バーンドン国《オーグルの街》・1
遅くなり過ぎましたスミマセン。いちにちいちわ。もはや失踪事件です。
石壁を過ぎた後も、しばらくは荒野が続いていた。
少しずつ草の緑が目に付くようになって、もう少し進むと、整えられた道に出た。
ガタガタ揺れっぱなしだった馬車が、ちょっとマシな乗り心地になる。
そいや、レッドさんは馬車酔いは克服したのかな?
酔い止めの薬は、流石にもう切らしてると思うんだけど。
まあ多分、大丈夫なんだろう。
太陽もかなり傾いた頃、遠くにまたも大きな壁が現れた。
国境のと同じ材質の、茶灰色の石壁。
一直線には伸びてなくて、多分正方形か長方形? の形で展開している。
道に面した壁には大きな門。人が並んでいて、日暮れが近いからか出てくる人は少ない。
どうやら街に着いたみたいだ。
列の最後尾に馬車は並んだ。
列が進んで、やっと自分達の番になった。
もう水袋に放り込まれる事も無く、自分は御者席で周りを観察。
当たり前だけど、国境の兵士さんと同じ鎧姿。
……うん、騎士ではなく兵士、ってカンジだ。年齢は少年から中年まで、規律はキチンとしてる印象だけど、戦えそうな人はあまりいない。
兵役? だっけ? そーゆーので兵士になった人達なのかも。
その兵士さんが、自分を指差して何かを言った。
怪しい者じゃないですよ! ただのスライムです。
アピールのためにポヨンと跳ねる。
ティーさんがすかさず二つの封筒を差し出す。手慣れたもんだね!
商人さんも何やら説明? してるっぽい。
ギルドの押印は効果アリだったらしく、今度も無事、通行の許可が下りた。
やったね☆
夕暮れ時になった街の中は、街灯が点き始めていた。
まだ明かりの無い街灯に近付く兵士さんがいる。
様子を見てると、街灯の柱の一部に手を当て、持っていた何かを差し込んだ。
すると街灯に明かりが灯った。
おお~。あーやって点灯してるのか。あれも兵士さんの仕事なんだな。
フリジア国にも街灯があったけど、明かりを点けるのは初めて見た。
感心してる間に、馬車はその側を通り過ぎた。
街に入ってすぐの所は、お店や屋台が立ち並んでいた。そこを抜けると、似たような看板をぶら下げた建物がいくつも並ぶ。
コップの絵が入ったその看板は、大体が宿屋のものらしい。食事も出来る、って意味かな?
ウノさんが馬から降りて、宿屋の一つに入って行く。
しばらくして出て来ると、首を横に振った。満室だったらしい。
その後二軒でも断られて、四軒目でオッケーが出た。
みんなの顔に安堵が浮かぶ。
前の国では野宿が多かったから、みんな疲れてるんだよね。
考えてみたら、馬があるから数日で済んだケド、これが徒歩での旅だったら、もっと大変だった訳で。
これは馬さんに感謝だな!
ありがとう、馬さん!
草食同士、同じ荒野の草を食べた仲として、これからもよろしく!
感謝の念を飛ばしてみたら、振り返った馬さんと目が合った。ウノさんの馬だ。
すぐに目を逸らすと、その場でカカカッと足踏みをした。
つ、通じた?
側で手綱だけ持ってたウノさんが、ちょっと驚いていた。
宿泊手続きをして、食堂で夕御飯。宿屋の人は自分を見て首を傾げていた。失礼な。
サラダ食べたら悪いのか。
スライムだって食堂の席(テーブル上)に着くよ!
そして注文してくれたドスさんアリガトウ!
お礼にその定食に付いてるサラダは食べないであげよう。うむ。
オシャー(三角レタス)のシャキシャキ感を自分が楽しんでる間、みんなは食べながら話し合っていた。
大きな街とちゃんとした宿屋は久し振りだ。だからかその雰囲気は明るい。
買い込むモノもあるだろうし、もしかしたら一日位はこの街に留まるかも?
なんて予想を立ててみる。
食事が終わってそれぞれの部屋へ。
商人さん、リーダーさん、ドスさん。
ウノさん、トレスさん、ティーさん、レッドさん、自分の部屋割り。
ドスさんがリーダーさんに首根っこ捕まれていた。もしやまた飲みに行こうとしてた?
流石に今日は休んだ方がいいとスライムも思います。
……食事の時に、みんなお酒っぽいの飲んでたけどね。
多分、アルコールは低め。食前酒みたいなの?
そう言えばこっちは何歳から飲酒オッケーなの?
部屋の照明を消すと、みんなすぐに眠りに就いた。勿論、自分も。
今夜はレッドさんの枕の側。赤毛が鳥の巣みたいになってた。
グッナイ☆(テンション変)。
そして眠りの闇の中へ。
---不思議な、夢を見た。
もちろん伏線ですとも。




