ダンジョン《山賊の塒》・5
もはや時間は気にしない(開き直り)。
一日一話のみ守ります。
青い火の玉。
ポカンと自分はそれを見つめる。
え……魔法?
でも、誰が?
誰かいるの?
さっきまで真っ暗だったよ?
寝てたの?
疑問が頭を駆け巡る。
突然赤ゴブ達が、地面に跪いた。
え。
何故か自分まで地べたに押し付けられる。
ちょっと! 何すんのさ!
赤ゴブの手から抜け出そうとした瞬間。
火の玉が四方にはじけた!
それは自分達の頭上を飛び越え、広間の端へ向かう。
飛び散った火の粉は一瞬で初めの火の玉大になり、サークル状に壁沿いに並んだ。
広間を青い光で満たす。
おおおおおお!?
何これ!?
そして。
ひゅう、と空気を切り裂く音がして。
ひれ伏した赤ゴブ達と自分の目の前に。
---ドンッッッ!!
--重量級の人型が、降ってきた。
余程頑丈かつ重いらしく、足が地面にややめり込んでいる。
てかクレーターが。岩盤なのに!
よく見れば素足だった。筋肉質のぶっとい足を上へと辿る。
丈は短めだけど、まるで着流しのような衣。わ、和風?
腰帯は荒縄。
浅黒く分厚い胸板が覗く。
筋骨隆々とした両腕。
口元には牙。
荒々しく逆立つ髪の毛。
額に一本角。
妖鬼。
爛々と輝く両目が、自分達を睥睨していた。
---か、格好良い!!
めちゃ凄い!!!
ダンジョンボス!?
ここの親分なの!?
てかどっから降ってきたの!?
凄いな鬼さん!!
あの火の玉は何? 自分で出してるの?
いつもこんなド派手な登場してるの?
例えば冒険者とか、ここまで来たらやっぱ戦うの? あの登場の仕方してから?
……見てみたい!!
超強そう!!
まさにダンジョンボス!!
是非BGMも流して欲しい!! プロレスラーの登場みたく………ぶほっ!?
大興奮していたら、近寄って来たオーガに何故かデコピンされた!
吹っ飛ぶ自分!
なんと壁まで飛ばされた。デコピンの威力がめちゃ強い。
ポヨン。ガン!
網と棒切れも、もれなく付いてきた。
跳ね返って着地。
あにすんだ鬼さん!
自分はただのスライムランプなのに!
抗議の意を込めて、棒切れを引きずってポヨポヨ戻る。
赤ゴブがびっくりしてこっちを見ていた。オーガは呆れたように口を開いて。
「……」
何も言わずに口を閉じた。
なんでだ。言いたい事があるんなら言えやー!
赤ゴブの片方が、気を取り直したように、持ってきてた酒瓶をオーガに捧げる。
あ、貢ぎ物だったのか。
ショバ代?
オーガは片手でそれを受け取り、フン、と鼻を鳴らした。
おもむろに反対側の手を上げる。
その指先に、白い光が宿った。
おお!?
凝縮されるかのように、光は強さを増して形を作る。
細身の棒状になった所で、ふっと光が収まった。
……短刀?
オーガの手に、赤ゴブでも扱えそうなサイズの短刀が現れていた。
……どこから出てきたの?
オーガが短刀を放り投げた。赤ゴブが慌ててキャッチする。
「ギ! ギャギャッ!」
喜んでる?
短刀を両手で握り、敬うように何度もお辞儀する。
えっと?
親分から子分への報酬?
……あの短刀、まさか今作ったの?
ダンジョンボスの能力?
おお、貴重なシーンを目撃してしまったのかも。
すげー。
オーガはもう一度フン、と鼻を鳴らして踵を返す。
とっとと失せろ、みたいに手を振った。
どうするんだろ、と見ていたら。
壁に向かって駆け出した。
勢いをつけてジャンプ!
壁の窪みに上手く足をかけ、さらにジャンプ! ジャンプ!
ええええええ。
ほぼ垂直の壁を駆け登ってしまった。
マジか。
……鬼さん、ここの上に住んでんの?
オーガが広間を去ると、火の玉のサークルまで消え失せた。
また辺りが暗くなる。
光源は自分だけになってしまった。
赤ゴブが棒切れを握り直す。持ち上げた事で、自分は宙吊りに戻った。
やー、面白かった。
なんか凄いの見ちゃったなー。
鬼さんマジヤバイ。
かっけー。
「ギャッギャッ」
「ギャッ!」
赤ゴブ達も嬉しそうだ。
よし。もう用事は済んだ事だし。
あとは自分が解放されれば………。
………あ。
ああーーーーーー!!
アホかーーー!!
自分ーーーー!!!
逃げるチャンス、見逃したーーーーーーーーーー!!!!
orzポーズをとろうにも出来ない、スライムな自分だった。
オーガもスライムの声が聞こえてます。イラッときたのでデコピンして、頑丈さに呆れる。
武器創造はダンジョンボスのスキル。




