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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第四章  ステータス
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新メンバーは、王子様風味?

 シリウス以外のステータスを無事に焼き付け終わって、僕達はギルドに到着した。

 多少わいわいし過ぎて時間を取ってしまったけれど今回の目的はシリウスとの連携、いわゆるシリウスの冒険者としての適正や性格、立ち回り等々内のパーティーに必要かどうかの面接みたいなものなので、わりとパーティー内の雰囲気はお気楽って感じだった。

 「すみません、討伐関係の依頼を見せてもらえますか?」

 ブレンダが代表して受付に用件を伝える。今回は大物のリストは要求しない。

 「はい、少々お待ちください」

 受付担当のギルド員が、直ぐに学校の生徒用討伐リストを用意してブレンダに渡した。

 ちなみに前に担当してくれた人は、結構人が並んでいたので初めての受付の人に頼んでいる。

 ここら辺りブレンダは特に見知った人にとか、あまり考えないみたいだな。男の場合だとよく女の人、特に美人の受付なんかに並びがちだけれどね。

 「ロックリザード辺りがいいかしら。わりと近場だし、討伐の数は多いけれどそこまで手間取りそうな相手でもなさそうだから」

 ブレンダは、受け取ったリストからロックリザードってやつを選んだようだ。

 僕はそいつがどんな敵なのか、知らないので特に意見はない。

 難しくないって話しだし、そこまで苦労はしないのだろうって感じかな。一応ブレンダはパーティーのみんなの顔を見回した後、シリウスの意見を聞くようにどうって発言を促がした。

 「ああ、僕もそれで問題ないよ」

 「じゃあ決まりね。すみません、このロックリザードの討伐依頼をお願いします」

 受付に向き直ると、早速依頼を受けている。

 「それではこちらの依頼表の下に、サインをお願いします」

 全員がサインしたのを確認すると、ギルドの人は一つ頷いた。

 「確かに、お気を付けて行ってらっしゃいませ」

 ギルド員の笑顔に見送られ、僕らはその足を学校へと向ける。

 というのも日帰りで行ける距離なのは確かなのだけれど、歩くには遠く乗合馬車を使う程の距離でもなく、そもそもの馬車が出てもいない。

 だから学校に行って、馬を貸してもらうのだ。

 学校では乗馬訓練の為の馬などもちゃんといて、クエストや緊急事態の時には、馬の貸し出しなどもおこなっているのだそうだ。

 学校で馬を飼っているとか・・・・・・思わずどこのセレブだって言いたくなったよ。

 学校に到着してそのまま真っ直ぐ教員室へと向かい、乗馬担当の先生を探す。

 「失礼します。ゼクスモルド先生はいますでしょうか」

 「おーこっちにいるぞー」

 教員室の奥の方から声が聞こえて来た。ブレンダを先頭に、僕らはぞろぞろと中へと入って行く。

 「ゼクスモルド先生、クエストの為馬を貸し出してもらいたいのですが、よろしいでしょうか」

 ブレンダが代表して用件を伝えると、先生は人数を確認して話しかけて来た。

 「馬は三頭でいいな?」

 そういいながら書類を引っ張り出す。

 そしてブレンダにその羊皮紙を渡すと木の板片みたいなのを取り出し、それを後ろで待っていたレイシアに渡して来た。レイシアの手元を覗き込んでみると、どうやら馬の名前か何かが書き込まれているようだ。多分この馬を貸し出してくれるってことなのだろうな。

 「先生、お手間を取らせました」

 渡された書類に何やら書き込んでそれを先生に渡すと、先生はニカって感じで笑って見せる。

 「がんばって来いよー」

 「はい、ありがとうございます」

 「「失礼しましたー」」

 みんなで挨拶して教員室を退出した。

 後は馬に乗って、目的地まで向かうだけって感じかな~って思ったのだけれど、食堂に立ち寄って一食分の弁当を購入した後で馬を借り受けに向かった。


 馬の前に着くと、初めは僕の事を警戒しているようで落ち着かない様子だったけれど、特に暴れるとかそういうこともなく、レイシアを背に乗せてくれた。僕はそのレイシアの肩に乗っているのだけどね

 三頭の馬にどういう感じで乗ったのかは、ブレンダとレイシアちなみにレイシアが後ろ。ランドルとフェザリオ、一人でシリウスが乗るって感じ。まあ順当だろうね。

 「それじゃあ行くわよ」

 みんながちゃんと乗った事を確認して、ブレンダが馬を走らせる。

 「おー」

 ランドルは、相変わらずテンション高めで気合を入れていた。

 馬での移動は大体二時間くらいだったと思う、西へ向かってしばらく川沿いに進むと、だんだんと地面がぬかるんだ感じで周りにごつごつした岩のあるような場所に到着した。

 この岩の合間からロックリザードが襲い掛かって来たりするのが、少しだけ厄介なところだそうだ。

 注意して周りを見てみると、かすかに動いている小ぶりの岩みたいなのがたまにいる。

 周りの岩に紛れて、獲物を待ち構えているタイプだな。

 「それじゃあ、ここで馬から降りて先に進むわよ」

 馬の周りに魔物除けになる粉を撒いて、簡易的な安全地帯を作り沼地の方へと全員で移動して行く。

 「召喚、ウルフ」

 レイシアが狼を二匹呼び出して、周囲の警戒に当たらせる。ランドルが前に出て真ん中にフェザリオ、右にシリウス左がレイシア、最後尾にブレンダが続く陣形で少しずつ沼地を移動して行く。

 「右前方と、背後から来ます!」

 きょろきょろと、全方位を注意していたフェザリオが、敵を発見して声を発して来る。

 「前方、ランドルとレイシアお願い、後ろは私とシリウスで」

 「「了解!」」

 素早く役割を振ったブレンダが、後方の敵に向き直る間、シリウスが素早く移動して、ブレンダの前に躍り出る。なかなかいい動きをするな~。パーティーに入ったばかりのランドルや、フェザリオよりも使えるって評価を下す。

 「はっ、やっ」

 その後、結構なオーバーアクションでロックリザードと戦っているのは、微妙な感じだった。

 多分これは、実戦経験が少ないのだろうな。

 無駄が多いのだけど、身のこなしが素早いので怪我も無く優勢な感じで戦えている。まさに雑魚には強いって感じだね

 その後も、特に問題はなく順調に進んだ。

 それなりに動けて周りもちゃんと見て、初めてにしては連携も取れている。

 本人も自信があったようだから、確かに優秀なのだろうなって感じの評価だ。まあ僕にはそれ程関係はないだろう。


 今回気になったのは、彼らの人間関係とはまるで関係なく、敵の生態?

 そんなものを見て、ふと保護色という言葉を思い出したことだった。そこからの連想になるのだけどたまに生物界では、体表面を周りの景色に合わせて、自由に変える事のできる生き物がいるって話だ。カメレオンとかがそうだろうな。

 実際に目撃したことはなかったのだけど、テレビなどで見た気がした。それで思い付いたことっていうのが、テレビの液晶と同じく何かしらの革に、魔力などを流してステータスをその都度更新することはできないかということだった。

 それができれば使い捨てにすることなくデータを切り替えて行くことができ、冒険者カード的な物が作れるのではって思ったのだ。

 そんな事を考えていると無事に討伐数に達したのか、暗くなる前に引き上げようって話になり、僕達はそのまま馬でギルドまで行き、依頼終了させると学校へと帰って行った。

 夕食の場で今回の反省及びミーティングをして、各自解散って流れになる。


 まあ解散になったけれど、食堂でのんびりって感じだね。せっかくなのでこの機会にいろいろ聞いてみようと考えていると、逆にブレンダから話しかけて来た。

 「バグにお願いがあるのだけどいいかしら?」

 「ああ、こっちもちょっと話がある」

 「そう、私から先でいいかしら?」

 「いいよ」

 シリウスは、まだスライムが喋るのに慣れていない様子で、微妙な顔をしている。まあ、彼のことはそこまで気にしなくてもいいか。問題行動さえしなければ、特に気にしなくていいだろう。それよりブレンダはどんな用事なのだろうか?

 「じゃあ今日一日で私のステータスに変化があったのかどうか、知りたいのよ。ちょっと試しに調べてくれないかしら?」

 「そういうことか、それならこっちもデータ取りになるから喜んでやらせてもらうよ」

 早速レイシアのバックパックを漁って水晶二つと、焼き付ける為の羊皮紙を取り出すとブレンダに片方の水晶を渡した。


 職業 魔術師  LV 18  HP 120  MP 199

 力 26  耐久力 24  敏捷 21  器用度 32  知力 45  精神 47

 属性 火 水 土 光

 スキル 簡略詠唱 二重詠唱


 前回焼き付けた羊皮紙を、ちゃんと保管していたみたいで、それを引っ張り出すと両方を見比べる。

 「HPっていうのとMPっていうのが、二つずつ上がっているわね」

 「だな」

 僕も覗き込むようにしてそれを見てみた。

 微かにだけれど上昇している。焼き付ける度に、別の数値になるって誤作動でないなら、これは今回の冒険に行くことによって、ブレンダが成長したって事だと思う。

 「それで、このHPとMPっていうのは、どういう能力なのかしら」

 あー、現代日本人なら説明の必要すらないことでも、さすがに異世界では通用しないのか。まあこれって体力をヒットポイントって英語にして頭文字で表現したものだからな。さすがにそんなものがこっちで通用するはずはなかったか。

 「HPっていうのは最大体力の値だよ。敵に殴られたりとか剣で斬られたりとか、肉体ダメージなどを受けると減る数値だな。MPっていうのは精神力、能力値の方とは違ってなんていえばいいか、魔法を使ったら減っていく魔力? 後何回魔法を唱えられるかとかそういうものの数値だな」

 上手く説明できないな~

 「へ~、つまり私は敵の攻撃に少し耐えられるようになって、魔法も少しだけ数が使えるようになったって感じなのね?」

 「結論からいけばそこまで劇的ではないにしても、そういった感じだな。魔法だと例えば消費するMPが一個のやつなら、今回の上昇分で、二回余分に唱えられるようになったってことだ」

 「魔法使いにとっては、それは素晴らしい成長っていえそうね。逆に戦士なら、HPってやつがどんどん上がるといいってことね」

 「ああ、そうなるな」

 何とか理解してもらえた気がする。


 「バグ、私もやって」

 僕らのやり取りを見ていたレイシアが、ブレンダに対抗するかのようにそう言って来た。特に断ることもないのでレイシアに水晶を渡す。


 職業 召喚術師  LV 27  HP 136  MP 270

 力 18  耐久力 16  敏捷 34  器用度 48  知力 52  精神 56

 属性 火 水 光 生命

 スキル 錬金術 簡略詠唱 指揮官


 「なんか、いろいろと増えているわね」

 ひょいっと覗き込んだブレンダが、レイシアより先にそう言った。

 「だな、LVが上がってスキルが増えたのかな?」

 「ねえ、そのLVっていうのが上がると、スキルが増えるものなの?」

 ブレンダにそう言われて僕は唸る。この場合たまたまなのか、LVの変化によって習得したのかどうなのだろう?

 「データが足りないからなんとも言えないな。今回の冒険でたまたま習得していたってパターンと、LVアップ的なもので習得に至ったって可能性もある。現時点ではなんとも言えないな」

 「ふーん」

 ブレンダは微妙な反応のまま黙った。まあこっちも状況がわかっていないから、これ以上は答えようがないしね。

 「それでバグ、この指揮官ってスキルはどんなものなの?」

 僕とブレンダのやり取りに切りが付いたと判断して、レイシアが聞いて来た。自分のスキルなので知っておきたいのだろうな~

 「多分レイシアのそれは召喚した狼とかを使役するうちに、いろいろ手足のように動かしていたから付いたスキルだと思う。実際の効果はよくわからないな。召喚の強制力で今までもいろいろ指示は出していただろうから、おそらく自分の支配下の部下に何らかの加護みたいなものが付く感じじゃないか? 力が強くなるとか素早くなるとか、頭がよくなるような感じで」

 「へ~、そういうのなら、確かにいいかもしれないわね」

 よくわからないなりに、いいスキルなのだって思ったようだ。


 「それって、俺らもレイシアの指示に従ったら、その加護っていうものが貰えるのか?」

 今まで黙っていたランドルが、そう聞いて来た。

 「どうなのだろうな~。実際に目に見える形で効果が現れてくれないと、こっちも判断できないからな」

 「そうだな、じゃあ次は俺も頼む」

 「あいよー」

 お次はランドルに水晶を渡す。


 職業 重戦士  LV 13  HP 102  MP 52

 力 45  耐久力 52  敏捷 32  器用度 25  知力 18  精神 21

 属性 土

 スキル 重装行動 盾強打 挑発


 「俺もLVっていうのは上がったみたいだけど、スキルっていうのは増えなかったな。HPっていうのは、五個も上がっているみたいだけど」

 「何よ、私はLV上がっていないのよ、力とか耐久力とかも上がっているだけ、十分以上にいいじゃない。贅沢よ。何で私はLVっていうのが上がらないのよ!」

 いやそんな怨みがましい目で見られても、困るのだけれど。まあでも何か言わないといけないのかな?

 「あくまで予想なのだけれど、今回の依頼の前にLVが上がったばかりなんじゃないのか?」

 「あーなるほど、毎回上がるのではなくて、上がる時期みたいなのがあるってことね?」

 「日々の行動で経験値っていうのをコツコツ稼いで、それが一定量貯まるとLVっていうのは一個上がるものなのだよ」

 「なるほど、その経験値っていうのが今回の依頼で足りない感じだったのね」

 「まあそうなるのかな。どうすれば効率よく経験値を集められるかもわかっていないから、早々毎回何かしらが上がるわけでもないと思うぞ」

 「大体理解したわ」

 ふぅ、何とか機嫌が直ってくれたようだ。ランドルも一緒にホッとしていた。


 「次、僕いいかな?」

 「ああ、じゃあこれ」

 フェザリオにも水晶を渡して、ステータスを焼き付ける。


 職業 神官  LV 11  HP 79  MP 93

 力 35  耐久力 40  敏捷 28  器用度 21  知力 40  精神 26

 属性 光 生命

 スキル 簡略詠唱 属性攻撃(光)


 「やった!」

 ステータスを見た瞬間、フェザリオは椅子を倒して立ち上がる程興奮して叫び声をあげた。

 周りから向けられる視線に気が付いた瞬間、顔を真っ赤に染めてぺこぺこしながら、ゆっくりと席に座り直す。

 そんなフェザリオを無視してブレンダが手の中の羊皮紙を奪い取り、スキルの部分を凝視する。

 「属性攻撃って私達魔術師の光属性かしら? 確か以前依頼の時に、聖属性の神官の攻撃魔法とか使っていたみたいだけれど、あれとはまた別物なのかしら?」

 「うーん、あくまでも憶測なのだけど、攻撃手段が増えたよって意味じゃなくて、光・聖属性に関わる攻撃によるダメージが強化されたとか、そういう意味なんじゃないかな」

 悔しそうな表情で聞いて来るブレンダに、そう答えてみる。

 依頼の開始時と終わりかけでは、確かダメージみたいなものが、ほんの少しだけ違って見えていたのだ。

 慣れたとか、そういうので効率化されたのかなと思っていたのだけれど、よくよく考えてみると多分途中で威力が少し上がったって考えるのが自然な感じがした。

 逆に言えば、フェザリオは回復職よりも、メイジ職の魔法アタッカーの方が、向いている可能性がある訳だな。これは黙っておいた方がいいかもしれないな。

 「なるほど、そういう意味か」

 LVが上がらなかった事が余程悔しいのか、みんなのステータスを握り締めて、何やらぶつぶつと言っている。

 こっちの精神衛生上の為にも、ここは早々話題を変えるべきかもしれない。


 「あー、それでこっちの話なのだけれど、いいかな?」

 「ああ、そういえば何か話があると言っていたわね」

 「そのモンスターとかまあ植物でも何でもいいのだけれど、周りの環境に合わせて体の色を変える生き物って知らないか?」

 「うーん、なんかそういう生き物がいた気がするわね」

 ブレンダは、何かしら知っているみたいだけど、直ぐに名前は出て来ない様子だった。でも存在はしていそうだな。

 「あれじゃねぇ? イリュージョンドッグ」

 ランドルが横から思い付いたモンスターの名前を言う。

 「あれは違うわ、魔法を使った幻覚だから体そのものは別に普通の犬よ」

 「あー、そっかー」

 速攻でブレンダに否定された。それならばって感じでフェザリオが次のモンスターの名前を言った。

 「じゃあ、アサシンバジリスクは?」

 「そりゃあ、そいつなら確かに背景に溶け込むだろうけど、それ上級者の冒険者チームじゃないと相手できないぞ」

 慌てた様子でランドルが拒否する。

 先日ミノタウロスに、無謀に突撃をしたって言われたばかりである。

 数日後に、さらに上の敵に向かって行ったと知られたら、下手したらどこかに閉じ込められるんじゃないか?

 まあそれなら僕一人で採りに行くのもありっていえば、ありなのかもしれないな~。元々僕がやりたい事であって、みんなを巻き込むような話でもないしね。

 「そのバジリスクっていうのは、どんなやつでどこら辺にいるやつだ?」

 一応わかる範囲での情報収集も、しておいた方がいいな。初めての敵ならばどれだけ用心しても、用心のし過ぎにはならないだろう。せっかく生まれ変わったのだから直ぐに死にたくはない。

 「そうだな周りの風景に溶け込んで、獲物に気が付かれない様に近付いて石化して来る、でっかい蜥蜴って感じかな」

 ランドルが相手の特徴を教えてくれる。聞いた感じだと石化する為の範囲みたいなのは、そんなに広くないのだろう。

 「確か南にずっと行ったところにある山脈の手前で、少し東の方へ行った所に砂漠化した場所があるのだけれど、その周辺がアサシンバジリスクの縄張りじゃなかったかな?」

 ランドルに続き、フェザリオがどこら辺にいるのか教えてくれた。ふむふむ、なるほど。なんとなくこれで必要な素材は手に入れられるかもしれないな。


 「あー、バグ君? もしよければ僕のステータスって言うのも、見せてくれないかな?」

 今までみんなから少し距離を置いていたシリウスが、そう言って来た。みんなと普通に会話をするスライムに、いい加減慣れて来たってことだろうか? まあ特に断る理由とかもないしいいかな。

 「じゃあこの水晶を少し持っていてくれ」

 僕は水晶をシリウスに渡した。


 職業 軽戦士  LV 17  HP 154  MP 82

 力 62  耐久力 32  敏捷 57  器用度 36  知力 25  精神 19

 属性 光

 スキル 双剣


 それなりだと自慢するだけはありそうなLVと能力値だな。

 知力、精神が低いのはこの残念な性格を見ると、なんとなく納得してしまう。シリウスは無言でただステータスを凝視している。

 何も言わないシリウスの様子が気になったのか、ブレンダが話しかける。

 「何か気になることでもあったの?」

 少しの間をおいてやっとステータスから顔を上げたシリウスは、なんとなく僕の方を見た後やがてブレンダの問いに答えた。

 「このスキルの双剣って、両手に剣を持てって意味なのだろうか?」

 「必ずしもそれをしろという意味じゃないと思うけれどな・・・・・・」

 うっとたじろいだ感じに返事をしながら、僕に助けを求める視線を送る。

 おそらくプライドか何かがあって、スライムとあまり会話したくなかったって感じなのだろうな。まあどう思われていようが実害が出ないうちはいいか、何かあればぶっ飛ばそう。

 「これは両手にそれぞれ剣を持つことに、ある程度の素質があるって事だと思えばいい。別に気に入らなければ、無理にそのスキルを使う必要がある訳じゃないからな。ただそういう才能があるっていうだけだから、必要が無ければ無視したらいい」

 フェザリオは微妙に才能があっていいなって感じの視線を、シリウスに向けていた。

 まあ素質やら才能やらっていうものは、望んでも手に入らないものだからな~

 「はあ、なるほど・・・・・・」

 なんとなくスライムなんかに諭されたって感じの、微妙な表情をしているな。まあいいや。

 「ブレンダ、しばらくは依頼とか行かないで自主訓練とか、連携訓練とかするのか?」

 こっちはこっちでやる事もあるし、とりあえずは自分のやりたい事を優先しよう。

 「そうね、しばらく勉強とかしているわよ」

 「じゃあ、僕はちょっと素材集めに行かせてもらうよ」

 「「気を付けて」」

 ブレンダとレイシアが、心配そうな声で同時にそう言って来た。

 「無理そうなら何もしないで帰って来るよ」

 みんなにそう言うと早速窓から外に出る。レイシアが何か言いたげな雰囲気をしていたのだけれど、結局何も言わないようなので、単純に帰って来るのか心配になったのかなと判断して、そのまま目的地まで目立たないように飛んで行くことにした。


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