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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第二十一章  レビルスの成長
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新作おやつ

 新作となるおやつに関して、これは使えるのではというものは前々から揃っていた。しかし、ゲーム世界のことや息子のレビルスの面倒を見たりなど、他にやることが一杯あった為手を付けないまま今に至る。

 「じゃあちょっと新しいおやつ作りをさせてもらうから、その間レビルスの事は任せるぞ」

 「うん、こっちは任せて! 美味しいおやつ、期待してるね!」

 という訳で、久しぶりに料理に取り掛かる。お手伝いとして料理パペットと、ラグマイズが来てくれているので僕一人でやるよりはかなりいいものができるだろうと期待していた。

 「まずは皮の方から考えて行くか。中はこし餡を考えているのだが、皮によって甘さを調節していきたいからな」

 「主、材料はそろえたから後は実際に作るだけだよ」

 パペットもうんうん頷いて、何をしたらいいかって感じで待機している。そうだな~・・・・・・まずは普通の饅頭の皮に果肉を混ぜ込んで行ってみるかな。実際に蒸したら見た目が悪くなったり甘さが変わったりするかもしれないからな。まずは素材のチェックから始めるべきだろう。

 「いつも作る饅頭の皮生地に、まずはクムラルトの果肉を普通に角切りにして混ぜて蒸して行こう」

 「じゃあいっちょやってみますか~」

 パペットも気合を入れたようで、サクサク手慣れた動作で作業を進めて行く。このクムラルトと呼ばれる桃を思わせる果実は、以前幸が手に入れたと言ってレイシアに持って来たものだ。いろいろお世話になっているお礼とか何とかだったかな?

 自分で育てるには虫が付きやすくて扱いにくいものらしいのだが、僕なら隔離された空間で育てることができるし、どうやら薬としての効果などもある果物らしかったので、ありがたく使わせてもらうことにしたものだった。そのままだとかなり苦く、実を天日干しにして甘さを引き出さないと食べられたものではなかったから、最近の品種改良の技術が確立するまでの間あまり手が出せていなかったものでもある。

 実際に品種改良に成功した果実は、桃のような甘さの中にほろ苦い味が混ざっていることで、より味わいのある果物になっていたから、何かしらのデザートに使ってみたいなって思ってはいたのだ。初めは普通にケーキとか、そっちで考えていたのだけれど、お饅頭なんかにしてもいいかもしれないとレイシア達と話していて思い付いた。


 その後最初の試作で大体の素材の活かし方をみんなで検討し合い、一回目の皮を蒸しあげた。

 初めはそのままの果肉を使った饅頭みたいにしてみたけれど、やはり口触りを考えてすり潰した果肉を生地に練りこんで行く形にして、甘さなどはクムラルト本来の甘さを引き出すよう考えてみた。蒸しあがった皮は、そこそこいい出来だと思われるのだが、ラグマイズは納得いかなかったようだな。

 「あー、やっぱり少し風味が失われていますね~。せっかくのクムラルトの特徴が失われるのはもったいない気がしますよ」

 「風味か、こんなものだと思うが? 甘さはちょうどいい具合だよな」

 「そっちはこのままでもばっちりって感じですね。冷めた時にまた変わって来るかもしれませんが。蒸したてはいい感じだと思いますよ」

 「そうか、冷めたらまた少し違って来るかもしれないな。そういえば薬としての効果は加工して変になったりしていないか?」

 「あー、すみません。そっちは俺達では専門外ですよ。ベルスマイアか錬金パペットに相談した方がいいんじゃないですかね?」

 「そうだな、呼んでみよう」

 特性を引き出すというのなら、風味だけでなく薬としての効果にも注目していきたい。ベルスマイア達を呼び出しつつ、そういえばこれって何の薬になるのだろうって考えていた。


 「バグ様、こちらは石化や麻痺といった魔法ゆかりの症状に対して治療効果がみられるようですよ」

 「ほー、状態異常系の解除薬って感じか」

 「そうですね。それとある程度の耐性効果が見られる為、事前に食べておくというのも有効なようですね」

 「なかなかいい果物じゃないか。じゃあ加工後に薬の効果が消えているのかどうか、調査してくれるか?」

 「かしこまりました」

 幸はいいお土産を持って来てくれたな~

 とりあえず風味がなくなったという話なので薬の効果を高める意味も含め、少し煮詰めるなどしてすり潰したクムラルトを凝縮する作業をしてから、皮の生地へと練り込んで行った。

 しばらく試行錯誤っていう程の手間をかけた訳ではないけれど、みんなであーだこーだと意見を出し合い作り上げた皮生地に、こし餡を入れて饅頭の形へと作って行く。

 固形になってしまったから、石化に対しての治療効果は失われてしまったけれど、どうやら饅頭を食べることが出来さえすれば、状態異常系に対して治療効果は維持されたままだということがわかった。肝心の饅頭としての評価も、ラグマイズから完璧だって評価を貰える。これにて日本の食材である小豆と異世界の果物の合作おやつレシピが完成した。

 「後バグ様。どうやら濃縮された効果で魔力酔いに対しても高い効果が得られるみたいですよ」

 「うん? その魔力酔いっていうのは何だ?」

 「こちらの世界での病名はイパーシュー病というらしいのですが、高密度の魔力に晒された者が稀に船酔いになったような状態になる病気らしいです」

 そんなことをベルスマイアから報告された。魔力がある世界ならではの病気というやつだな。まあ治療効果が出たっていうのは嬉しい誤算とでもいうべきところだ。

 「それとこのイパーシュー病に対する緩和薬は存在しているのだそうですが、こちらの世界では治療方法が確立されていないようです」

 「うん? それはこの饅頭だけが特効薬になりえるということなのか?」

 「魔力に酔っている状態なので、神聖魔法による治癒では癒せない病気らしいです。それと完治するのかどうかはわかりませんが、回復方向に向かうのではと予測できます」

 日本側の少女が、魔力を得る為のクッキーを作っていたので、それを真似して薬の効果を高めてみようと料理製作中に魔力を込めてみたのだけれど、どうやらそれがいい方向に作用したのかもしれないな。薬の効果を高める為に込められた魔力自体は、饅頭として蒸している間に霧散してしまったらしく、魔力酔いの状態の者でも体調を崩さないくらいまで薄まっているのだそうだ。

 イパーシュー病とやらへの効果については、完全な完治が望めるものなのか、軽減するだけに留まるのか、経過を調べてみなければ何とも判断できないのだけれど、一応これはこれで画期的な薬が完成したと思っていいのかもしれない。でもってこれを利用できれば友好国の存在価値が上がるかもしれない・・・・・・というのも、マグレイア王国で問題が発生しているようなのだ・・・・・・

 限定的な同盟関係を結ぶにあたって、何かしらの問題が起きたとしても、フォーレグス王国が対応する必要性は何もないのだけれどね。


 マグレイア王国がフォーレグス王国と同盟を結ぶ。周辺国にその情報が伝わった時の反応はバラバラだった。離れた国の多くは中立として様子を見るといったものが多く、同盟関係を結んでいた国々は歓迎する感じで、同盟を拒否された国では人類の裏切り者とまで罵る輩までいたという。

 そこで対策の一環となればと思い、マグレイア王国にだけクムラルト饅頭を輸出する事を提案することにした。輸出の名目上はおやつとしてではなくイパーシュー病の特効薬としてであり、その効果がまだ不十分である点もしっかりと説明してある。効果を試してみるにしてもこちらの友好種達の誰もその病気にかかったことがないからだ。その為輸出の名目としても病気に対する効果を確かめる為に、マグレイア王国には協力してもらうということになっていた。

 その結果、今現在このイパーシュー病を治療できる可能性がある国はマグレイア王国だけという状況になっている。

 これを聞いたイパーシュー病患者達は、マグレイア王国まで足を運び治療を受けようという動きが、各国で起こっているらしい。ただの船酔いみたいなものと侮ってはいけないところは、船酔いや乗り物酔いの類なら、その船や乗り物に近寄らなければ問題なく生活していけるのに対し、イパーシュー病は魔力に酔うのである。

 日本でなら魔力など泉にしか存在しなかったものだが、こっちの世界にはほとんどの者が魔力を含んでいる状態だ。つまり魔法使いも結構多い。直ぐお隣で魔法でも使われたらそれで船酔いのような状態になってしまうのだった。他にも自然に魔力に溢れた土地もゴロゴロ存在しているし、魔道具だってある世界だ。

 酷い症状になると、めまいや吐き気、最後には気を失うこともあって意外と油断できない病気で、それが今まで軽い予防薬くらいしか存在していなかったというのだから、彼らの絶望感は計り知れないものだっただろう。神官にも頼れないしね。

 そりゃあ国さえ超えて、マグレイア王国までやって来るはずだよね。そして患者が集まって来やすい理由の一つとしても、フォーレグス王国は関係していた。うちの国と同盟関係にある国には飛空艇が飛んでいるのである。同盟国にさえ辿り着ければ、後は飛空艇に乗ってマグレイア王国へとのんびり旅行しているようなものだった。しかも馬車で移動するより遥かに早く、盗賊などに襲われる心配もない。

 まあ作るのにコツもいることから患者にしか配らない薬といった感じだろう。薬としてならば他国に出しても問題ないとも判断していた。これを患者以外で口にできるのは、僕の身内だけってところだ。今のところはね。


 ちなみにそのおやつのお披露目は、攻略失敗から二日後の午前中に行われた。もちろんラデラ女王を正式な公務として招待してのお茶会である。

 公式な発表としては、今回発見されたイパーシュー病の特効薬についての話し合いになっている。実際はゲーム攻略の反省会と残念会のついでに、試食会をしようって感じなのだけれどね。

 「んーー! これって本当にクムラルトって果実なの?」

 「ああ、そうだぞ」

 「クムラルトって言ったら、天日干しにしても苦くて薬でしかなかったって話なのに、とっても美味しいよ! 香りもいいね~」

 どうやらレイシアは満足してくれたようだな。満面の笑みが見られたので、作ったかいがあったよ。

 「ほー、これ程とはのう・・・・・・さすがバグ殿じゃ。それでこれは私の国にも輸出してもらえるのだろうかのう?」

 「今はまだマグレイア王国の結果待ちっていった感じだな。少々同盟関係の強化とか政治的な目的もあるから、もう少し後なら輸出してもいいって考えている。まあ、その時は薬としてだろうから、おやつとしては食べられないと思うぞ」

 「なんじゃ、残念だのう~」

 「わらわはここで作ってもらえば、食べ放題だわ!」

 「あ、ずるいのじゃ!」

 「ならばもっと頻繁に同盟強化の為の視察とか言って、こっちに来ればよいわ!」

 「それができるのなら私もそうしたいぞ・・・・・・。いや、私もそろそろ後継者に後を任せる時期が来ているのかもしれぬのう。そうすれば引退してフォーレグス王国でのんびりと隠居生活もできるというものじゃ!」

 何やらビゼル姫に自慢されて話が変な方向へと向かって行っていた。饅頭欲しさに王位を譲って隠居するって・・・・・・ドラグマイア国はそれでいいのか? もし本当にそうなったら、ラデラ女王は元王族で威張っているが、大した力のない一般市民のような存在になるってことだよな?

 微妙に厄介なだけの存在で、あまりお付き合いしたくない相手になるような気がするな。まあ他国の事だから口出しはしないでおくけれどね。フォーレグス王国はホーラックスに国王を任せている間は後継ぎとか考える必要性がないだろう。そう考えると、ますますこのまま平和でいられたらいいなって思ったよ。


 「さて、そろそろ落ち着いただろうから、今後のダンジョン攻略についての反省会でもするか?」

 「そうね。クムラルト饅頭は十分堪能させてもらったわ」

 レイシアがそう言いつつ、次の饅頭に手を出していた。確か四つ目じゃなかったか?

 「うむ、始めるとするかのう~」

 そう言ってラデラ女王も対抗するように饅頭に手を出す。

 「反省会というが、何かミスでもしたのか? わらわは特に問題ないわ」

 ビゼル姫はもう遠慮のかけらもなく両手に饅頭を取って食べていた・・・・・・

 「最後のキメラ、攻撃が通じないっていうのはもう仕方なかったとしても、少なくとも遠距離攻撃系の攻撃は用意しておくべきだったかもしれないな」

 「ふむ、確かにそれはあるな。すまん、何かいいスキルがないか少し考えてみるわ」

 「私達はどうなのかな。特にこれって思い付かないんだけれど」

 「そじゃのう~。できる事はしたつもりだからのう」

 確かにこれといったことは何もなかったから、そのままだろうけれど・・・・・・それだとキメラは倒せないのだよね。

 「そうだな~。ビゼル姫と同じで、有効なスキルがないかの確認くらいだろうか?」

 「そうね。それくらいしか思いつかないわ」

 レイシアもそう言っているけれど、実際ミスらしいミスは特に思い至らなかった。だからこそ余計に対処が難しいのだけれどね。しいて言えば、僕が最初っから全力で行けばまた、結果も違っていたかもしれないってところかな? その場合はダンジョン攻略が僕一人で終わっていた可能性も出て来るけれどね・・・・・・

 「後は何か見落としがあるのかもしれないな。あの研究をしていた男の出て来た部屋があっただろう? そこにヒントになりそうなものがあったかもしれない。大体こういう場合のパターンとしては、敵の弱点が見付かったりとかそういうお決まりがあるはずなのだ」

 正確には、男の出て来た部屋と、キメラが出て来たラボがあるはずだ。そっちに何かしら、キメラを倒す為のヒントがあった可能性もある。どっちにしろ、時間が足りないだろうから、十層に辿り着くまでの時間をもっと短縮する必要性があるだろうな。

 「十層まで辿り着くまでの時間を、もっと短縮する方法を考えてみよう。調査する為の時間を作らないと、何度も同じことを繰り返すことになるだろうからな」

 「なるほどのう。わかったぞ」

 「今できそうなのは、それくらいよね」

 「道中をもっと素早くだな。任せるがよいわ!」

 そんな感じで会議は終わり、後はただのお茶会になって行った。今回は午前中にお茶会を開いたから、冒険はお休みって感じだな。


 お茶会が終わり、レイシアはレビルスの修行でビゼル姫はスキルをチェックしに行き、ラデラ女王はドラグマイア国へと帰って行った。

 みんなそれぞれに活動しに行ったのでこちらはリアルのステータスをチェックすることにした。攻略中こっちに知らないスキルがあったみたいだし、把握しておきたいしね。おそらくはLVが上がって何かしらのスキルが増えているのだろうと思う。


 《名前 バグ  種族 魔人  年齢 1-10 職業 支配者  EXP 81%

 LV 100-173  HP 6012-7226  SP 6694-8016  ST 6745

 力 402-481  耐久力 427-503  敏捷 384-458  器用度 382-465

  知力 685-759  精神 693-766  運 73-74  素質 50-28

 属性 火 水 土 風 光-聖* 闇 生命 混沌 無 空間

 スキル LV無し 無詠唱 待機魔法 念話 影渡り 人化 レイシアとの絆 転生 生存* 自動行動*

  LV一 潜伏 召喚モンスター 追跡 強襲 鍵開け 罠解除 精霊 素材知識 対話 手加減 指揮* 分身* 鞭* 銃術* 亜空間* 挑発* 芸術*

  LV二 危険感知* 瞬殺* 調理* 刀術* 迎撃* 誘導感覚*

  LV三 吸収* サフィーリアの加護* 双剣* 守護* 衝撃波* 爆破撃* 共振* 斬撃向上*

  LV四 強打* 支配* 射撃-狙撃* 限定魔法陣-局地魔法陣* 完全耐性-状態異常半減* 鉄壁* 空間干渉* 罠察知* 呪い* 気功法* 打撃向上* SP消費減少(中)* 受け流し* 体内爆破*

  LV五 双爪撃* 調査* 連撃* 魔力向上* 存在感*

  LV六 創造* 格闘向上* 消費魔力半減-消費魔力緩和*

  LV七 完全回復-超回復*

  LV八 六重詠唱-八重詠唱*》


 かなり長い間、更新していなかったからいろいろと変わっているな。その中でも詠唱が同時に八つできるようになったのとレイシアも持っていた亜空間を手に入れたのは嬉しいかもしれない。しかし、こちらのステータスでならダンジョン攻略は容易いかもしれないな。まあ、それを言ったらビゼル姫も同じなのだろうけれどね。

 まあここで言っても仕方ないことだろうな。対策としては、もう少し攻撃手段を増やすことだろうか。どうやら自動行動とやらのスキル効果で、本体を支配しなくても勝手に動けていたようだしな。なんというか、勝手に動いていてくれるのだがちゃんと何をしているのかがわかるというのは、都合のいいスキルだと思える。今後も上手く行くかはわからないので、しばらくは様子見って感じかな?

 でもそのおかげで触手を一本増やせるし、八重詠唱になっていたからさらに二本、合計で触手を三本増やして戦えるようになったと考えれば、かなり強くなったのではないだろうか?

 ふと思ったのだが、仲間を投げられるってことは、ビゼル姫を触手で好きに動かして戦えば、いろいろと連携の幅が増えるのではないか? いや、レイシア達もこっちで操れるなら、彼女達が自発的に回避行動しなくてもよくなるのかもしれない。

 今度試してみるのもよさそうだ。戦略の幅が広がったよ。


 リアルでいろいろ悩んでいてもいいアイデアは他に思い浮かばなかったので、ゲームに入ってスキルを見てみることにした。何かしら有効なスキルがあるかもしれない。

 ある意味、あそこのダンジョン専用のスキルでもいいだろうしね。

 見て行った中で気になったのが解析のスキルだな。これはリアルの調査のスキルに近くて、敵の体力などを把握することもできるようだ。後は敵が何かしら未知の攻撃をしてきたら、そういうのも調べることができるのだそうだ。情報は何よりも大切なことである。例えばあの強靭な鱗の弱点などがわかっていたのなら、あそこまで手間がかからなかったかもしれない。

 そういう訳でとりあえず、こいつはゲットだな。

 他に使えそうなスキルはって見てみると、戦闘補助みたいなスキルを見付けた。接近というスキルで、対象となる敵の直ぐ傍に移動することができるスキルのようだ。これはスライムの僕にはかなり便利なスキルではないかな? いちいち投げてもらわないと攻撃できなかったこれまでの不便さが、これで解消されるかもしれない。よし、これもゲットだ。

 探せばなかなか使えるスキルがあるものだなって見ていたら、分身のスキルを見付けた。おお、これも使えそうかも。

 自分で操作する訳ではなく、僕の能力の八割の分身を複数作って自動で動いてもらうスキルらしい。なかなか使えそうなスキルじゃないかって思ったのだけれど・・・・・・このスキルは特殊スキルっていうクエストをクリアして手に入れるタイプのスキルらしい。

 ふむ、ならばそのクエストやら、受けてやろうじゃないか。他に欲しそうなスキルは見当たらないことだしね~


 スキルを学ぶには師匠となるNPCの下に向かう必要がある。向かった先は森の中に隠された昔の藁ぶき屋根の家屋があるところだった。師匠のNPCは忍者の姿をしていることから、ひょっとして忍者イベントか? それでこんな昔の日本家屋って訳なのだな。おそらくあの家はギミック満載の忍者屋敷なのだろうな~

 「お主、どうやってこの場所を知ったでござるか?」

 おー、ござるキャラが来たよ。

 「スキルを教えてくれる奴からここで分身のスキルを教えてもらえると聞いて来たのだが」

 「なるほど、レオン殿でござるか。よかろう、修業は厳しいでござるよ。それでも付いて来られるかな?」

 「やらせてもらおう」

 「わかったでござる。ならばさっそく修行を開始するでござるよ!」

 そういうと師匠NPCが目の前で分身して七人に増えた。ひょっとしてこれから戦闘ってことか?

 「さあ、お主に本物がわかるかな? 拙者を捕らえることができたのなら、この技を伝授するでござるよ!」

 ・・・・・・。こんな簡単なお題でいいのだろうか? そう思いつつ僕は全員に対して触手を伸ばした。ついさっき八重詠唱のスキルを手に入れていたことを確認していたので、触手は八本までなら出すことができるのだ。つまり七人に分身しているのなら、七本の触手を伸ばせば全員を一度に捕獲できる。これでどれが本物であったとしても関係なく本体を捕まえることが可能だった。理論上ではだけれど、実際に触手の一本が本体を捕獲した。

 「さすがでござるな! こうも容易く見破った者はお主が初めてでござるよ。では約束通りスキルを伝授しよう」

 えー・・・・・・。こういうのもチートっていうのだろうか? 何の苦労もしないまま、スキルを手に入れてしまったようだ。普通こういうイベント系で手に入れるスキルっていうのは、かなり苦労するイメージがあったのだがな~

 まあいいか、さっそく手に入れたスキルのLVを上げに行くかな・・・・・・覚えたてのスキルはLVが低くて効果が低いからな~


 雑魚敵を相手にスキルを使って行った結果わかったことだけれど、解析のスキルは問題なく敵の体力を見ることができた。まだLVが低いからなのか、体力しか見られなかったけれどね。そして接近のスキルは五メートルくらいしか移動できない。やっぱりLVが全然足りていないようだな。LV上げに来てよかったよ。それともう一つわかったことは、周りの木を目標として接近スキルを使うこともできるようだった。

 つまり、目標は何も敵だけじゃなくても構わないということだった。これは移動する時にかなり便利になるな~

 さて、問題の分身だけれど・・・・・・何と言えばいいのだろうか? AIが優秀ではありません!

 確かに分身が二体出て来てくれたのはいいのだけれど、僕のように触手を八本出したりはしてくれないようだった。これは、ある意味囮として使うしかないのかな? それともLVが上がるとAIももっと優秀なものになって行くのだろうか?

 とりあえずLV一では使い勝手も悪いし、いくらか経験値を稼いでみようかな・・・・・・

 翌日の十時ちょっと前まで経験稼ぎをしまくってみた。そして一度ログアウトしてから再びゲームへと入り直しみんなと合流する為に、町の中央広場へと向かう。

 その間、僕のリアルの体は普通に寝て起きてご飯を食べているようだったけれど、おかしな行動をしたりとか、変わった言動などは特に見られなかった。影武者より完璧な影武者っぷりだな~

 まあ日常生活で困ることはおそらくないけれど、後はとっさの危険などが起きた時に、ちゃんと対応できるのかどうか、知っておきたい感じではあるな。

 それはそれとして、結局今日はみんな新たなスキルを習得することになったようで、それぞれに経験集めをして過ごすことになった。スキルが低いうちにダンジョンに向かったところで、上手く行かないことは目に見えていたから尚更だな。

 そしてスキルの成長具合を見るに、何日かは経験値集めをした方がいいだろうという意見でまとまったので、しばらくはスキル上げをすることにする。

 それもこれも、ダンジョン攻略はそうそう簡単にできないだろうってわかっているからだろうな。

 実際念の為に生産ギルドのパペッツで情報を聞いてみたところ、今はやっと第三階層の地図が完成したところなのだそうだ。到達階層は五階層まで行っている冒険者がいるのだそうだが、まだ六階層まで到達できていないようなので、まだまだ時間的余裕はあるだろう。

 それを聞いてみんな焦らずじっくりと経験値稼ぎをして行くことになった。


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