ダンジョン《山賊の塒》・2
ゴブリンの漢字表記が小鬼と子鬼の二通りになってたので、小鬼に統一しました。
--同族との初エンカウント。
自分、スライム。
あっちも、スライム。
は、はじめまして?
あいさつ……挨拶は、スライム語?
何か!
電波とか超音波とか、スライム同士の意思疎通方法は!
あるの!?
ないの!?
え、どーすんの。
動揺する自分。
はっ、もしや、まさかのボディランゲージ!?
こう……プルプル震えるとか、ポヨポヨ跳ねるとかで?
試してみた。
プルプル。プルプル。
「……」
ポヨポヨ。ポヨポヨ。
「……」
反応ねえし!!
てか誰も見やしねーよ!!
いや、どこ見てんのかとか分かんないけど!
スライムって目が無いからね!
……自分もか!
驚愕。
………そっかー、スライムだもんなー。
………。
え、目が無いのにどーやってモノ見てんの、自分。
……………アイデンティティが崩壊しそうです。
これ、深く考えたらアカンやつだ。
ちょっと落ち着こうか。
自分、スライム。
目が無くてもよく見える。無問題。
これでよし。
ふう。
………分からない事は考えちゃダメなんだぜ☆
気を取り直して。
初めて出会った同族のスライム達。
上のトイレ穴から落ちてきたモノは、あらかた食べ終わったのか、もう散開しつつある。
落ちてきたのが何なのか、とか考えない気にしない。
気にするべきは、突然現れたこの微かな光の方だ。
スライム達がどいた場所に、青白い光を放つ、石の欠片を発見した。豚さんの落とし物の中に混じってた?
んで、これは無機物だからスライムが食べ残した、と。
自分はその欠片に近寄った。
かなり小さな欠片だ。でも、この真っ暗闇では貴重な明かりになる。
スライム達は全く興味がないようだ。明かりを必要としてない?
……自分が近寄っても反応すらないし。
襲ってこないのは有り難いけど……何だこの虚しさ。
アウェイだからか。
外のスライムだからか。
コミュニケーションが成り立たないのは何故だ。
そんな事を考えてる間に、スライム集団は闇へと消えていった。
……スライムが明かりを要らないのって。元々、見えてないから……?
まさかね。
だって、自分はこんなにもよく見えてるんだし。
石の欠片へと向き直る。
ふむ。どーやって持ち歩こうか。
今までやった事ないけど、体の中に取り込めるかな?
食べるんじゃなくて……包み込むカンジで…………。
そろりと石に触れてみる。
あれ?
一度、石から離れた。
え、何だ?
もっかい触れてみる。
……やっぱり。
何故か自分が触ると、石の光が強くなった。
よく分からんけど………ラッキー?
明かりが強くなるのは助かる。
体に取り込んだら、ずっとこの光量のままかな?
試しにまず、石をそのまま飲み込んだ。
あ、いけるいける。
光る石はすんなりとスライムボディに収まった。
ポヨポヨと跳ねる。
外に飛び出す事も無さそう。いいんでない? これ。
すらいむは あかりを てにいれた!
よっしゃー!
これで洞窟内を移動出来る!
もうこんな所、さっさと脱出してやる! そんで青さんのトコに戻るんだ!
んじゃ行くぜ!
ポヨンポヨンと自分は歩き出したのだった。
数分後。
たーすーけーてー!!
全力でポヨポヨダッシュする自分がいた。
ちらりと後ろを見る。
やべっ、追いつかれてる!
そこには、自分と同じように光る石を持った、複数の小柄な影が。
猛ダッシュで追い掛けて来ていた。
赤小鬼。
可愛くない、全っ然、可愛くない!!
つぶらな目じゃないし、髪の毛ゴワゴワだし、腰巻きじゃなくて武装してるし、武器持ってるし、矢まで放ってきたし、たくさんいるし、何か赤いし!!
ゴブさん(緑小鬼)と全然違う!!
何だよここ!
何であんなのいるの!?
てか何で追っかけられてんだーーーーーーーー!?
光ってるからです。
補足説明。
オークのトイレ穴から落ちてきたのは残飯とかです。腐ったのとかオークでも食べないのとか。だから光る石(月白石)は汚くない。いや、やっぱり汚いな。




