ギニジ・ギリバ国《ウルギ村》・3
遅れました。一日一話はどうなった。
……ほんと申し訳ありません。
あとからもう一話、投稿予定。た、多分。
倒れた山羊さんを見て、村人のおじいちゃん達が歓声を上げた。
何かすっごい喜んでる?
もしや、前からこのモンスターに困ってた?
……ちょっと待った。
え、それ、商人さん達は話聞いてたの?
まさか黙ってここまで案内してたりしないよね?
ひんやりとした気配が、左隣から漂ってきた。
恐る恐る振り返る。
おおう。
商人さん……笑ってる。
だというのに、何だこの冷気。
こ、怖ひ。
村人のおじいちゃんズも、商人さんの様子に気が付いた。
途端に顔色が青ざめて、慌て出した。
それを見た商人さんは静かに話し始める。
「-----?」
問い詰めるような声ではなく、何かをただ確認したんだと思う。
おじいちゃんズは申し訳なさそうに、俯いた。
おじいちゃんズの不審な態度に構わず、商人さんが体の向きを変える。
さっきよりも声を張り上げて、リーダーさんに何かを言った。
「-----!」
つられて視線をそっちに向けると、リーダーさんが剣を振り上げている所だった。
剣身には風が纏わりついていた。例の魔法剣とは少し違う?
規模は小さく、コンパクトな分密度が増して見える。
リーダーさんが立っているのは、山羊さんの頭の側だ。
まさか……?
自分が見ているその前で---風刃が落とされた。
ヒィッ!!
サッと目を逸らす。何かが断ち切られる鈍い音が響いた。
あー……。
山羊さん、まだ生きてたのか……。
止めを刺してあげたんだな。
………で、死体は持って帰っちゃうと。
しかもその場で中身は処理しちゃうと。
スプラッタな光景がしばらく繰り広げられたとさ☆
中身が無くなって軽くなった山羊さんの死体は、その場にいた全員でどうにか持ち上げて、荷車に乗せた。
その分、補修用の石が乗せられなかったけど、仕方が無い。
おじいちゃんズは文句を言わなかった。
もし本当に、この山羊型モンスターがここを縄張りとしていた事を、知っていながら商人さんに教えてなかったのだとしたら。
当然、言えるはずも無い。
そりゃあ、こっちは護衛四人に冒険者二人もいて、そこらのモンスターなんて簡単撃破できちゃうけど。あ、スライムもいるよ?
事前情報ナシってのはいただけない。
無報酬でモンスター退治をさせようとした………そーゆー事でないの?
それは商人さん、怒るよ。
………村に戻ったら、村長さんと話し合いになるんじゃないかな? 多分、村長さんもグルだよね。
村までの道のりを荷車に乗りながら、今は落ち着いた表情の商人さんを自分は眺めていた。
村に着くと、商人さんはリーダーさんと短く話し合い、その後おじいちゃんズと一緒に村長さんの家に入って行った。
馬車の見張りをしてたウノさんとトレスさんは、こっちに合流。
どうするのかな? と見ていたら、リーダーさんの指示の下、レッドさんティーさんも含めたみんなで、村の防壁の補修を始めた。
うーん?
商人さん、実はそんなに怒ってないの?
騙されたようなモノなのに、普通なら、補修は放り出して村を出ちゃうよね?
……どゆこと?
しばらくして、村長さんの家から商人さんとおじいちゃんズ、そして年配のおばちゃんが出て来た。
おばちゃんは今朝の食事の時、ドッセイのスープを出してくれた人だ。村長さんの家族だと思う。
商人さん達四人は、荷車に乗せたままだった山羊さんを、荷車ごとどこかに移動させてしまった。
山羊さんは村にあげちゃうの? まさかタダで?
これじゃ大損じゃないの? 商人さん。
いくらこの村が貧しいとは言え、ボランティアにも程がある。
一体何考えてるんだろ。
さっぱり分からない。
結局、防壁の補修は昼過ぎまでかかり、自分達一行は今夜もこの村に泊まる事になった。
夕食は朝食よりもずっと豪勢になった。
当然、山羊肉の料理が出てきた。でも自分、食べれないし。
ドッセイのスープも出されたからそっちを貰った。
みんな寧ろ喜んで自分にスープをくれた。やっぱまずいの?
元々歓迎されてた商人さんへの扱いは、更に恭しいものになっていた。
村長さん、超へりくだってマス。
えっと、この村の家って、日本家屋に造りが似てるんだけど、土間みたいなのがあるワケでして。
自分達が食事中、村長さん、ずっとそこに座ってました。
正座で。
逆に引いた。
商人さん、何をオハナシしたんだ。
またお隣さんちに一時的に引っ越してもらい、昨日と同じメンバーで泊まった。
狭い家の中、日が暮れてもしばらくみんな、何か話していた。
ふと商人さんの表情を自分は思い浮かべた。
夕食の時の事だ。
……あれは、損をした顔じゃなかった。
………商人さん、もしかして、分かってて騙された?
あの岩場にモンスターがいる可能性を、予想してたとか?
だとしたら、どういう事なんだろう。
少なくとも今日の出来事で、商人さんはこの村に大きな恩を売った事になる。次もこの村に来たら、必ず歓待される。
………そーゆー事、かな。
あー、もういいや。
考えるのヤメた。
自分はスライム、商人じゃない。
取り敢えず、村人さん達が助かった、とゆー事で。うん。
一件落着。
明日も早いし、もう寝よう。
---オヤスミなさい。




