ルー高原・1
半月が昇っている。
一つは真上、もう一つは東の空。
そう、こちらの世界は、月が二つあるのだ。
月光に照らされるスライムって、幻想的じゃないですか?
え、気のせい?
ちなみに、自分のすぐ前には月光に照らされた青さんがいる。
太陽の下では青黒い肌も、今は白っぽく見える。
暗闇にぼうっと浮かび上がる謎の巨人。
軽くホラーだ!
自分達がいるのは、青さんが寝床にしている岩穴……の外だ。
青さんは今、何故か真上のお月様を見つめている。
最近、寝る前に夜空を眺めるようになったのだ。
……実は月が故郷ですか?
こんなかぐや姫怖い。
それとも満月の夜は大猿に……このネタ止めよう、二度も謝りたくない(作者が)。
満月といえば。
二つの月の距離が段々近付くにつれ、ちょっとずつ、丸くなってきたような。
今までは、片っぽだけ満月ってのしか見た覚えがない。
今度のは二つとも満月になるのかな?
青さんも、それを待ってたり?
やっとお月見を止めて、岩穴に入って行く青さんを追いかける。
基本的に寝るだけの場所なので、ほとんど汚れてない。てか生活感ゼロの住処だ。
右さん左さんは、先に小枝で出来た巣の中でお休みしている。岩穴の天井近くに棚があって、そこに二羽の寝床が……あれ、まさか夫婦だったりしないよね? 鳥の性別なんて分かんないよ!?
き、気にしない、気にしない。
青さんは敷かれた毛皮に腰を下ろす。
この毛皮って、多分闇狼の、だよね。きちんと処理されてて、ゴワゴワしてないどころかフカフカしてる。
ゴブリン村にあった毛皮と同じ………まあ、あっちで貰ったヤツなんだろーなあ。
青さんが毛皮の処理する姿とか、想像できない。
いつも毛皮ごと生肉食べてるし。豪快なんです。
青さんが横になったので、自分はポヨンと頭の側に。
意外に青さん、寝相が良かったり。
寝てる間に圧迫死、とか怖いよね!
でわお休みなさい。
翌朝。
目覚めてしばらくボケーッとしていた青さんは、寝床を出ると、いつもとは違う行動をとった。
岩山を目指したのだ。
え? 平原には行かないの?
寝床にしている岩穴は、それこそ岩だらけの崖の下にある。
緩やかな傾斜になってる所から崖上まで行き、そこの岩山を、ロッククライミングよろしく登り始めたのだ。
右さん左さんも、空を飛んで追って来ている。
青さんの頭にへばりついてる自分が言うコトじゃないけど。
楽そうだな!
あっという間に岩山を登攀した青さん。
めちゃ速い。
そこから更に、別の山に向かう。
……今日は山登りの気分なの?
巨人の一歩はかなりでかい。山であっても青さんには丘の上で散歩、くらいなのか。
辺りの景色はすっかり変わり、随分と高い所まで来てしまった。
眼下には大きな渓谷が広がっていた。流れる川を辿れば、上流には深い森。
あれって、ゴブさん達の村がある森?
下流の方は……山に潜ってってる? よく見えない。地下があるのかな?
青さんが空を見る。
この反応……知ってるよ!
獲物発見だね!
右さん左さんが旋回してる方角へ、青さんは歩く。
辺りは原っぱ……山の上だからか、いつもの平原とは草の種類が違う。
丈が短く、ちょっと芝生っぽい。
あ、お花。
後で食べてみよ。
灌木の茂みに、ウサギさんがいました。
何か角生えてたけど。
尻尾が毒針になってたケド。
一角兎。
え、倒し方?
灌木ごと鷲掴んでボキッですが。
何が折れた音だったのかな☆
青さん、角と毒針をポイ捨てすると、ウサギさんを一気食いした。
そりゃね?
狼さんとはサイズ違うよ? ちっちゃいけども。
一口って。
バキボキ音が青さんの口の中から聞こえる……。
骨ごとって。
一方の右さん左さんは、自ら食料を調達していた。
……狐さん?
あれ、青さんに教えた獲物よりでかくね?
双尾狐。
ちなみに死因は墜落死。
右さん左さんが美味しく頂きました。
怪鳥怖ぇ!
今日はこのまま野宿する模様。
雨は降りそうにない。よく晴れてる。
青さんはまた夜空を見上げていた。
………何があるの?




