ルー高原・4
シリアス回です。
只今青さん達が食事中につき、自分は地面に降りている。
九尾狐が擬態していた岩の周りは、草の丈がやや長かった。
降りた事で、分かった。
青さんは、初めからここに来る予定だったんだと。……多分。
ゴブリン村で見た、ナイフを思い出す。
とっても鋭い鋼のナイフ。解体に使われてたっけか。
……ゴブリンさん達は「火」を持っていた。
でも、村の中には、鍛冶場が無かった。
それなのに、鋼のナイフは持っていた。
ちぐはぐなのだ。
村のレベルと道具が釣り合ってない。
それは何故?
多分……。
丈の長い草に隠された、鉄の欠片が、その答えだと思う。
青さんが岩の側に腰を下ろし、自分はその膝に飛び乗った。
右さん左さんは岩の上。
九尾狐のテリトリーだったのかな?
他のモンスターが現れる事はなかった。
日が傾き、影が長くなり。
高原の草色が赤く染まって。
遮るもののない夕暮れを眺め。
--日が落ちた。
そして月が昇る。
めっちゃ明るい。
満月の双子が並んで夜空に現れた!
今夜は灯りの節約になるね! 自分ら灯り持ってないけど。
お団子が食べたい。
多分今の自分でもいけるはず! 材料もち米だからね!
そんでのんびりお月見をするのだ。是非ともそうしたい。
……そうしたかったよ?
白く照らされた高原の草の上を、彼等はゆっくりと歩いて来た。
一人は重鎧姿、巨大な盾を担いでいる。
一人は真っ黒いローブ姿。魔神様を思い出した。……イケメンオーラは見えないな。
あとの三人は軽鎧。身軽そうだ。
全部で五人。
--全員、人間だ。
初対面。
コンバンハ! 人間さん!
……そう気軽に声を掛けれる雰囲気ではない。
ピリピリと空気が震えている。間違いなく、闘気というヤツだ。
それは五人の人間と---青さんから感じた。
高原に落ちていた鉄の欠片。
それは武器の破片だった。
鏃みたいなのや、剣が折れたもの。……つまり、ここは戦場だったのだ。
この世界に、人間はいた。
例えばゴブリンさんとは、仲がいいのかもしれない。ナイフ持ってたのは物々交換だったとか。布も、人間から貰ったんじゃないかな。ゴブさん可愛いし。
でも、今自分達の前にいる人間は---敵だ。
ヒョイと摘まれた。
え、ちょっと!?
乗せられたのは、いつもの定位置じゃなかった。
なんと、怪鳥の背中。
青さん!?
嫌がる素振りも見せずに、右さん左さんはバサリと翼を広げ、岩から飛び立った。
祝、初飛行!
空を飛んだスライム!
……じゃねーよ!
青さん! どーゆーこと!?
みるみる遠ざかる青さんの姿。
棍棒を握って、ゆっくりと立ち上がる。
迎えるは、五人の戦士。
きっと戦うのだろう。
理由は分からない。
彼等は冒険者なのだろうか。それともハンター?
青さんはゲームでいう所のフィールドボス扱いで、腕試しに来たのか。討伐依頼が出てるとか?
この世界を自分は何も知らない。
どうすればいいのか、分からない。
青さんと人間が、戦う。
自分はそれを見ている事しか出来ない。
先頭の男……重鎧が、言葉を発した。
「-----!」
あ、言葉分かんないや。
何でやねん!
異世界補正! 仕事しろ!!
責任者出てこーーーい!
あれ? 責任者ってひょっとして魔神様?
ちょっと魔神様!
言葉、分かんないんですけど!
念じてみるも、変化はない。ちっ、ケチめ。
あ、何でもナイです。
青さんは人間の言葉は分かるのかな?
重鎧が朗々と語り上げるのを、静かに聞いている。
戦闘開始の前口上、なのだろうか。
語るにつけ、戦気が高まっていく両者。
空気がピリピリする。
痛い。
怖い。
青さん、何で自分を頭に乗せなかったの?
闇狼との戦闘では、一緒にいたのに。
危険だから?
今回の戦いは、青さんでも危険を感じる程なの?
不安を覚える。
「……---」
重鎧の言葉が終わった。
盾を前面に構えて剣を抜いた。月光をキラリと弾く。
他の仲間が配置に着いた。それぞれが武器を構える。
青さんが、大きく息を吸い込んだ。
吠える。
「WOOOOOOHHH!!!」
それが戦いの始まりだった。
そろそろ大詰め。頑張ります。




