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《言語研究者》

もう夜中の三時までは前日に(省略)。

遅れましたすみません。



フリジア国における亜人の立場は複雑である。


街の出入りの際に、言語研究者たる彼はそう強く実感する。

傍らに立つのは、研究の為に雇った小柄な亜人。

グリーンゴブリンだ。

ゴブリン……小鬼種は特に難しい。魔物なのか、亜人なのか、国によっては扱いが変わってしまう。

フリジア国では、亜人に準じる扱いとなっているのだが……これは、状況に左右されるものでもあった。


例えば街の外……賊化したレッドゴブリンの場合。これらは、魔物として討伐対象となる。

しかし賊ではないレッドゴブリンであっても、殺してしまっても罪にはならない。これは亜人に準じるが亜人ではない、と言う意味なのだ。


一転して、街の中。

グリーンゴブリン、もしくは大人しいレッドゴブリン(滅多にいないのだが)が街に入るには、同伴者との従魔契約が必要となる。ゴブリン単体では街に入る事は出来ないのだ。これは魔物扱いに等しい。

しかし、そうやって街中にいるゴブリン種は、亜人として扱われる。人の法の対象内として護られるのだ。傷付けられた場合は従魔ではなく亜人として、加害者は法に罰せられる。


---かつて大陸南部では、亜人を奴隷とする国が多かった。この亜人と言うのは、獣人、リザードマン、小人族を主に指す。

妖精族、ゴブリン種、オーク(豚人)、オーガ(幼鬼)等は当時は完全に魔物と見做されていた。

奴隷制は各亜人の反乱や抵抗によって次第に廃れていったが、差別意識は根強かった。

その意識が一変されたのは、精霊女王の国家設立からだ。突如現れた、人とも亜人とも言えない自称精霊の彼女は、北の未開の地に、亜人達の国を造ったのだ。


強大な北の大国。人間の国々に対して駆け引きや取引を行い、亜人の立場を次々と改善していき、それは今日に至る。

しかしながらそれは亜人の話であって、ゴブリン種には当てはまらない。北の大国ではゴブリンも亜人扱いらしいのだが、南部の国々ではやはり半魔物として認識されている。

彼等の生態がもっと解明されれば、その立場も向上するのかもしれない………例えば言語の面等において。

研究者たる彼は、ゴブリン語の完全解読を目指している。自身の研究欲もあるが、雇って共に過ごすうちに、その穏やかな性質や人懐こい仕草に情も湧き、この研究結果を出す事で、彼等が亜人として認められる様になればよいと思い始めていた。





知人を訪問するべく、マルカの街までゴブリンと共にやって来た研究者は、彼と従魔契約を結んでから門を通った。

魔物使い(テイマー)ではない者が従魔契約を結ぶ場合、専用の魔法道具を使う。これは通行門にて貸し出されている。


用事を済まし街を出るにあたって、研究者は冒険者ギルドを訪れた。ゴブリンとの従魔契約を解消する時の、立会人を求めての事だ。これもまた、亜人に準じるという複雑な立場が関わっている。

街に入るには従魔契約を結ぶ……そして街を出たら、必ず解除しなくてはならない。亜人に準じる為、その自由意志をある程度尊重する、という名目だ。

ならば従魔契約を結ばずとも良いのでは? とも思うが、そこは亜人ではないとの認識が作用される。実に面倒だった。


門の前で、ギルド職員と待ち合わせた。現れた黒髪の受付嬢と共に門を通る。

街の外にて、研究者は従魔契約の解除を行った。


「光が呼び、影が繋ぐ、盟約の徒、我が名の元、その枷を外す」


解除承認をゴブリンに問う。


「キュピー?」


「キュー」

返事を得て、ゴブリンの首から契約の鎖を外した。これで解除完了である。

立会人の受付嬢から書類を受け取り、サインをする。魔法道具の返品と、契約解除についてのこの書類は、後に街騎士に届けられる筈だった。

契約に使った魔法道具も渡す。一度使用した道具は調整しなければ再使用出来ないらしく、それはギルドでするそうだ。一般的にテイマーの数が少ない事を考えれば頷けた。


ゴブリンに目を向けると、スライムと共に飛び跳ねていた。意味は不明である。ただ楽しそうではあった。

何故スライムがギルドにいるのかは謎である。


首を捻りながらも、研究者はゴブリンと共に帰途に着いたのだった。

亜人の説明分かりましたでしょうか。書くのが難しかったです。

大陸南部ではまだまだ亜人への差別意識は残ってたりします。だから小人さんも売られかけた。ゴブリンは半亜人もしくは半魔物の立場。

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