フリジア国《マルカの街・北門》
すみません遅れました。というか最早この時間帯が投稿時間に。
旅立ちは突然だった。
カウンターに二人の冒険者がやって来た。
自分がいるのは冒険者用のカウンターだから、まあいつもの事なんだけど。
受付のおねーさんが応対に出る。というか、おねーさんの方から二人に声を掛けた。
あれ、と少し不思議に感じた。
依頼の紙は? 手続き取れないよ?
二人組は何も持ってなくて、逆におねーさんが大きめの紙をカウンター上に広げ始めた。
え、地図?
ギルドの廊下に貼られてる様な世界地図ではなく、どこかの一部地域っぽい。
それを二人に見せながら、おねーさんが何か話していた。
うーん、どゆこと?
お薦め依頼の説明?
話はついたのか、おねーさんが渡した依頼用紙? を二人組は受け取り、帰っていった。
その次の日。
再びカウンターを二人組が訪れた。早朝の時間帯だ。
昨日とは少しばかり格好が違う。まるで旅支度の様に、大きな荷物を背負っていた。
えーと。
長期の依頼で、今から出発みたいな?
昨日の今日だけど、準備早いな。
あ、前から話は通してあって、昨日のは最終説明だったとか?
そんな事を呑気に思ってたら。
捕獲された。
え!! 何事!?
二人組---赤毛の剣士? と茶髪のシーフ(盗賊)? のシーフの方が自分をいきなり持ち上げた。
助けを求めてとっさにおねーさんを見た。
え、無反応? いいの?
自分、攫われちゃうよ?
アイドル不在になっちゃうよ?
ギルドが衰退しちゃうよ(意味不明)?
やっと気持ちが通じたのか---おねーさんが手を伸ばしてくる。
ナデナデ。
撫でられた。
それで何となく、察した。
お別れなのだと。
ギルドの外に出ると、いつもは昼前にしか来ないおじいちゃんおばあちゃん達の姿が。
みんなからナデナデされた。
……やっぱお別れなのか。
自分、どこに行くんだろう。
ちょっぴり不安を覚える。
今までお世話になってたし、信用してない訳ではない。
言葉が分からないから仕方無いケド、一切説明を聞いてない以上、旅立ちが不安なのは当たり前だ。
自分は繊細なスライムなのです。
だから丁寧なお世話宜しく。
おじいちゃんおばあちゃん達から野菜の詰まった袋を渡されて、赤毛が微妙に困った顔をしていた。
前回とは違う門に来た。
街の出入り口って一つじゃ不便だしね。
もしかしたら二カ所の他にもある?
スライムが考察するに、東西南北の四カ所とか。
すぐには街の外には出ず、二人は辺りをキョロキョロと見ている。何か探してる?
ちなみに自分は、茶髪シーフの肩に乗せられた。
これから暫くは、肩乗りスライムだ!
よろしく!
門の前には馬車がいくつも止まっていた。客待ちしている街中を移動する辻馬車だけでなく、今から外に出発する旅の馬車とかもある。
その一つに二人組は近寄った。
おお、この馬車でかいな。
大きながっしりとした造りの馬車だ。馬は三頭。周りに護衛っぽい人達が……四人。
馬車の持ち主らしき商人? に赤毛が話し掛けた。
「---?」
商人さんが頷く。それを見て、赤毛は紙切れを取り出し、相手に渡した。
チラッと見えたのは、ギルドマークの押印。猛禽と剣を組み合わせた見慣れた印章だ。……多分、猛禽は大陸の形から来てる?
長くは話し合わず、赤毛と茶髪シーフは商人さんへと軽く頭を下げて、今度は護衛さん達の元へ。
こっちでも互いに自己紹介をしていた。
どうやらこの一行で出発するみたいだ。
護衛さん達から、妙に注目された。
ただのぷりちーな肩乗りスライムですよ?
どうぞよろしく☆
護衛は全員馬に乗り、赤毛は馬車の御者席隣り、茶髪シーフと自分は荷台に乗り込んだ。
御者は商人さん本人。
馬車が動き出す。
こうして、自分は街から旅立った。
二人組で旅するよりは、行き先同じ団体に同行した方が楽なので。こんなカンジの出発になりました。
ギルドの口利きで途中までの護衛です。




