっていたりする。

 リア充爆発しろと言う程、恋愛とかには飢えていないけれどね。まあ程度問題だけど、露骨でなければどうでもいい。

 そもそもモンスターになったからなのか、あまり人間には興味が向かない。いいことなのかどうかはよくわからないけれど・・・・・・

 午後からは更衣室で着替えて、魔法実技の授業にブレンダと一緒に参加していた。

 こっちは以前の立ち位置と少し変わって、ブレンダと組んでいろいろ魔法をがんばっていた。昔と違い多少威力には劣るものの、初級くらいの魔法ならある程度の呪文の省略で、発動することができるようになっている為、周りとしてももう以前のように、落ちこぼれと言ってからかうことができなくなっていた。

 それどころか今までからかっていた人達よりも、上位の魔法を使う事もできるので、決まり悪そうにしている生徒すらいるようだ。

 努力を続けた結果がこれだとすれば、他人の足を引っ張って喜んでいた人間の、哀れな姿を見ているようで僕としてもざまあみろといった感じがしたりする。

 ちなみに今日は各自特訓しているみたいで、連携訓練は明日にするという話だったから魔法実技の授業が終わったら、そのまま夕食を食べて眠ってしまった。

 ちなみに夜寝る必要性を感じなかった僕は、森に出かけて経験値集めをしてみた。魔法を使うと回復するのに休憩がいるので、使ったのは移動用のフライだけにしたよ。

 「こういう地道な努力で、最強スライムになっていくのだよ」

 誰もいないけれどそんなことを言いながら、モンスターを襲撃していた。

 ちなみにモンスター同士でも普通に喧嘩したり殺し合ったりは、当たり前らしいので手加減をする気はさらさらない。それどころか僕がスライムとわかると、馬鹿にして襲って来るモンスターがほとんどだったので、何の気兼ねもなく倒して行ったよ。

 なんに使えるかわからないけれど、いろいろと素材を頂いて明け方に宿舎へと戻った。

 レイシアは錬金術もやるようだから、いつの日か何かしらの素材になるだろう。

 僕も、思ってもいないところで使うかもしれないしね。


 「おはよう、バグ」

 「おはー」

 軽く挨拶を交わして朝食を食べに向かう。

 そこにはブレンダが既にいて、優雅に紅茶を飲んでいる姿がゲームや小説などで出て来るような御令嬢みたいだった。

 まあ実際に御令嬢なのだけれどね。ブレンダって、よく親に冒険者なんかやめろとか言われないよな?

 「二人とも、おはようございます」

 「おはよう、ブレンダ」「おっす!」

 席に着くと、挨拶も程々に、ブレンダは僕に顔を向けて来た。

 「早速だけど、バグ。ステータスカードなのだけれど、目処が付いたので明後日には渡せると思うわ」

 「おお! ありがとう」

 僕には顔はないけれど、ホクホク顔をした。いよいよ完成だな~。待ち遠しい!

 「それで、このステータスカードなんですけど。この技術を私に売るつもりはありませんか?」

 「ん? スライムが金をもらってどうするのだ?」

 「ああ確かに、あなたにはそんな物は必要なかったわね・・・・・・うーんじゃあ何かしら必要な物があるなら、これから私の家で用意するっていうのはどうかしら?」

 「急にどうしたのだ? こんなもの、そこまで必死になる程でもないだろう?」

 実際のところだと、冒険者辺りにはそれなりに有用な物だとは思う。だけど、ブレンダがそこまで必死になる程のものかな?

 「実はこのカードの裏に貼り付ける素材を検討してくれている人に、いろいろと経緯などを説明しなくてはならなくて、結果的にカードについての話をしてしまいましたの。それで実家の方でもこの技術が是非に欲しいと、お父様が言い出しまして。ようするに代理交渉ですわ。お父様に、バグを紹介する訳にもいきませんし」

 まあスライムを連れて行って、このスライムが作りましたとか言っても信じる人間はどこにもいないよね。

 でも現物はある訳だ。

 さしずめ謎の魔道具研究家? まあ、あまり厄介事には近付かないようにした方がいいような気がするな。

 「とりあえずは、金も名誉も必要としていないって言っておいてくれ」

 「はあ、まあそうですわね。いきなり過ぎるっていうのもありますし。交渉相手がそもそも人間でない時点で、ちょっと無理がありましたわ」

 「わるいな」

 「いえいえ、こちらもいろいろ混乱していたようです」

 とりあえずは、この話をなかったものにしてもらった。

 レイシアと主従関係でもあった頃なら、レイシアが代理というか権利を主張することもできたのかもしれないけど、もう僕らは仲間あるいは友達、そんな関係だからな。

 この技術が売れるっていうのだけ覚えておこう。

 食事が終わり午前中は昨日と同じで座学を学んで、昼食をみんなで食べる。そして午後から全員で集まって、予定通り連携の訓練をすることになった。


 「それでは、私達対、バグで模擬戦を始めます」

 そう宣言するブレンダに、シリウスが疑問の声を上げる。

 「え? スライムなんかじゃ、訓練にならないのではないか?」

 「そう思うのなら、戦ってみるといい。五人でかかっても、手加減してもらわないと勝負にもならないと思うから」

 少しむっとした様子で、レイシアがそう反論した。

 その勢いに納得しないまでも、強く反発することなく、しぶしぶって感じで配置に付く。

 「シャドウウルフ」

 僕がそう呟くと共に、影のように真っ黒な狼が二体僕の前に出現する。

 おそらくここら辺りの狼でいい勝負ができるだろう。

 「えええっ、ちょっと待てよ、スライムが召喚魔法?」

 シリウスが思いっきり動揺している。ちょっと楽しく思う僕がいた。

 「シリウス。相手がただのスライムじゃない事くらい、少し付き合えばわかっていることでしょう? 見た目で判断しないで、集中しなさい」

 「わ、わかった」

 まだまだ動揺丸出しだけど、彼的には引き締まった顔をしているみたいだ。

 「では、模擬戦開始!」

 「フライ」

 開始早々飛行魔法を唱える。その様子を見たシリウスが、ぎょっとした顔を見せた。

 まあ、いつもレイシアの肩とかに乗ってばかりだったしね。

 シリウスにしてみれば、魔道具をレイシアに与えられた、喋るスライムって感じの認識でしかなかったのだろう。

 ビックリして、心が乱れている間にちょっとからかってやろう。

 狼にランドルを押さえるように指示を与える。もちろん声に出せば作戦がばれるから、主従の繋がりにおいての指示だ。

 「シェイド、スパイダーネット」

 そして狼を横から殴ろうとしていたシリウスと、ランドルを巻き込んで暗闇に包み込みつつ、蜘蛛の糸で動きを封じる。

 これで前衛はいなくなって、狼二体がフリーになった。なので、狼には後衛三人を引っ掻き回すように指示を改めて出す。

 そうして手の空いた僕はいよいよシリウスへのいたずらを開始するのだった!


 その後パーティーが負けを認めるまでの十分余りを、シリウスはひたすら笑い転げることとなった。

 暗闇で動けないシリウスを、ひたすらこそぐって笑わせる。今は笑い過ぎて地面でピクピクしているな。

 ちなみに、今まで僕のことを格下に見て来たシリウスに、思いっきりいたずらできたので僕は満足な気分だった。

 シリウスを含め十分に休息を取ったメンバーは、まずは反省会を開く。

 「初めに、シリウスはどうだった?」

 「ぐっ、あれ程厄介とは思いもよりませんでした」

 悔しそうにそう言う。

 「バグはまだ、実力をほとんど出していませんよ。次からはよく考えて行動するようにして頂戴」

 「わかった」

 まあほぼ瞬殺の状態だったし、相当悔しいよね。しかも実力をほとんど出していなくてだし。

 「俺は、挑発のスキルを使えばよかったかもしれないな」

 「そういえば、そんなスキルがありましたわね。試した事はあるのですか?」

 ランドルも、まんまと捕まってしまっただけに、悔しそうにステータスカードを見て発言した。

 「いや、そもそもどうやって使うのかが、まだよくわかっていない」

 「なるほど、そういう意味では私も二重詠唱のスキルを、使ったことがないのでこれも試しておくべきでしたわ」

 ブレンダもステータスカードを見てしまったって顔をする。その様子を見ていたシリウスも、持っていたステータスカードを反射的に見ていた。

 「ということは、僕もこの双剣というスキルを、使っておかないと駄目なのかな?」

 迷っている様子のシリウスに、今なら僕の話も少しは聞くのかなと思いつつ、助言してみる。

 「まずは自分にどんなことができるのかを、知っておく必要はあると思う。実際に使ってみて、それから自分には必要が無いのかどうか、改めて判断しても遅くはないかと思うけれど?」

 「確かに・・・・・・」

 どうやらちゃんと、言葉が届いたようだ。

 レイシアがそれをみてウンウンと頷いていた。

 レイシアも昔は自分にできることを、よく理解していなかったな~。成長したものだ。

 その後、三人がスキル習得をがんばる為に、簡単な反省会をおこなって各自トレーニングという流れになった。

 僕からの模擬戦の助言はというと、狼をランドルに任せてシリウスが僕に攻撃して来たら、また少しは展開が違ったかもっていうものだった。


 ステータスカードの完成の日、僕達は朝の食堂で早速カードを受け取った。

 出来としては、プラスチックのカードっぽい感じで、予想以上に良い物が完成した。

 早速ブレンダとレイシアのカードを作って、後のメンバーは、昼の時に作ることにしたよ。

 ちなみに僕自身のカードは作らない。なんといっても個人情報が他の人に知れてしまうから! 

 ちなみに、夜にこっそり経験値集めなどしていた為、以前よりもLVとかが上がっていたりする。今はこんな感じ~


 《名前 バグ  種族 マジックスライム  年齢 0  職業 魔導師

 LV 52-64  HP 1306-1891  MP 3417-5232

 力 55-74 耐久力 381-426 敏捷 23-24 器用度 67 知力 569-681 精神 813-883

 属性 火 水 土 風 光 闇 生命

 スキル 捕食 腐敗 肉体変化 分裂 無詠唱 自動回復 状態耐性 細胞変質》


 劇的な変化は無いけれど、そこそこな怪物振りじゃない?

 多分だけど寝ている間に、レイシア達が僕を殺すことは、できないと思う。

 魔王とか神様とかが来たらおそらくもたないと思うけれど、そういう強者が来ない限りはのんびりと暮らしていけるだろうと思う。

 ステータスが知れて、これ程よかったと安心できることは無いね!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ