表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/62

カラント平原・5

バトル回。残酷シーンあります。



皆さんコンニチハ!


手乗り改め、頭乗りスライムになった自分です。

進化の祠を飛び出してから、幾日か経ちました。


え? えーと、三日くらいまでは数えたけど飽きた。


日常に変化がなくてつまらんし。

いやー、昼夜の違いはあっても、祠ん中とそんな変わりは無いね。


苔食べてたのが草になって。

青さん達と一緒に行動して。

まあ、寂しくは、なくなった。

ボッチよさらば。


たまにバトルがあるけどね!

いやいや、自分が戦うんじゃないよ?

戦うのは青さん。今の所は狼さんとのエンカウント率百%で、他のモンスターをまだ見たことがない。

出会い頭に向こうが襲って来るんだけどね。もち即殺。青さんの棍棒がどす黒い理由がよく分かった。

あれ、潰れたトマトが染み付いてるんデスネ☆


まあ慣れた。色々。

トマトも頭の天辺も。

高い所でも落ちなきゃ平気なのだ!

……けっして、肩に乗ってたら鳥さま達が怒るから、自分の定位置が頭になったワケではない。





んで、本日もいつも通りに平原を散策。

自分は勿論、青さんの頭の上だ。


鳥さま達……そろそろ名前を考えるか? よし、右さん左さんで。リーダーがさん付けなのに、いつまでも様呼ばわりはしないよ!

……右さん左さんはお空を飛び回っている。結構フリーダム。

あー、いや、斥候みたいな事もやってんのかも。たまに青さんが空を見上げて、歩く方向変えたりしてるし。

そしたら狼さん達とエンカウントするんだよね。

偶然とは思えん。


やっぱ、青さん達は生きる為に狼さんを殺してんだろーなぁ。

これも弱肉強食。

……自分は草食だけどね!


ふと青さんが空を見上げた。

あー、獲物発見、ですか?

自分はバトル中、ただのひえ○たですから。

頭の上で大人しくシテマス。

はよ終わらしてねー。





ええええええええ。


多くね?  めっちゃ多くね?


ひー、ふー、みー、……あ、動かないで、数えらんない。

とにかくめっちゃ狼さん達が周りを取り囲んでいる。

十数頭、いや、二十以上?

や、ヤバくね?

あ、青さん!

信用してるからね!

いつものごとく、即殺、全滅で!

動物保護とか自分知らんし! 自分の安全第一だし!

任せた!





てな訳でバトル開始。





青さん、棍棒を振りかぶった!

地面に叩きつける!


ズオォォォォン。


あからさまな迄の威嚇。

大きな動作は本来隙に直結するだろうに、それ以上の殺気と威圧に、闇狼達は跳び退く。

事実その行動は正しく、棍棒を叩きつけた場所は落石でもあった様に陥没している。


棍棒、すげー丈夫だな!


闇狼の一体が、悪くなった足場をものともせず、青さんへと飛び掛かった。

うなる棍棒。一撃必殺とはまさにこの事で、空中で直撃と共に破砕音が響く。


即殺だね!


一頭目が倒されたのを合図に、狼ならではの連携プレーで、正面と背後から同時攻撃!

前が五、後ろが六。

一頭目と同じ愚行は犯さず、陥没した地面を飛び越えずに、這うように低く、素早く、一掃されないだけの距離を互いに置いて迫り来る。


あ、頭いーな!


先頭が横に跳んだ。フェイント。青さん、構えを崩さない。二頭目、回り込んで棍棒を持っていない左手側へ。背後からも合わせたようなタイミングで一頭。

青さん、動く。

狙ったのは--フェイント狼。

一歩で左腕を伸ばし、鷲掴む! 流石は巨人、リーチが長い。それは前方の攻撃を誘うような動き。左腕狙いの狼達がそちらに流れる。

更に一歩……じゃない! 蹴りだ。釣られた前方の一頭を蹴り飛ばす。多分、死んだ。棍棒で殴るよりも湿った音がした。


鷲掴んだ狼を引き寄せ、そのまま後ろへと振る。肉と肉がぶつかり合う音。

二頭の狼が一塊になって転がっていく。


ひいぃぃぃぃぃ。

こえーよー。


二歩前に出た分距離は縮まっている訳で、時間差で襲い掛かって来るはずだった残り三頭は棍棒の餌食に。一薙ぎで吹っ飛ばされる。


青さーん! うーしーろー!


背後の五頭が一斉に飛び掛かって来た!

一頭は左足に、二頭は右足に、更に二頭は振り切ったばかりの棍棒を持つ右腕に噛み付く!


ぎゃー! あ、青さん!


噛み付かれても何のその、青さん表情を変える事なくまずは右腕を一振り。

狼達を地面に叩きつける! それでも狼達は離れない。


ウォォォーーーン。


高らかな遠吠え。

見れば周りを取り囲んだ残りの闇狼の中に、一体だけ毛色の違う巨狼がいた。黒銀の狼。


い、いかにもボスっぽい!


巨狼の一吠えによって、全ての狼達が青さんに襲い掛かった! 巨狼自身も飛び掛かる!


でかい!

怖い!

ヤバい!

超ピンチ!

あ、死ぬかも。


ぶぉぅん。狼二頭をぶら下げているとは思えない速さで、青さん、棍棒を振り回す! 威力はやや落ちたのか、吹き飛ばされるも即死はしていない狼達。

腕の狼二頭もまだ食らい付いたままだ。

と、そこで青さん、左手で一頭を掴む。なんとそのまま、頭を握り潰した。ぐしゃり。

もう一頭も以下同文。


え、ナニソレ。


薙ぎ払いを華麗に避けていたボス狼が、その隙に青さんへと近寄る。

そこで上空から飛来する影。


右さんと左さんだ!


怪鳥達の妨害に、攻めあぐねるボス狼。

ヒットアンドアウェイで蹴られまくってイラついているようだ。

両足の狼達をも握り潰して始末した青さんが、ボス狼へと向き直った。

場面は一騎打ちの様相を呈しつつある。

これまでの攻撃は青さんにどれだけのダメージを与えたのか。自分が見る限りでは、青さんはなんともなさそうだ。

一方のボス狼もほぼノーダメージ。

互いにタイミングを計り、じりじりと間合いを詰める。

棍棒で吹き飛ばされ、ダメージを受けたがまだ動ける狼達の方は、右さん左さんが相手をしている。

あ、一頭がお空に吊り上げられた。……あ、落とされた。死んだっぽい。


怪鳥ならではの攻撃だな!


青さんが動いた!

先手で仕掛けるのは初めて見る。一歩踏み込んで上段からの振り下ろし!

ボス狼、するりと身をかわし懐へと潜り込む。この狼、かなりでかい。立ち上がれば青さんの肩ぐらいまでは届くのでわ? そんな巨体が間近に迫る。


ギャーーー!


パックリと開いた口腔、ズラリと並んだ禍々しい牙。狙うのは--青さんの首。

だが首筋に辿り着く前に、青さんの左腕、いや、拳がねじ込まれる。殴ると言うよりは防御の反応で、ボス狼はそのまま拳に牙を立てた。

上体を捻って、青さんは相手の勢いを後ろに逸らす。しかし拳を引きずられてたたらを踏んだ--巨人である青さんが! それだけボス狼が大きいのだ。

拳は大丈夫なのか?

まさか噛み砕かれたりしないよね!?

直後、棍棒がうなった。脳天めがけての一撃。ボス狼、拳を口から放して避ける……避けない? え?

巨狼の体が硬直したように見えた。


バッキィン。


な、何か凄い音した! 金属か!


巨人の一撃をまともに喰らってなお、ボス狼はまだ立っていた。だがフラついている。額が割れたのか、血が溢れ出す。様子がおかしい。口からも大量の血が流れている。

青さんが拳を引き出した。血塗れの手。何かを握っている。え。何。ちょっ。





ヒギャーーーーーーーーーーーーー!!





次の瞬間、勝負は決まっていた。更なる追撃。

ドグシャァ!

二度目で完全にボス狼の頭は叩き潰された。





終わってみればほぼ圧勝。平原に横たわる死屍累々。

陥没した地面、流れる血河。

おおぅ……。

子分狼達も、右さん左さんによって始末されている。


墜落死って怖いよね。


ポイッと青さんが左手に持っていたモノを投げ捨てた。

血塗れのブツだ。

うっかりマジマジ眺めてしまった!


牛タンって旨いよね(現実逃避)。


……狼タンはやめて。

あ、萌えじゃないから。むしろ引くから。ドン引くから。

バサバサっと羽音と共に右さん左さんが降り立った。


「「グギィィ!」」


俺等も活躍したぜ! とばかりに誇らしげだ。

うん、ホントに凄い。

あんなにいた狼が………………どうすんの? これ。

食べるの? 食べ切れるの?

自分は草食だから無理だよ?






---二大モンスター対決は、斯くして一つ目巨人サイクロプスの完全勝利で幕を閉じたのだった!!


以上、解説はスライム、青さんの頭の上から実況をお届けしました☆



スライムは解説に向いてない。悲鳴多過ぎ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ