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深淵の教科書  作者: SKD
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根雪

応接室の中は壁は黄色く染まり、中にいる住人達の口からあふれる煙で…

なんてことはなく、清潔に整えられ、仄かにハーブが焚かれている。

場末の酒場のようなことはないが、今の私の心境はどちらかといえばそちら側である。

さて、中には先客が二人。

白基調の服をまとったいかにも聖職者然とした男、

そして鞣した皮の胸当てを付けた獣耳の少女。

2人とも顔見知りである。


「グレイグにローか。…ますますもって嫌な予感しかしないんだが。」

「これはご挨拶ですね、ラルファ。貴方がここに来たという事はまず間違いなく荒事なのでしょうが、まぁ、それも神のお導きでしょう。」


目をつむり十字を切る。…この国の作法ではなく異国の宗教の所作らしい。

と、昔飲み仲間の女に聞いた。


「ムーっ!ボクがいたらダメか!」

「ダメとは言わんが、おいちゃんのようなロートルに荒事を頼むときの同じ面子じゃねーか。」

「ボクはラルファの『左手』だから仕方ないのダ!」


…まぁ、確かに、私の左手はある事情によって動かないのだが、何このセリフ。


「おや?お二人はそういうか」

「いいから話を進めてくれ。頭痛くなってきた。」


胸を張る少女、楽し気に嗤う神官、頭を抱えるおっさんが一つのソファーに座り、正面で、この喧騒を聞いていた人物に注意を向けた。


「さて、皆さまお揃いですね。お話を始めさせていただきます。」


丁寧な口調の女性が書類を片手に三人に視線を向けた。


「依頼内容は…小型妖魔の調査。必要とあらば討滅も含みます。」

「それはあれですか?クエストボードに張ってありました…」

「はい、内容は同じになります。」


その言葉に三人とも同じような表情になる。

すなわち『訝しい』


「…ではなぜ我々を?」


グレイグの問いに、目の前の女性も表情を少しゆがませる。


「同時に、もう一つのクエストを受けていただきたいと思います。」


ぺらりと紙のめくれる音。

三人の視線が集まる。


「その妖魔の発見された地点付近で行方不明になった子供の捜索です。」


似通った地点での依頼が複数ある場合両方受けるのはままあることだが、それをギルドから指定してくるのは珍しい。


「報酬は…600シリング」


格安である。行ってしまえば子供の小遣いである。

さらにいぶかしげな表情になる2人と、なぜか私の方を見ている女性を見比べ、私はある考えに至った。


「…それは、家の餓鬼だな?」


今度は二人の視線が私に集まる。…あれ?何かしくじった気が…


『子供がいたのカ!(ですか!)』


語尾は違えど内容は同じ、…確かにあの言い方では勘違いされると思う。


「いや、家の教え子の餓鬼かって意味でな…」


うかつな発言にがっくりと疲れが出てくる、が、目の前の女性が頷くことで大まかに呑み込めた。


「…クエストボードに討伐が張られてるという事は。急がにゃならんか。」


そう、この低すぎる報酬では関係者以外はまず誰も受けないだろう、そして、万一妖魔にとらわれていた場合、討伐優先の冒険者の取る手段によっては一緒に蒸し焼きにでもされかねない。


「仕方有りませんね。」

「ウム!仕方ないナ!」


…何が仕方ないんだ。

一人ででも行くつもりで立ち上がると、言葉の響きとは裏腹に、楽しそう、且つ片方は力いっぱいの音が聞こえる。


「知り合いに死なれても寝覚めが悪いですし、これも神の試練でしょうから。」


何でも試練にする癖はどうかとおもう。


「ボクは、ラルファの『左手』だからナ!」


さっきも聴いた上に勘違いされるからやめて!


「お付き合いしますよ」

「一緒に行くゾ!」


…心強い援軍を得たことと、これからの調査先の情報を得るべくもう一度ソファーへと腰を下ろした。

決して精神的疲労で膝から崩れたという事はない。

じわじわと書いて行こうと思います。

今年中には一作目を仕上げたいなーと思います。

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