そして噂は彼らの知るところとなった
短いです。
ちょっと、過去編を入れてから本編に進むか、終わってから番外編として入れるかを迷っているので、区切りの為に出会い編のまとめであり暗躍編へのプロローグとして入れました。
彼らの中庭での出会いを見ていた者によって、生徒会長の高神正明が普通科の狭山由香里と2人きりで楽しそうに会話をしていたと噂された。
その噂はすぐに学園中に広がり、風紀委員たちも知ることとなった。
正明は普段、生徒会以外とあまり接触しない姿勢をとっている為に驚いた生徒が多かったからだ。ちなみに、特進科に所属していることが示すように正明や生徒会は一般的には優秀である。
だが、彼らはいつも10位以下の成績であり、特進科の中では家柄がいいから生徒会をしているだけと陰口をたたかれていた。
学園のトップと扱われる生徒会よりも風紀や華の会会長である正明の婚約者、加賀美響子の方が優秀だったからだ。だからなのか、彼らは生徒会だけでかたまっていることが多かった。
そして、婚約者のいる正明が中庭とはいえ、婚約が決まっていない妙齢の女性と二人だけで話していたのも噂に拍車をかけることになった。
令嬢としても婚約者のいる男としても、ふさわしい行為とはいえないからだ。
そして、その噂を聞いて黒い笑みを浮かべる男が一人。
そして、それにおびえる男が一人。
そして…諦めたはずの未来が手に出来るかもしれないと喜びを物憂げな表情で綺麗に隠した女が一人。
そして彼らの暗躍が始まる。