マルカの街《モンスター密売所》・3
自分で書いといてアレですが、合法ロリって何なのか。
---ち、ちっちゃい!
自分は呆然と小人少女さんを見つめた。
ぱっと見は子供だけど、よく見ると違う。
小学校低学年児童くらいの身長。
でも全体的なバランスは成長しきっている印象。
面差しは、子供の柔らかさと大人の固さが同居していた。
え?
小人さんって、モンスター扱いなの?
駄目でない?
人権……いや、小人権ないの?
自分の感覚だと完璧に犯罪なんですが。
……やっぱここ、密売組織?
おっさん、闇の商売人?
小人少女さんは、アンティークドールみたいなフリフリドレスを着ていた。頭には大きなレースのリボン。
でも死んだ魚のような目をしている。
無理矢理着せられたんですね、分かります。
見た目子供でも中身大人なら、その格好は苦行だと思う。
ザ・黒歴史☆
おっさんが何やら周りに指示を出している。
強面連中が自分と小人少女さんの檻を並べるように設置。
スペース広いのに、ちょっと端に寄りすぎのような?
しかし少し離れて眺めたおっさんは、納得したのか頷いた。
「---」
おっさんが両開きの大きな扉を指差しながら、何かを言った。
強面が二人、その扉から出て行く。
ところで。
小人少女さんが自分をガン見してるのが気になる。
しゃがみこんでた小人少女さん……小人さんでいーか、は、おっさんの目が逸らされると、ジリジリと自分の方へとにじり寄って来た。
え、なんか用?
さり気なく立ち上がり、檻の端っこから、小人さんが手を伸ばした。
自分へ。
でもあとちょっと、で届かない。
………逃がしてくれようとしてんのかな?
「---!」
気付いた強面の一人が怒声を放つ。
ビクッと震え、小人さんの指先は檻の中に引っ込んだ。
両開きの扉が大きく開かれた。
そっちを見ると、新たな檻が搬入されてくる所だった。
強面が六名、檻を取り囲んでいるのとは別に、一人、怪しいフード付ローブ姿がいた。腰には鞭が装備してある。
ジャラジャラと装飾品を多く身に付けていて、魔法使いというよりは呪術師と呼ぶのがピッタリだった。超怪しい。
新たな檻は、自分達の側の、空いてたスペースまで運ばれて来た。
中にいたのは……。
雪白虎。
白い綺麗な毛並み。
うっすらと青灰色の縞模様がある。
人間並みの大きさだけど、四肢の太さを見る限り、まだまだ成長途中じゃないかと感じる。
多分まだ幼獣?
その首には、光を一切反射しない、真っ黒い鎖が巻き付いていた。
うわー。
動物保護とかワシントン条約とか違反しまくり、犯罪臭がハンパない。
この虎さん、モンスターだよね?
しかも多分、強いヤツ。もしかしたらレアモン。
人間が飼ったら絶対駄目でしょ。アカンやつだよ。
ひどく大人しいのは、あの鎖のせい?
横たわったままぴくりとも動かない。
嫌なカンジが鎖から漂ってくる。
それは、檻の横に立つ呪術師と同じものだ。絶対鎖巻いたの、コイツだろ。
虎さんが気怠げに片目を開けた。
ちら、と自分と小人さんに視線を投げる。
……ちょっとだけ安心した。
虎さんの目は、まだ生きていた。諦めていない。
逃げる---もしくは反撃のチャンスを待っている?
小人さんも、同じだ。さっき自分を見ていた時の眼差しは、何かをやろうと決意していた。
なんで自分を逃がそうとしてたのか。
スライムでしかない自分に、出来る事があるのかな?
だとしたら協力は惜しまないよ!
自分だって逃げたいし!
捕らえられた者同士、不思議な連帯感を覚えてるのは、自分の気のせい?
おっさんが部屋を出てから大分経った。
コンコン、と扉がノックされ、人が入って来る。強面の一人に耳打ちをした。
あ、コレ来たかも。
いよいよ御披露目?
部屋中の燭台のロウソクが新しい物に交換された。
バタバタとやや騒がしくなる。
虎さんの檻に大きな布が被せられる。続いて小人さんの檻にも。
あれか、客にインパクトを与えるための段取りか。
こちらです! つってから、布払って見せるのか。
自分が入ったガラスカップにも、布が被せられた。
周りの様子が見えなくなる。
落ち着け、自分。
きっと逃げれる。
……さっきジャンプした時に気付いた事がある。
ガラスカップは安定が悪い。
思いっきり揺らせば、多分、倒せる。
その後は?
どうする?
自分だけ、逃げる?
---叶うのならば、小人さんも、虎さんも。
よし。
取り敢えず、おっさん狙いだな。
鍵持ってる可能性が高いし。
自分は密かに覚悟を決めた。
もしかしたら、スライムの攻撃方法を試す事になるかもしれない、覚悟を。
スノウタイガーは幻獣のカテゴリーに入ります。モンスターとは少し違う。成長すると人語を話せたりします。




