カラント平原・4
未だ食事中の青さんに近寄ってみた。
ポヨポヨと近付いたのに無反応。
うむ、眼中に無いというヤツですな!
肉塊はほぼ平らげ、今は骨をしゃぶって余韻を楽しんでる模様。
……すげーな、確か一番でっかい狼さんだったはずなんだケド。
試しに大ジャンプして、ぶっとい生足に張り付いた!
反応ナシ。
あれ、これ本当に気にしてないな……まあいいや。
そのままヨジヨジと這い登り、……でかい……まじでかい疲れる……何とか肩に到着。
え、何してるのかって?
せっかく強そうなモンスターに会ったわけですから、寄生しなくちゃネ☆
という事で、暫く自分は肩乗りスライムになるつもりです。
自力で移動するよりも、肩に乗ってたほうがラクチンだしね!
ふっふっふ、どーだ、この完璧な計画!
はーっはっはっは!
べしっ。
はぐふぉっ。
まるで虫ケラのように肩から払い落とされました。
いや、別にダメージなんて無いよ?
物理攻撃無効だしさ?
でも心が痛い……。
もっかい頑張ってよじ登ってみた。
途中で払い落とされるかと思ったけど、無事肩に到着。
さっきのは何だったんだ……。
青さんが何を考えているのかが分からない。
あ、種族ちゃうしな。
そら分かんねーわ。
よし解決☆
青さんは食事が終わっても座ったまんま。
鳥さま達が再び降りて来て、また生肉を啄み始めてもボケーッとしている。
何なんだ。
……自分、ヒマになってきたぜ。
ピョンと飛び上がって青さんのツルッパゲにへばりつく。
今度はてっぺんを目指すぜ!
青さん、やはり無反応。
心広いの?
それとも鈍いの?
わっかんね。
頭頂部に辿り着いた。
おおー、眺めがいいわー。
絶景かな絶景かな。……ん? 今座ってる状態だよね?
え、立ち上がったら、もっと高いってコト?
あれ、進化の祠の出入り口って、どんくらいの高さだったっけ?
……え?
自分、高い所がちょっぴり苦手だと只今判明しました。
いや、落っこちても平気なんだけど。
こう……落下中の心許なさ? 体がひしゃげて不安定なカンジ?
それがちょっとイヤみたいな?
……何故高みに登った自分!?
こーわーいーよー!
と、とりあえず青さんの頭にへばりつくんだ!
スライム粘液を信じろ!
落ち着け、落ち着くんだ!
ふう。
どーにか恐怖が治まったぜ……。
降りる時は慎重に、慎重に……と。
うん?
青さんが目を細めてらっさる?
気持ち良さげ?
なんか知ってる……。
あ、ひょっとしてこれ。
もしや…………ひえ○た?
スライムジェルの抜群の冷却力……!
これは運命だな!
自分、青さんのヒモになる。
青さん、自分に癒やされ(冷やされ)る。
まさに持ちつ持たれつ。
例えるならばイソギンチャクとカクレクマノミだ!
これを共存関係と言う!
やったね!
自分、胸張ってヒモを名乗れます。
青さん改めてよろしく!!
「「ギィ」」
うん?
両隣から鳴き声?
見れば青さんの左右の肩に、鳥さま方が乗っている。
え?
青さんがヨッコラセと立ち上がった。
鳥さま達を気にした様子は……無い。
あ、鳥さま達はお食事が終わったんですね、さいですか。
で、もしかして青さんはそれを待っていた、と。
取り巻きだったんかい!
自分、新参者でした。
お、お世話になります……。
見上げれば空の色は赤く、黄昏時。
青さんは住処へと向かうのだろう、ゆっくりと歩き出す。
その頭上で自分は物思う。
……降りるタイミングを逃したと。
共存というか、共生関係です。スライムが払い落とされた理由は、肩の上でプルプル震えてたから。多分くすぐったかった。