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《フィリクス商会護衛》

遅れましたすみません。一日一話が行方不明。

今回はまさかのドスさん視点。



彼がフィリクス商会の後継の護衛に就いて、六年は経つだろうか。

今の護衛隊長にスカウトされての事だ。

腕っぷしだけが取り柄の礼儀知らずな若造だったが、護衛とはただケンカに勝つのとは違って、守る技術が必要となってくる職だ。隊長によってまずは性根から叩き直され、徹底的にしごかれた。


護衛職に自信と誇りを持ち始めた今では、幼かった後継も成人となり、遠方までの仕入れ等をやっている。

今回は南のフリジア国まで足を伸ばしていた。


商会は様々な品を扱っているが、魔物素材もその一つだ。物によっては薬の材料にもなる。南にしか生息しない魔物もいて、その多くは貴重で高値が付いた。

冒険者ギルドに依頼を出したり、自分達で狩りを行ったりして十分な量を確保。魔物素材だけでなく、南部独特の品も集め、本国に帰る事となった。

そんな時に冒険者ギルドから、途中まで同行させて欲しいと若い冒険者二人を紹介された。

これはよくある話で、冒険者側は移動の足を得られ、商人側はタダで護衛が手に入る。直接冒険者の伝手が出来るのも悪くは無い。

場合によってはそのまま引き抜く事もあった。

断る理由も無く、彼等の主は快く引き受けた。


赤毛と茶髪の二人組は、商会の後継と同じ年頃だった。

冒険者としては初心者の域を脱した頃。更に多くの経験を積む事で、一気に伸びる可能性が最もある頃だ。

かつての彼自身を思い起こさせた。


出発初日、赤毛は全く使い物にならなかった。馬車酔いだ。その日は荷台に転がっているだけだった。

二日目からはマシになった。馬車の後方を護衛する彼は、荷台にいる赤毛とよく話すようになった。


何でも、依頼でティグリ森林保護公園に向かっているのだという。詳しい依頼内容こそ訊くのを憚ったが、彼等二人が連れた、小さな魔物が関わっているのだろうとは推測出来た。

あの公園では、新種の生植物や希少魔物、そしてその設立原因にもなったリザードマン達が数カ国の協力の下、保護されている。

小さな魔物---スライムは、おそらく変異種か何かなのだろう。植物しか食べない、と聞いたので、宿の食事に付いていたサラダを与えてみた所、ずっとポヨポヨと跳ねていた。味をしめたのか、その後も食事の時は彼の側に来る様になった。知能も高いのかもしれない。


五日目、彼は冒険者二人の腕前を見るチャンスを得た。

野盗化したレッドゴブリンの集団に襲われたのだ。

大陸各地にレッドゴブリン達は暮らしている。繁殖力が高く、性質は凶暴、集落からあぶれた雄は群れて盗賊になりやすい。

今までに何度も戦ってきた相手だ。対処は慣れていた。


馬車の前後を挟まれたが、こちらの護衛仲間には、弓を得意とする者もいる。

余裕でいたら、レッドゴブリンが馬車に矢を撃ち込んできた。

ああこれは後で隊長に叱られるな、と遠い目になる。さっさと蹴散らしておくのだった……と思った時。

荷台から赤毛が飛び下りた。

長剣を鞘から引き抜き、レッドゴブリンの集団に突っ込んだのだ。


「俺達に任せて下さい!」


その言葉通りに、間を置かず赤毛の相棒の茶髪が後方に駆けて来た。

良い機会だと思い、彼は二人に戦闘を任せてみた。


赤毛は思い切りの良い動きだが、剣技はまだまだ荒削りで隙も多かった。だがそこを茶髪が上手くカバーする。茶髪の得物は投げナイフで、体術も混ぜた攻撃を得意とする様だった。

レッドゴブリンは小柄な体躯を生かし、赤毛の攻撃をちょこまかと避ける。多少の切り傷で怯む事も無く、数で押して来た。

見かねて彼もフォローに入る。何体かは斬り捨てた。馬車の横に移動した同僚も、弓で前と後ろ両方を援護射撃していた。


最後のレッドゴブリンを赤毛の長剣が貫いた。引き抜くと、どっと血が噴き出す。避ける気力も無かったのか、赤毛はまともに浴びていた。息を切らしているのは、無駄な動きが多い証拠でもあった。

一方の茶髪は投げナイフによる中距離攻撃の為、ほとんど返り血を浴びていない。攻撃力は赤毛に劣るが、動きはこちらが良かった。


「お疲れ様。少し休んどけ」


二人に労いの言葉を掛け、彼自身はまだ生きているレッドゴブリンがいないかの確認作業に入った。

半亜人の奴等は人と同じく心がある。万が一生き延びた者がいれば、人を恨んで更なる悪行に走る事がある。非道だが、大陸南部においては、賊化した半亜人はその場で殲滅するのが決まりだった。


確認作業を終えて二人を振り向けば、赤毛は御者席の方に行っていた。


「アイツ、休まなくて大丈夫なのか?」


「魔物並みに回復は早いんですよね」


赤毛の相棒は毒舌だった。





旅路を順調に進む。

十日目にリド砦に着いた。ここには関所がある。

街道に長い行列が出来ていた。


かつてフリジア国が輸入品に重税を課していた時代がある。国境からの初めの関所であるここで物がせき止められ、滞った物資と人が砦周りに街を造った。

今は関所での課税は無くなったが、その名残でリドの街(砦の名前がそのまま付けられた)では国外の品が手に入れ易いらしい。

そんな話を赤毛と交わす。

御者席ではスライムをどうするか、と相談しているのが聞こえてきた。


「……一応、隠しておこうか?」


最弱とは言え、魔物であるスライムは通行を拒否されるかもしれない、と商会の後継は危惧している様だ。


「……でもどこに?」


護衛隊長が口を挟む。


「これならバレないのでは?」


馬用の水袋だった。

確かにその中に入れれば、ほぼ水分のスライムは感触的にもバレる事は無さそうだった。


「「それでいこう」」


スライムは水袋に突っ込まれて、彼等商会の一行は無事に関所を通過出来た。


その夜、宿屋で今後の予定を話し合った。

フリジア国の北隣、ギニジ・ギリバ国を最短距離で通過し、その更に上のバーンドン国の首都まで。

それが冒険者二人との同行ルートだ。

首都からは商会の一行は西に向かう。冒険者達とはそこで別れる予定だった。


明日は一日を休みとして、旅に必要な物は各々で揃える事で話は決まった。


話し合いの後。

同室の仲間と冒険者二人を飲みに誘ったが、茶髪には断られてしまった。酒が飲めないらしい。赤毛は喜んで付いてきた---もし悪酔いで醜態を晒せばコロス、と脅された上でだ。

茶髪は毒が強いが、赤毛は負けず劣らず神経が太い。面白い二人組だと思ったのは内心の話だ。


その日は楽しい酒の席になった。


一応これで一段落ついたので、また二週間お休みします。


なるべくサクサク進めたいので、次回は国境とか色々飛ばした所からの話になる予定です。多分。

一日一話を捜索してきます。

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