マルカの街《モンスター密売所》・4
またやってしまった……。スミマセン。
眠いです。
準備は整い、周囲は静まり返っている。
少し経って、扉が開かれる音。
「--、---?」
意外にも、女性の声が聞こえた。鼻にかかった甘えるような声。
「---」
男の声が応える。
パッとイメージしたのは、デブ貴族とその愛人。
その男女の会話に、おっさんが相づちを打つように時々混ざり、少しずつこちらへと近付いて来る。
自分のすぐ前で気配が止まった。
いよいよか。
金の力で、違法ペットを手に入れようとする不届き者……そのツラ拝んでやろうじゃないか!
ばさり、と布が取り払われた。
目の前にいたのは。
肉感的をオーバーし過ぎた年配の厚化粧女性と、その半分くらいの年齢のイケメン。
………。
マダムとツバメかよ!
ある意味予想外だよ!!
てかマダムの露出が激し過ぎる! トシ考えよう!?
思わず突っ込んでしまった。
まあどんな相手であれ、買われる気はないし。
ガラスカップに入った自分を見た瞬間、マダムは目を輝かせた。
「---!」
おやいい反応。
やっぱ自分、ぷりちーですから。犯罪してでも手に入れたくなっちゃう可愛さですから!
続いて、小人さんの檻の前へ。布が捲られた。
「--? ---!」
初めは首を傾げ、すぐに小人さんの正体に気付いて、驚いた。
檻に近付こうとしたので、おっさんがマダムを止めた。
「---」
「---」
何かをマダムに説明している。
その間、小人さんはしゃがみこんで俯き、じっと動かなかった。
……もし言葉が分かるのなら、凄く嫌な気持ちだろう。
自分の商談を聞かされるなんて。物扱いされてるも同然だ。
理不尽だよね……。
そして、最後。虎さんの大きな檻。
おっさんがマダムに何事か話し、それがまた長い。やけに引っ張る。
とうとうマダムが催促するように声を上げた。
「--!」
おっさんは頷き、檻の横に立つ呪術師へ合図を送った。
そして、一気に布が払われる。
「……」
言葉も無く、マダムは虎さんをガン見した。
イケメンツバメが何か囁くと、ハッと我を取り戻す。
え、そこまで見とれる?
「---!! ---、--」
大興奮、とばかりにまくし立てた!
おう……。
自分よりも食い付き凄い……。
モフモフの力か。
毛皮パワーか。
負けた……。
自分は敗北感を覚えた。
……てかそれ所じゃないからね?
おっさんとマダムの商談は順調に進んでいるのか、随分と会話が弾んでいる。
このまま買われてしまうのか。
いや、逃げる。
チャンスはある……。
自分はじっと、待ち続けた。
扉がノックされた。
強面が外に出る……焦ったように戻って来た。
おっさんへと耳打ちする。
息を呑むおっさん。
え、どうした。
「……---」
マダムに話し掛け、扉へと促している。
顔色が悪い。
イレギュラーでも起きた?
マダムとツバメも、慌てふためいている。部屋の空気は一変していた。
「---!」
おっさんが指示を飛ばす。
動き始める強面達。マダムとツバメは速やかに案内されて、部屋を出て行った。
取引は中止?
これはただ事じゃない。
まさか。
ガサ入れ?
もしそうなら、助かる?
しかしそうは世の中甘くない。
強面が一人、部屋の隅まで走って行く。そこで何かをやった。
ガコン、と音がする。
壁が横にスライドした!
か、隠し扉!?
完全に隠し扉が開くと、そこには通路らしきモノが。
うわ、逃走経路? 地下道かな?
大きさ的に、馬車も通れそう……いや、待機してるのかも。
まさか、商品ごと……檻も乗せて逃げるとか?
え、ちょっと。
それはいかん。
予想は正しかったのか、虎さんの檻に強面連中が取り付いた。
移動を始める。
マズイ!
どうする?
自分は考えて---行動に移った。
スライムジャーンプ!!
ガラスカップが揺れる。
一度では無理か。もっかいジャーンプ!!
ガラスカップが倒れた!
脱出成功!
さあ、どうする?
自分は周りを見た。
……あれ、あんま気にされてない?
え、何故に。
一人強面が近付いて来るのが見えた。
手間掛けさせんなよ、みたいな表情。
な、舐められてるだと!?
その時、小人さんが自分を見ているのに気付いた。手を伸ばしている?
とっさに自分は、小人さんの檻の中に飛び込んだ。
小人さん、何をする気だ?
ちょっと中途半端になってしまいました。




