フリジア国《ジューク村》
前日までの投稿は出来ませんでした。結局いつもの時間帯。
村を入ってすぐの所に、さっき前を走ってた馬車を発見。
馬は一頭。小さな幌馬車だ。
おじさんがその側に佇んでいる。
自分達を見ると、大きな声で何事か話し掛けてきた。
「--、---!」
馬から下りたリーダーさんの背中をバシバシ叩いている。
興奮しながら、こっちの馬車の車輪を指差した。
ふむ? ……カエルさん蹴散らしてたのを見たのかな?
商人さんの馬車は、戦闘の名残で大分汚れていた。うん。詳しい描写はしないよ?
おじさんは更に何かを身振り手振りで訴えていた。
一度リーダーさんと商人さんが話し合い、それからおじさんへと振り返る。
「--」
リーダーさんの短い返答に、おじさんは人の良さそうな笑顔で頷いた。
その会話の後、おじさんが操縦する幌馬車を、商人さんの馬車が付いて行った。
モンスターを倒したお礼なのか、どこかに案内してくれるらしい。普通に考えて宿屋かな。
え、レッドさん?
どうにか復活して、今は馬車から下りてますが。
ティーさんと一緒に、馬車の横をトボトボ歩いてます。
村の中だから、馬車の速度がゆっくりで良かったね!
取り敢えず宿に着いたら、まずはその上着を洗濯する事をオススメします。
そして予想通り、宿屋に到着。
見た目は村の普通の家と同じで、ただし看板が掲げられている。
看板を掲げた建物は、そこに着くまでに四軒見掛けていた。
あれ全部宿屋?
小さな村にしては宿屋が多いような。街道沿いだから、こんなモン?
馬車は車庫に案内された。そこでは子供が一人、待ち構えていた。
「---!」
営業スマイルで出迎えたのは、十二歳位の少年。
おじさんの息子さん?
顔似てるし。って事は、この宿屋はおじさんのお店?
「----」
何か言いながらおじさんが少年の頭をぐりぐり撫でる。どちらも嬉しそうだった。
馬車はその少年に任せるらしい。
御者席から降りた商人さんは、何事か少年に言い含めていた。積み荷についてかな?
おお、チップまで!
小銭を渡すのを目撃。こっちでは当たり前なの?
見慣れないのでちょっと戸惑う。
馬は車庫の奥に繋いで、それから自分達一行は宿屋へと入って行った。
宿屋の中は、一階は食堂で二階が宿泊部屋。
ティーさんとレッドさんが一室、商人さんとリーダーさん、護衛さん三人とで分かれて全部で部屋三つ。他にお客さんはいないっぽい。
………あのおじさん、客を確保するために商人さんの馬車を待ってたのでは。
んで、モンスター退治の感謝を装って、宿に案内。……やるな。
部屋はシンプルに、寝台二つ、テーブル、椅子、あとロッカーみたいなのがあるだけ。
早速レッドさんが寝台にダイブしていた。
どんだけ馬車に弱いんだ。
大丈夫かこの先。
ティーさんは荷物を鍵付きのロッカーに突っ込み、どこかに出掛ける様だ。
置いてかれるのは嫌なので、ポヨポヨ跳ねてアピール。
村! 村も見てみたい!
観光したい!!
熱意が通じて、ティーさんの肩に乗っけて貰えた。
いざゆかん!
……できればあのモンスター避けっぽい草の所まで。
商人さん達に声を掛けてから宿屋の外へ。まだ空は明るかった。
ティーさん、どこに行くんだろ?
道行く村人を捕まえて、何かを尋ねている。
指差した方向へと歩き始めた。
建物は村の一部に密集してたらしく、歩く内に民家は疎らになった。
畑が段々増えてくる。
はっ!
あの畑に生えている葉っぱのフォルムは……赤人参のソリャでは!?
………。
なんていい村!
いい野菜が生えてる村は、いい村です。間違い無い!
スライム、捨てられても多分ここでなら生きていける。
あ、嘘ですティーさん。だから見捨てないで。
内心の声が聞こえるはずもなく、ティーさんは無反応だった。
たまにツッコミが欲しくなるのは何故だ。
……スライムは孤独です。
村の端に一軒家が建っていた。何かのお店のようだ。
大きな窓からティーさんが声を掛けた。
すぐに返事があった。
「---」
おばあちゃんの声だ。
しばらくすると、窓から老女が顔を覗かせる。
思わず二度見。しわくちゃのおばあちゃんが、真っ黒いローブを頭から被って、窓際にいた。
え、魔女ですか?
一方のティーさんは特に動じていない。
魔女ルックって珍しくはないの?
でも他の村人は普通の格好だったよ?
あ、だから村の端っこに住んでるのか。
なるほど。
魔女の家………ひょっとして、薬屋さんだったり。
「--」
「---」
魔女? さんとティーさんが話し始める。
ふと地面に目を向けた。あれは!
つい、肩から飛び降りてしまった。
「---!」
ティーさんの焦る声。
大丈夫、足元の草を確認するだけだから!
ポヨンと着地と同時に、その葉っぱに飛び付いた。
多分、村周りに生えてたのと同じだ。ミントみたいな形。
魔物避けっぽいの。
ほんとの所は分かんないけどね!
折角なので……食べちゃえ。
ぱくりと飲み込む。
「--! ---!?」
ティーさんが何かい言ってるけど、気にしない。
初めて見る草を食べるのは、草食スライムのサガです。
……うむ、柔らかな食感。野草は久しぶりに食べるな。
栄養豊富そう。
味覚は無いけど、食感はなかなか宜しい。
何故かお店から魔女さんまで出て来た。
ティーさんと二人、自分をガン見している。
え、何。
「……---?」
「……---」
ひそひそ話は止めて欲しい。
……この草、食べたら駄目なヤツなの?
別に何ともないよ?
過剰反応しすぎでない?
二人は見なかった事にした、らしい。
魔女さんはやっぱり薬屋だった。
いくつかの包みをティーさんは購入。飲み薬と塗り薬だ。茶色の硬貨を数枚渡していた。銅貨っぽい。
金貨とか銀貨とかもあるのかな?
スライムには使う機会はなさそーだ。
また肩に乗せられて、宿屋に戻った。
その日の夜。
夕食を終え、それぞれが部屋に籠もる。
食事が取れるまで回復してたレッドさんに、ティーさんが飲み薬を渡していた。
あ、もしかして。
酔い止め?
昼間のティーさんの行動に納得。
ティーさん……いい人。
凄いレッドさん睨みながら薬渡してるけど、いい人だ。
護衛がダウンしてたら駄目だよね。
わざわざ薬を買ってくる、気遣いの人だ。
レッドさんは明日から頑張れ!
--消灯。
でわお休みなさい。
魔物避けの草は毒草です。スライムは状態変化無効なので、毒が効かないという話でした。




