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モンスターに転生するぞ[通常版]  作者: 川島 つとむ
第十九章  フォーレグス王国
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マグレイア王国との関係

 ワレスホルトの視察が終わり、他の生徒達の国にも視察に来てもらおうと連絡を付けて予定を調整していると、司書パペットから報告が来た。

 『バグ様、マグレイア王国内で、こちらに進軍するべく軍を集めているという情報が集まりました』

 むー、何か厄介な事が起きているな。今後は同盟関係を築いていって、新たな亜人種として彼らと共存して行って欲しいところなのに、戦争を起されては夢の実現が狂ってしまう。下手に対立などされては、やっぱりモンスターは危険なのだって印象を持たれそうだ。

 まだ兵士を集めている段階だという話なので、ここは予定を早めて、先にマグレイア王国からの視察を受け入れて共存への足がかりにしてみよう。

 「誰か、マグレイア王国に使者として向かってもらえないか?」

 『それならば、イオルドに行ってもらいましょう。彼ならばある程度腕も立ちますし、人間と長く付き合って来ましたので問題なく使者の役目をこなせるかと。畜産も今ならヴァンパイア達が手伝ってくれているので、仕事に支障をきたす事はないかと』

 「そうだな、ではイオルドに使者として向かってもらってくれ」

 『わかりました。準備させます』

 これで戦争を回避できるといいのだがな~ まあサリラント国王は、馬鹿じゃないのでそうそう強攻策は打って来ないだろう。話し合いで解決して行きたいものだな。


 ちょっと不安はあるものの、各国との視察を調整して日時を決めて行く。相手を刺激しないようにと、イオルドは今回転移しないでマグレイア王国へと向かったみたいなので、マグレイア王国の対応はまだわからないそうだ。早めに話を付けた方がいい気もするけれどな。まあ、どう転ぶかはわからないので、ここは信じて任せてみよう。

 待っている間、国内では個人用グライダーが完成したようで、早速試験飛行を試してみる。これも事故を未然に防ぐ為、心臓部には安全装置用の魔道具を仕込ませてもらう。後、心臓部をブラックボックスにしたので、もし他国が目を付けたとしてもコピーすることはできないと判断している。

 自分達で独自に開発されたらどうしようもないけれどね。まあ、その時はその時かな? とりあえずテスト飛行を試してみて、問題点や改善の余地などを教えて、さらに完成度を高めてもらう。それと共に、このグライダーを扱う為のライセンスを取得する免許制度を作る。

 さすがにあちこち勝手に飛び回られると、衝突して事故が起きたり着地地点でぶつかったりして危なそうだからね。自動車の免許と同じで、安全に扱う為の免許制にすることにした。後はグライダーの扱い方講座みたいなものも兼ねている。個人用なので、もしいきなり空に放り出されたとしたら、パニックになったりするかもしれないからね。しっかり操縦方法を叩き込んでもらって、安全に活用してもらいたい。

 そう考えると、教習用の二人用グライダーとかも欲しいな。そして新しい職種として、グライダーの教員と免許を発行するお役所仕事も必要になって来るかな。職種が増えて万々歳って感じだ。早速ホーラックスに連絡して町に取り入れてもらおう。


 数日して、今後の予定を考えていると、イオルドから念話での報告があった。

 『バグ様、申し訳ありませんが、これは停められそうにありませんよ』

 「は? 停められないっていうのは、どういうことだ? サリラント国王は、戦争を中止にしたいといった感じなのか?」

 『今回使者として来た時には断固進行すべしって感じでしたが、こちらの情報を一部ですがそれとなく流し情報操作して戦争は得策ではないという方向へと話を持って行ったのですが、他国から圧力がどうしても撥ね退けることができないようです。最低でも一度は開戦して停戦といった形か、最悪殲滅がよろしいかと』

 「イオルドは今、どんな状況だ?」

 『僕は今城にいて客人待遇で部屋を与えられていますよ』

 「そうか、ではもうしばらくそこで待機してくれ」

 『わかりました』

 厄介な事になったな。まずは周辺国家の情報を集めてみよう。司書パペットに指示して、多目的シートに情報を出してもらう。レイシアも覗き込んで来たので、一緒に状況を把握する事になった。

 まずはファクトプス国とフラムイスト国を潰してフォーレグス王国を立ち上げた時に、周辺の国々へと有る事無い事情報をばら撒かれた事がそもそもの発端だったらしい。それに続いて結界によりフォーレグス王国の情報がその後一切入って来なくなった事や、密偵などを送ったもののそれらも帰って来なかった事を受けて、魔王復活が信憑性を帯びたのだそうだ。

 そこに現勇者であるハウラスがフォーレグス王国に行ったっきり帰って来ないという噂まで広がったらしい。

 それを受けて人類軍を率いていたマグレイア王国のサリラント国王に、再び人類軍を率いて魔王を討伐しろという話が集中しているのだそうだ。

 今現在、マグレイア王国は勇者もいないので魔王が本当に復活しているのなら、勝ち目は無いと言って討伐軍を組織する事を拒んでいたのだけれど、そこまで否定するのは逆にマグレイア王国が既に魔王に影響を受けいるからだと言われ、周辺国からマグレイア王国共々撃ち滅ぼすべきだという話しまで出ているのだそうだ。

 これはまた好き勝手なことを言ってくれるものだな。

 しかし自国内をまとめ上げるのに時間をかけ過ぎたのだということでもある。もう少し早く眷族達に頼るべきだったのだろう。判断を誤ったというか、気付くのが遅れたというのか・・・・・・とにかく僕のミスだな。

 眷族を集め、とりあえず戦争回避の為の会議を開くことにした。


 「主が争わないよう極秘に処理していたのが裏目に出たようだ。ならば公開すればよい」

 「この国は既にどの国よりも軍事力があり、技術力も凌駕しています。今戦いを起せば逆に滅ぶかもしれないと思わせるのと、同盟を結んだ方が得だと理解させればよいのではないですか?」

 ホーラックスに続いてメリアスもそんな感じでみんなに意見を言う。確かにフォーレグス王国内には、戦えるかどうかは置いておくとして、ドラゴン種だけでも千体は集まっている。そんな国に手を出せば逆に滅ぼされると思われてもおかしくはない。

 しかしそれでは力で意見を押し潰しているだけで、共存関係ではなく抑圧してしまっているだけになる。こちらの気が付かない所でどんな歪んだ計画を立てようとするかわかったものではないだろう。国民達も、周りの目がないどこかで囲まれて襲われないとも限らない。表面上だけ友好的な振りをするなど、珍しくもないからな。

 一度でもそんな事件が起これば、後は人間の排除に乗り出すしかなくなりそうだ。

 「軍事力で押すのはなしだ。まずは交渉の席に引きずり出すことを考えよう」

 前の多国籍会議みたいに、どこかで話し合いでもできればいいのだけれどな。まあ、あの時の会議も穏やかなものではなくて、かなり強引で無茶な要求だったけれどね。

 「それならばバグ様。多少は礼儀を無視する事になりますが、周辺国へ飛空艇で移動し使者を派遣するのはいかがですか? 形だけでも対話を申し込んだという状態を周りに示しておけば、その後の戦闘行為は大義名分のない侵略行為になるかと」

 ベルスマイアの案に、なるほどと思う部分もある。どうせ戦う事になるとしたら、そういうやり方も有りといえば有りかと考えた。

 「ならついでに相手国から仕掛けて来た場合に限り、戦争後もしこちらが勝った場合は、その国の全てを貰い受けるって言っておけばいいんじゃないか? 領土も増えて反対者も潰せて、万々歳だ」

 トールティの意見はかなり乱暴だし、ほぼ脅しだな。まあその意見はある意味僕好みではあるが。脅しまでは行かないまでも、やり合うからにはそれなりの覚悟をしてもらいたいところかな。

 「ベルスマイアの意見はいい感じかもしれないな。トールティの意見は多少乱暴で、全部を受け入れる訳には行かないが、襲って来るのならそれくらい覚悟してもらいたいところだ。脅しにならない程度でそう匂わせておきたいところだな。相手が戦争を仕掛けて来た時か、宣戦布告した時点で相手にそう言ってみるのもいいかもしれん。戦後はこっちが約束通り土地をもらっても構わんだろうって、話に持っていける」

 「主よ、意見をまとめて対処するが問題ないな?」

 「あくまでも力や脅しなど、考えずに平和的に話し合いの方向で行ってくれ。最終的に戦争になりそうなら、それなりに大義名分をもってこちらが有利になるよう対応しよう」

 「了解だ」

 その後、ホーラックスでは魔王的な上から目線の対応になる為、メリアスが使者に行く者のメッセージとかを考えていた。それを持って飛空艇で周辺国家へ使者を送り、いきなり襲い掛かって来ることがないよう対応していた。

 やるだけやって、駄目ならまあ仕方ないだろうな。返り討ちにして文句を行って来るような国とか、もう出てこないといいがな~


 それからしばらく、ひっきりなしに飛空艇を飛ばしては使者を送っての話し合いがおこなわれた。その中で、こちらがこの国の在り方を見学する為の視察を受け付けているとわかったいくつかの国が、早速視察を申し出て来る。生徒達の国の視察などもあるので、今直ぐになら一国だけ受け入れができそうだったので、知っている国の視察を受け入れることにした。

 そして早速迎えにやって来たのは、ドラグマイア国だった。

 「久しぶりだな、ラデラ女王」

 「バグ殿か! 何故そなた達がフォーレグス王国などにおる。お主達は確かマグレイア王国にいたはずではなかったのか」

 「以前にも言ったと思うが、あの時は冒険者として滞在していただけだ。そして今はフォーレグス王国にいる。それより今回の視察の参加者はこんなにいるのか?」

 ラデラ女王の選んだ視察メンバーは、全部で二十八人だった。こんなに一杯、秘密が守れる者達なのだろうか? ちょっと心配だな。

 「全員、秘密が守れる者達なのか? 約束が守れない者はフォーレグス王国から出られないように結界が張ってあるぞ」

 「何? ということは、調査員が誰も帰って来られないのは、お主のせいなのか?」

 「何さらっと人の国の技術を盗もうとしているのだ。そんなやつ、帰れなくて当たり前だろう?」

 「むう。お主はそういうやつだったのう。思い出して来たわ。そしてレイシア殿はしばらく見ない間にめでたい事になっておるのう~ やはりお相手はバグ殿であろうな。おめでとうなのじゃ」

 「ありがとう、ラデラ女王」

 結構緊迫した状況の中で、やっぱりドラグマイア国はのんきというのか、自然体でいられるな。まあ、いつまで続くかわからないけれどね。

 「まあ全員信頼できる者だと思って、転移させるぞ。ビックリし過ぎないようにな」

 「それはどういう意味じゃ?」

 僕はそれに答えず転移させていた。


 「ドラグマイア国の者よ、フォーレグス王国の国王、ホーラックスだ。歓迎する」

 ある程度予測していたけれど、やはりラデラ女王達はホーラックスを見て動きを止めていた。もうこれはどうしようもないものだと考え、そのまま流れるように以前と同じ会食の席へと案内する。

 ちなみに固まる人間達を二回も見て、何故固まっているのだって感じでホーラックスは不思議そうにしていた。そういえば勇者とかはこんな反応していなかったからな~ 一般人相手だと仕方ないのかもしれないな。冒険者はまだ耐性があるだろう。

 でもって会食の席では前回と似たようなやり取りをしてから町の案内をすることになった。

 「バグ殿との付き合いは、心臓に悪いことばかりじゃ。何故あれ程恐ろしい魔王なぞ配下にできるのじゃ」

 「だが今ならレイシアの方が、ホーラックスより強いと思うぞ」

 「は? そうなのか?」

 「随分前に、ホーラックスには勝ったかな? 今はどうなんだろう?」

 「レイシア殿、魔王を倒したのか?」

 お腹が大きくなったレイシアが、魔王より強いとか言っても説得力はないだろうな~ だが事実だ。

 「冒険者なんて、最終的にはそんなもんだぞ」

 大体どのゲームでも、最後は魔王を倒すようになるのだ。冒険者って強いな~ というか怖いな~

 「あー、ところで。あの空を飛んでいるやつには乗れんのかのう?」

 「視察の最終日に、国まであれの小型のやつで送って行くぞ」

 「ほー、それは楽しみじゃ!」

 「だから今はフォーレグス王国の町とかそういうのを見てくれ」

 「大丈夫じゃ。ちゃんと見ておるわ。私の国に負けず劣らずと言いたいが、こっちの方が遥かに優れた国のようじゃな。まあ相手がバグ殿の造った国であるのならば、悔しいと感じんのが救いじゃな」

 「何だ、悔しくないのか?」

 「ああ、あれほどの文化を持っておった者が国を起こしたとなれば、この光景もある意味わかるってものだのう。ほんに、ここの料理はモンスターが作っていても私の国より美味しいっていうのが、悔しいわい」

 「やっぱり悔しいのだな」

 「悔しいんだね」

 僕らは揃って突っ込んだ。

 「そもそもの野菜が美味過ぎるじゃろ? あれはなんじゃ? コボルトが作るから美味くなるのかのう?」

 「いや、美味しくなるように研究し続けているからだろう? 僕はまだ満足できていないから、これからもっと美味くなるぞ」

 「バグ殿は努力家であり、妥協をせん男じゃな。レイシア殿はいい婿を見付けたものだのう」

 さすがにこれには答えられないな。自分ではそんなに優れてはいないって思っている。事実、日本で暮らしていた時は、第一志望の大学にすら落ちたからな。その後はネットにはまって殆ど人と接触もしないで一人で生活していたし。どちらかといえば、駄目人間だったと思う。

 「バグはどちらかといえば凝り性なんだよ。妥協しないというより、熱中して作っちゃうからこんな感じになっちゃうんだよね」

 「ほう。そうなのか」

 そこからはなんだか会話に入って行けない雰囲気になって行った。ガールズトークっていうやつは、男にはきついものだな。


 その後も町を見学したり、時計を買ったりそれなりに楽しんだ一行は、二・三日の滞在ですっかり馴染んだようだった。さすが最先端の文化を取り入れようと、いろいろと柔軟に考える国の人達だな。さすがにゴブリンなどのモンスターとお酒を飲んで、肩を抱いて騒いだりするとは思いもよらなかったよ。

 結構ゴブリンも襲って来なければお馬鹿で可愛いところがある。馬鹿程可愛いとはよく言ったものだ。それにゴブリンの方は完全に天然だからな~ 人間の真似なのか、よくわからないと首をかしげるようになったので、それがまた妙に似合っていて愛嬌がある。からかっても、馬鹿にされているとわかっていないところが、面白いところだろう。ついいじりたくなる。

 ラデラ女王は、帰りの飛空艇の中で興奮しながら今後の話をして来る。

 「バグ殿、今後ともドラグマイア国と付き合ってもらえないだろうかのう? そうじゃな。フォーレグス王国と同盟を結びたいのじゃ」

 「こちらとしては、願ってもない話だが、フォーレグス王国はモンスターの国だぞ。反感を買わないか?」

 「まあ多少は仕方ないだろうが、少しずつでも交流を持ちたいと考えているのは本当じゃ。それに以前バグ殿と取引しておった者達も、もう一度取引を再開したいと言っておるしのう」

 「それは本当か?」

 「そうじゃ。フォーレグス王国としても、輸出する物が増えれば嬉しいのであろう? お互いにとって、悪くないと思うのだがのう~」

 「まあ、確かに悪くはないが直ぐには無理だぞ。本を作る原材料を栽培していないし、本を作る工場もないからな」

 「ふむ。では後々でも構わんぞ」

 「わかった、帰ったら取り掛かろう」

 「そうだのう・・・・・・同盟の調印式は大々的にドラグマイア国でおこなうことでいいかのう?」

 「ああ、よろしく頼む」

 「今度こそ、この縁が切れぬよう気を付けるゆえ、よろしくしようぞ」

 「そうだな。お互い努力して行こう」

 こうしてドラグマイア国の視察は無事に終わった。視察参加者が二十八名もいたにもかかわらず、モンスターに反感を持ったりして帰れなくなるような者は、一人も出なかった。さすが文化の国といっていいのだろうか?

 それにまた、こうして交流が再開するとも思っていなかったな。こうなって来ると、魔道具も一部なら開放して行ってもいいかもしれないな。


 拠点に帰ると、まずは本を生産する為の草の栽培、加工する為の工場の建設とそこで働く従業員の手配などを眷族達に指示する。その指示を受けて、対応する眷族達が早速働き出してくれる。僕が動くより任せておいた方が、余程上手く動いてくれるな。

 その後もしばらくはいくつかの国の視察を受け入れ、共存している事をアピールして行ったけれど、やはりあまりいい顔をしてもらえる国は少なかった。そんな中、ドラグマイア国との同盟関係の話を聞いて、ワレスホルト国から同盟したいという申し入れがあった。先を越されたって思ったのかもしれないし、他の理由があったのかもしれないけれど、同盟国が増える事は歓迎できることだった。

 せっかくなので、今度ドラグマイア国で行う調印式で、ワレスホルト国の同盟も一緒に執り行えるようお願いしてみると、構わないって許可してもらえた。

 なかなかに話せる国だな。同盟後は、なるべく反発しない国民をこちらに見学に来させたいとの話もあるので、両国用の飛空艇を作って、定期的に飛ばそうという計画も持ち上がった。

 これも同盟関係の強化に繋がるだろう。

 さて、肝心のマグレイア王国なのだが、今回二国との同盟締結という話が持ち上がる事によって、戦争は見送るという話になったようだ。そして念の為に視察に来たいという話を持ってイオルドが帰って来た。イオルドにはご苦労様と伝えて、視察の受け入れ準備をする。それにしても、戦争回避できてホッとしたな~


 詳しい話をする為に早速サリラント国王に会って来るかな。マグレイア王国の上空へと転移すると、サリラントの位置を調査のスキルで確認して、そこに転移する。

 「お前はバグか、レイシアさんも・・・・・・少し見ない間に子を授かっていたか。おめでとう。それでバグ、突然やって来た理由はなんだ?」

 「そうだな、単刀直入に言うと、フォーレグス王国の視察について話し合いに来た」

 「何? ってことはお前達、今はフォーレグス王国にいるのか?」

 「ああ、丁度ファクトプス国と、フラムイスト国の無法振りが許せなかったからな。潰して国を創った」

 「そうか、幾度も戦争を仕掛けられてまいっていたところだった。バグよ、感謝する。それにしてもなぜ公開しないで引き篭もっていたのだ? おかげであと少し遅ければ戦争は避けられなかったぞ。それにそこには魔王がいるという情報もある。一体どうなっている?」

 「そこでこうして話し合いに来たってことだ。まず公開できないのは魔王がいるのが本当の話だからだ。昔マグレイア王国でダンジョンを創ったことは覚えているだろう?」

 「さすがにダンジョンを忘れるわけはない。まあ、お前達がいなくなった後に閉鎖されて、その重要性がいたい程わかったっていうのもあるがな」

 「そこのボスを勤めていた魔王がフォーレグス王国で国王をやっている。あの国はモンスターとの共存を目指した国だ。マグレイア王国にいたモンスターも、悪いが勝手にもらって行ったぞ」

 「そんなにモンスターを集めてどうするつもりだ? まさか魔王軍を作るって話じゃないだろうな?」

 「それならとっくに人間の国など無くなっているさ。そこで視察の話になる。今の話を聞いてわかると思うが、あまり騒ぎ立てない秘密を守れる者で視察に来てくれ。フォーレグス王国は特殊な国ではあるが、どういう国なのかを見せようと思う」

 「なるほど、わかった。バグや、レイシアさんの創った国というのなら、僕らの安全は保障されているという事なのだな?」

 「ああ、確かに安全だけなら保障するが、あの国には結界が張られている。反感を持っている者は外に出られないから馬鹿貴族なんか連れて来たら帰れなくなるぞ」

 「うっ、了解した。人選には気を付けよう。日時はどうしたらいい?」

 「そちらの都合のいい日で構わんぞ。他の視察は終わったからな。まあ、あきらかに反感を抱いていそうな国は、視察を受け入れていないがな」

 「なるほど、そういう事情なら仕方ないだろうな。しかし視察を行った国が確かにあって、同盟国も出て来たとなれば、軍を率いて進軍するのはただの大儀なき侵略者になる。現状下手に手出しはできぬだろうな」

 「ああ、視察後、周りからいろいろ言われるかもしれんが、そこはすまんっと先に謝っておく。なんなら、視察は受け入れないが、こっちから出向くのは構わんと言ってくれ。昔のような多国籍会議とかそういうのでもいいぞ。次は言いたいように言わせてもらうし、話したくないことは喋らないがな」

 「わかった、では人選でき次第日時を伝えよう。風魔法でお前に伝えればいいのだな?」

 「そうだな。魔道具はあまりばら撒かないようにと考えているので、そうだな・・・・・・同盟国にでもなれば、一部通信魔道具とか渡してもいいかな。指定した人間同士が通信できるとか、限定すれば問題は無いだろう」

 「なるほど、マグレイア王国にも同盟に参加して欲しいといったところか」

 「まあ味方は多い方が良いからな。いずれはフォーレグス王国の在り方が、全ての国の光景になってくれればと考えている」

 「いろいろ見させてもらおう」

 話はまとまったので、僕らは拠点へと帰ることにした。


 数日後に視察にやって来たサリラント国王達は、大体他の国の視察団と同じ反応で、同盟まではちょっと無理という話になった。しばらくは内々に接触を持たせてもらいたいといった感じだから、まだ他の国よりはましといった感じだろうか?

 それとせっかくハウラスがいた国との接触なので、勇者を帰すことにした。まあ、封印されたままだけれどね。変に正義感を持っちゃって、厄介なところは変わっていない。やはり僕にとっては困ったチャンのままだからそのまま寝ていて欲しい。

 その後、やはりマグレイア王国は周りの国からいろいろ言われたらしく、多国籍会議を開くという話で周辺国を納得させることになったようだ。これを乗り切ったらしばらくはのんびりできるかもしれないな~

 そんな事を考えつつ、二ヵ月後に会議を開くとか言われたので、その間国内をさらに発展させたり、次は周りの国々にも積極的に外交してみるかなって考える。まあ、視察を受け入れた国々とだけだけれどね。

 同盟国になってもらえるよう、がんばってみよう。


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