フリジア国《ブラン街道》・4
遅れましたすみません。
もう仕事がある日は仕方がないと思うのです。うん。
後からもう一話投稿予定です。
戦闘回です。
すぐ近くの村に一度立ち寄り、トレスさんが仕留めた猪は売り払われた。
村の人が喜んでた所を見ると、大物だったみたいだ。
てか食べるのか……。
売る前に切り落とした真っ黒な牙二本、これは荷台に乗せられた。
モンスター素材って、やっぱり需要があるの?
武器に加工したりとか。それか装飾品とか?
商人さんの扱ってる品物、もしかしてそーゆーの?
トレスさんが猪捕って来た時も平然としてたし。
よくある出来事みたいな空気が。
思ったんだけど。
………自然界にいるのって、モンスターだけなの?
馬さんは馬さんなんだよね。
村にいた鶏さんも、モンスターには見えなかった。
でもさっきの猪はモンスターだった。自分のシックスセンスがそう囁いている(キリッ)。
何故違いを感じるのかは分からない。なんとなくだ。
--自分はまだ、ただの野生動物を見た事がない。
この世界にそんなモノは存在せず、家畜以外はモンスターだけなのか。
もしくは逆に、獣が凶暴化したのがモンスターなのか。
謎だ。
その日も、夜が来る前に辿り着いた村で宿を取った。
レッドさんは馬車酔いも無く元気だ。魔女さんの薬がよく効いたらしい。
旅の間はずっと薬漬け?
この村も、防壁周りにはあの魔物避けの草(仮)が生えていた。
まあ一度は味見したし、餞別で貰った野菜が無くなったとしても、別の葉っぱに挑戦してみたいし。
だからそんなに警戒しないで下さいティーさん。
村に入る時も、翌日になって村を出る時も、スライムボディをがっちり握り締められてました。
走る馬車から飛び下りたりしないよ?
そこまで食い意地張ってナイ!
……多分。
次の日も、また次の日も。順調に旅は続いた。
モンスターとのエンカウントはほとんど無く、バトルも無し。
実に平和だ。
天候にも恵まれた。
そして五日目。
盗賊が出ました。
出たよテンプレ! そして積み荷の話はやっぱりフラグになってた!
でも自分のせいじゃナイからね!
雑木林を突っ切る街道の上、まるで立ちふさがる様に現れた集団。
林で待ち伏せしていたのか。数は十程。
小さな身体、赤い肌………レッドゴブリンの集団だ。
そして彼等が従える、四つ足の獣。
盗賊犬。
五頭の大型犬を赤ゴブ達は連れていた。
むう……犬さんは怖いな。ちょっと厄介そうだ。
でも非戦闘員の自分には関係ない!
さあ護衛の皆さん、出番ですよ!
やっておしまいなさい!
大型犬が一斉に放たれた!
リーダーさんとウノさんの馬へと襲い掛かる。
その時、ヒュウ、と横切るモノがあった。
「ギャイン!」
一頭が矢に貫かれた! トレスさんだ!
更にもう一頭にも矢が突き刺さる。
動きの鈍った二頭を、素早くウノさんが斬り捨てる。
「---!」
その時背後から怒声が聞こえた。
レッドさんの声だ。
ばすばすっと荷台に矢が刺さる。
え!
前の赤ゴブ集団に弓を持ったヤツはいない。トレスさんな筈もなし。
じゃあどこから……。
いきなりティーさんが御者席を飛び下りる。叫びながら後ろに向かった。
「----!」
「--!」
トレスさんの短い返答。馬蹄が聞こえたかと思うと、トレスさんの馬が馬車の横へ。
配置を交代した?
やっと自分も気が付いた。
後ろからも襲われている。挟み撃ちだ!
だ、だだだ大丈夫なの!? ちょっと、商人さん!!
自分と同じく御者席でバトル観戦中の商人さんを見上げる。
余裕のご表情。
だ、大丈夫そう?
少し落ち着いた。
す、凄いな。肝が太いのか、それとも護衛さん達を信頼してるのか。両方?
「ギャン!」
はっ、と前を見る。
すでに大型犬は残り一頭。ウノさんが相手取っていた。
赤ゴブ集団が散らばって馬車まで来ようとしているのを、リーダーさんが馬を使って押さえている。
そこへトレスさんの援護射撃。流れる様な三連射。
見事三体を仕留める。凄い!
リーダーさんが一旦馬を下がらせた。
チャンスとばかりに残りの赤ゴブ達が迫って来る。
「---」
剣を構え、リーダーさんが何かを言った。
馬体の足元から風が巻き起こる。
横薙ぎではなく、縦に一振り。上手く誘導され、直線に重なっていた赤ゴブ達に、突風が襲い掛かった!
魔法剣!? なの?
………剣が無くても使えそうな。
どうやらリーダーさん、まとめて倒せるチャンスを狙っていたらしい。今のは縦攻撃しか出来ないのかもしれない。
吹き飛ばされた赤ゴブ達はまだ息がある様だ。
突風だけ……カマイタチみたいなのとは違って、直接的な殺傷力は無いのだろう。
丁度その時、ウノさんが大型犬の首を薙ぎ払った所だった。
サッと視線を逸らす自分。
ブッシャーな血しぶきとか見てない見てない。
気にしない気にしない。無になれ自分。
御者席の横に影が差した。
うん?
全身血まみれなレッドさんがいた。
ギャーーー!!
頭から外套から、全部真っ赤! あ、違う。頭は元々赤毛だ。
じゃあ外套だけか。
何だビックリした。
後ろも戦闘が終わったのかな?
「---」
商人さんが声を掛けると、レッドさんは頷いた。
ティーさんは後ろを見張ってるのか、姿が見えない。大丈夫かな?
再び前を見れば、護衛さん達が赤ゴブを一体ずつ確認し、とどめを刺していた。
少しビミョーな気持ちになる。人型をしているからかも。
赤ゴブ達はあんまり好きじゃないけど、殺される場面を見るのはちょっとイヤだ。
悪さをしている以上、殺しておいた方がいいのは分かるけど………。
赤ゴブと犬さんの死体は雑木林の奥に放置された。埋めたりはしないらしい。
他のモンスター達が食べるのか。
成仏して下さい。
怨まないでね!
ティーさんも御者席に戻って来た。こっちはほとんど返り血を浴びていない。
どんな戦い方をしたんだろ。
後方観戦はまたの機会だな。バトルは無い方がいいけどね!
商人さんが再び馬車を動かす。
戦場の余韻が残る雑木林を一気に抜け出して、次の村に向かった。
ドスさんが出てこない。果たして今後活躍の場はあるのか。




