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《フリジア国騎士》

スライムには関係の無い説明ばかりの回です。



マルカの街で違法に魔物や希少種の取引がされている、と情報が入ったのが半年前。

最近台頭してきた商人らしいが、貴族との癒着も疑われた。

下調べに下調べを重ね、どうにか人を潜り込ませる。あとは早かった。


近々取引があると分かり、また相手を聞いて---上からの話では、横領の疑いがある貴族らしく、今回捕らえる事で芋づる式に悪事を暴くとの思惑が示唆された。

取引の相手は貴族当人ではなくその夫人なのだが、彼女もまた汚職の恩恵を受けている事は間違い無く、彼女を引っ張る事で十分な摘発理由になる。

入念な準備を経て--決戦の日を迎えた。





フリジア国騎士には、王宮騎士と街騎士とがある。王宮騎士はほとんどが貴族によって占められ、選民意識も高い。王宮と国境の警備が主であり、戦時には軍の主力となる。

一方の街騎士は、入隊試験さえ通れば誰でもなれる(流石に身元確認はある)。街や村、都市の警備と治安を主としていて、一般市民との距離も近い。各地の冒険者ギルド支部とも連携を取る機会が多かった。


今回の捕り物は街騎士の領分だった。貴族が関わるため、王宮騎士が一人派遣されてはいたが、陣頭指揮は執らずただの責任者でしかない。

派遣されて来たのが分別のある人物だったのもあり、妙な横槍も入らず、作戦は順調に進んだ。


まず騎士団を二手に分ける。一方には王宮騎士が付き、商人の屋敷へ正面から乗り込んだ。こちらは陽動であり、焦った相手が証拠を持って逃げるよう追い詰める役割だった。

もう一方、こちらが本命である。あらかじめ調べていた隠し通路---街の外に繋がっている出口で待機。出て来た所を一網打尽にする手筈だ。戦闘が予想されるため、人員は多く割いてあった。


互いに綿密に連絡を取り合い、突入の時期を窺う。---作戦が実行された。





異変に気付いたのは、正面組が突入してしばらく経った後。頃合としては、そろそろ商人が隠し通路に入っていてもおかしくない時間だ。


気配察知のスキル持ちが、通路を駆けて来る三つの存在を確認した。かなりの速さでそれは迫っていた。

--出口から跳躍する白い影。

騎士達は見た。


白銀の幻獣と、その背に跨がる幼き精霊女王を。


広く知られたお伽話の一つだった。

実在した精霊女王の、幼き日の冒険譚。幻獣に跨がり、世界中を旅して仲間を集め、北の地で亜人の国を興す。

その一場面を思い起こさずにはいられない光景だった。


勿論そんな筈はない。あれは千年近く昔の話であり、今は捕り物の最中だ。

すぐに我を取り戻し状況を解析する。

確か取引の商品に、雪白虎と小人族がいた。まず間違い無くそれであろう。だとしたら保護対象である。

隠し通路から飛び出して来た理由は---考えられるのは、突入の混乱に乗じて逃げ出したか。

敵意が無い事を示すため、騎士の一人が両手を上げて相手の前へと姿を見せた。


「私は騎士だ、敵対の意志は無い。--あなた方は商人から逃げて来たのか?」


雪白虎は成体すれば人語を話せるようにもなる、賢い幻獣の一種だ。状況も分からずに暴れ出す事はない、と踏んでの行動だ。

まだ雪白虎は話せないらしく、小人族が言葉を返してくる。


「わたし達はあいつらに捕まって、売り物にされる所でした」


詳しく話を聞くと、雪白虎がほとんど敵を無力化した後らしい。折角の好機、作戦を多少変更して、こちらからも突入する事となった。


保護のために、初めに話し掛けた騎士が残り、雪白虎と小人族を待機要員の元へ案内する。

ふとソレに気が付いた。


雪白虎の背中に、何故かスライムが張り付いていた。

どう見てもただのスライムでしかなく、騎士は困惑を覚えたのだった。





その後商人達と貴族の身柄は無事押さえられ、横領の件も片が付いた。

事件の事後処理のため人手が足りず、冒険者ギルドにも少しばかり協力を要請する。---雪白虎と小人族の帰還時の護衛。

そして何故か、あのスライムはギルドで保護される事になった。

魔物ではあるが、スライムの危険度は低い。街中で自由にはさせないとだけ約束し、街騎士はこの件を全てギルドに任せたのだった。




石がなければ見た目ただのスライム。

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